- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784479306801
作品紹介・あらすじ
「餡子だけじゃつまらねぇ。菓子を作れよ、孝次郎-」深川で菓子屋「二幸堂」を始めた兄・光太郎と弟・孝次郎。ほんのり甘酒香る薄皮饅頭「斑雪」、桜の花弁を模した上生菓子「恋桜」、黄身餡が贅沢な「天道」と十四夜の月の如く控えめな甘さの「幾望」、柳の青葉が風情涼やかな錦玉羹「春の川」、薄紅色の白餡大福「紅福」。-不器用な職人・孝次郎の作るとびきりの菓子が、人と人を繋げ、出会いをもたらし、ささやかな幸福を照らし出す-。江戸の菓子屋を舞台に描かれる、極上の甘味と人情と、つたない恋。兄弟の絆と店を支える人々の温かさに心震える珠玉の時代小説!
感想・レビュー・書評
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深川で菓子屋を営む兄と弟。
仲が良く、地道に幸せをつかんでいくので、ほのぼの読めます。
兄の光太郎は美形で人当たりが良く、根付師だった父親の跡を継いでいるはずだった。
弟の考次郎は、子どもの頃に大火に巻き込まれて、大やけどを負ったせいもあって、内気で不器用な性格。
菓子作りの才能はあったのだが、奉公先で跡継ぎと上手くいかなくなり、片隅に追いやられてしまった。
そこへ、兄が迎えに来る。
深川で店を出す準備を整えてきたと。
そんなお兄さん、いる~?と感動(笑)
助っ人には、食いしん坊なお七が登場、売れ残りが多いと貰えるので喜ぶっていう大食いさんですが(笑)
何かとちょこちょこ問題はありつつも、一つ一つ協力して解決していきます。
お菓子も、一つ一つ、新作が作り出されていきます。
胸に秘めた思いや、事情のある美女を相手にじわじわ進む恋模様も。
そんなに長くはないので、さらっと読める人情話。
3作で完結しているので、全体でも軽めに、あまり長丁場に取り組もうと気が起きない時に?楽しめますよ☆詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【美味しい小説】
なんたって、江戸時代のグルメ小説は、和菓子が最高に美味しそうですよね(о´∀`о)
男2人兄弟で切り盛りする和菓子屋さんが舞台です。
てか、江戸物で男兄弟だと跡継ぎがどうの、嫁がどうのとなりがちで、兄弟2人で仲良く店やるみたいなのはあんまりなかった気がします。
お菓子の表現が素晴らしく美味しそうー!
当然ですが餡子の表現ががっつり書かれているので、読んでる端から餡子の和菓子食べたくなる。
なんといっても金鍔食べたいですが、斑雪も白餡大福も、錦玉羹も恋桜も食べてみたい!
社交的でイケメンな兄と、朴訥で職人として優秀な弟。
弟を邪険にした奉公してたお店「草笛屋」の嫌がらせ、快活な助っ人、お七さん。
お江戸小説は、人情味が外せない分、人物と相関図に魅力があって読んでいてとても楽しい(*´꒳`*)
さらっと読めて、美味しい気持ちになる小説です。
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幼い頃の大火傷の痕のために人付き合いの苦手な孝次郎は、菓子職人として修行を積んできた奉公先で妬まれ、腕をふるうことが出来なくなっていた。
そんな孝次郎の元に、美形で人当たりの良い自慢の兄・光太郎から「迎えに行く」と言伝が届いた。
亡父の後を継いで根付職人をしていたはずの兄は、弟が職人として腕をふるうことが出来るよう、菓子屋を開く段取りをととのえ、弟を迎えに来たのだった。
正反対でいて互いを思い合う兄弟、内気な孝次郎のほのかな恋、世渡り上手な光太郎の秘めた悩み、そして二幸堂のとびきりの菓子。
孝次郎の想いびとの暁音や、食いしん坊の見習い・お七もいい。
読後は、ただもう、すぐにあんこが食べたくなるので、要注意。 -
江戸で和菓子屋さんを営む兄弟のお話。
和菓子の作られる様子や銘の付け方が興味深い。 -
似たような話がいくつも出てるし、いくつも読んでるけどこれは良かった。正直、田牧さんのパクリ?とも思ったけど、
お七さんも光太郎も孝次郎も人物像がしっかりしていて読みやすかった。
シリーズ化したら、それはそれで嬉しいけど、この作品はこれ一冊の方が綺麗な気がする。 -
菓子職人の弟、人当たりの良い兄が営む和菓子屋。
手伝いのお七など、登場人物もスッキリしている。
弟の方が菓子作り以外は不器用な描かれ方をしているが、実は兄の方が色々と抱えているものがありそうにも思える。
次巻以降で描かれていくのだろうか。
和菓子が美味しそう。 -
知野みさきさんは初めての作家さんです。
1巻2巻を一気に買うバクチのような買い方をしてしまいましたが、当たりでした!
兄弟で菓子司を営む、というと田牧さんの藍千堂と設定が一緒ですが、
菓子職人とは違う(営業する)ほうの兄弟のキャラクターがそれぞれ違います。
お兄さんの光太郎がキラキラすぎて逆に何か裏があるのではなかろうか、と勘ぐってしまいますが、全うに暮らす人たちのことは応援したくなりますね。
古巣で、目をかけてくれた主が急死し、跡継ぎの息子との菓子に対する方針の違いから冷遇されていた孝次郎を、とある日、兄の光太郎が迎えに来るところから、物語は始まります。
深川という土地柄に即した、美味しくて安い菓子を売る二幸堂。
そこに集うのは、人情味溢れる人たち。
巡る季節を大切に掬い取るように、孝次郎が作る美しい菓子たち。
続きが楽しみな作品に出会えました。 -
“兄弟で営む菓子屋が舞台”という事で、つい田牧大和さんの「藍千堂菓子噺」シリーズを彷彿とさせる本書。
イケメンでコミュ力のある兄と、実直で職人肌の弟(田牧さんの話とは逆ですね)。
兄弟の絆や恋愛、過去のわだかまり等・・。様々な背景と、美味しい和菓子を絡めて進んでいく展開です。
餡子好きのお七さんが、いいキャラで好きでした。 -
2023.2.19 読了。
深川で菓子屋「二幸堂」を始めた兄・光太郎と弟・孝次郎の人情時代小説。
正確には☆3.7くらい。
子供の頃に巻き込まれた大火で火傷を負った控えめで職人気質の孝次郎と父の跡継ぎとして根付師として働いていた役者顔負けの見た目と愛嬌のある光太郎が兄弟だからこそ言えないこともありつつも支え合い、お互いを大事に想う様子が心温まる作品だと感じた。
助っ人として働き出したお七によって登場するお菓子の数もどんどんと増えていくし、過去花街で働いていた暁音と光太郎、孝次郎の関係も良いと思った。
出てくる日本語が美しい単語が多く、分からないものは調べながら読んだが江戸時代では当たり前かもしれないが表現が風流に感じた。
もう少しお菓子の描写が多かったらもっと魅力的に感じたのかもしれないが人情話のアイテムとしては美しく人々に幸せをもたらすものとして充分な役割を果たしているなぁ〜と思えた。 -
お菓子屋さんの兄弟の話し。実直な弟、懐の深い兄。2人か幸せになるといいなぁ。