深川二幸堂 菓子こよみ<二> (だいわ文庫)

著者 :
  • 大和書房
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479307631

作品紹介・あらすじ

「華はねえが、味がある……なんともおめえらしいぜ、こうの字よ」
光太郎と孝次郎の兄弟が営む菓子屋「二幸堂」。
如才なく得意先を開拓する美男の兄と、不器用だが才ある弟の作る菓子は、
江戸深川にしっかりと根を下ろしはじめた──。
王子のせせらぎのような水羊羹「壬」(みずのえ)、生姜の風味爽やかな「夕凪」(ゆうなぎ)、
香ばしさと舌触りが絶妙な粟饅頭「日向」(ひなた)、瑞兆を映す祝い菓子「冬虹」(とうこう)……
──孝次郎の作るとびきりの菓子が、縁(えにし)を言祝(ことほ)ぎ、幸いを呼ぶ──
江戸の菓子屋を舞台に描かれる、極上の甘味と人情と、ままならぬ恋。
兄弟の絆と人々の温かさに涙零れる珠玉の時代小説、待望の第二弾!

感想・レビュー・書評

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  • 兄の光太郎と弟の孝次郎、ふたりの「こうの字」で営む深川の菓子屋「二幸堂」の物語、第二巻。
    孝次郎の元の奉公先の嫌がらせなどに悩まされつつも、確かな味と工夫を凝らした菓子は「深川に二幸堂あり」との評判を着実に広めてゆく。

    商売の成功と並行して、二人の兄弟の恋の行方も語られる。
    美男で営業担当の光太郎は、第一巻でふられたお葉と紆余曲折ののち、めでたく祝言をあげた。
    かたや相変わらず奥手な孝次郎は、勇気を出して暁音に夫婦になろうと切り出したものの、「このままでいい」といなされ、まだまだ。

    第三巻では、孝次郎と暁音の関係に決着がつくのか?ニ幸堂はさらに商売を広げるのか?といったところになるのだろう。

    例によって、読後はものすごーく和菓子が食べたくなる。
    日本あんこ協会会員としては、ブクログ会員のみならず、あんこ協会の皆様にもお勧めしたい。

  • 玄太の恋心にきゅんとした。
    温めたお饅頭を「小さな日だまり」と表現したり、「日向」の銘を付けたり、、、
    お菓子に込められた人々の思いが描かれるのが楽しい。

  • 2023.2.23 読了。
    「深川二幸堂」シリーズ第2弾。1作目に続き兄・光太郎と弟・孝次郎が二幸堂という菓子屋を営みながら周囲の人々と絆を紡いでいく人情時代小説。4編収録。

    光太郎、孝次郎の恋愛模様や孝次郎の古巣の草笛屋との確執が書かれていく。
    深川にも二幸堂の味方になってくれる人々が増え、手伝いのお七のお陰もあり開店当初は2つしか売り出されていなかったお菓子の種類も増えていく。新しく作られるお菓子に名付けられる名前も素敵だった。
    タイプは違えどお七や暁音がよく気が付く頼もしい女性だと思った。無類の餡子好きのお七のキャラが好き。

  • 人当たりが良く、女にもてまくっていた光太郎の一途な思いが素敵。小太郎も可愛い。
    彦一郎と小太郎の会話が全てひらがなで書かれているのも、幼さが表現されているようで可愛い。
    考次郎と暁音がじれったい。

  • 光太郎と幸次郎の二人三脚が功を奏して、店は次第に評判になり、売れ残りも少なくなって、七を残念がらせた。

    大親分が寝たきりになったり、子供時代の大恩があるお弥代が乳癌を患い余命幾ばくもいと聞いて、孝次郎は何か食べやすく滋養にいいものはと考える。

    工夫を重ねた歌詞はどれも評判に。

    昔勤めていた草笛屋の邪魔も入ったが、どうもそれだけでは無い事件が起こる。

    その事件が元で、光太郎は未亡人の親子とついに。。。


    様々な事件が起こるが、簡単に殺人事件が起こるわけでも無い。それでもドキドキしながら、登場人物たちに応援して読んでしまう。

  • 2巻も面白かったです。
    これまでの人達もあったかくて安心感がありますし、孝次郎の草笛屋での弟子・八郎と太吉、そして二人が新しく働くことになった羊羮屋の余市も良い人達です。特に余市さんよい。
    悪いことを企む人達は成敗されていく勧善懲悪だけれど、事件は結構シビアなのもよいです。
    だからかえって、孝次郎の作る和菓子か美味しそうで。
    冬虹の綺麗さと蓮を使ったお菓子!となりましたが、特に気になるのは、琥珀糖「夕凪」と粟まんじゅう「日向」。夕凪と日向のエピソード、素敵でした。
    お七さんの食レポがもう!食べたくなって困ります。お七さん大好き。「わたくしめが」「お任せあれ!」かわいい。
    装丁の二幸堂のお菓子のイラスト、今回も綺麗で良いです。どんどん増えていくのかな…わくわく。
    光太郎さんがまとまったので、次こそ孝次郎も…!3巻も楽しみです。

  • シリーズ第二弾。

    今回は草笛屋を追い出された、八郎と太吉が登場します。二人とも健気な少年で本当応援したくなります。それにしても草笛屋は人が出ていきすぎですね。大丈夫なのでしょうか。
    そして、孝次郎の作るお菓子は相変わらずどれも美味しそう。ただ、暁音さんとの恋は停滞?というか、何だか曖昧な関係になっている様子。
    兄の光太郎は、色々ありましたが、幸せになって良かったですね。孝次郎も頑張って!

  • どの人も色々な面を見せてくれ、人の奥深さが見えるのだけど、皆優しく暖かい。
    どっしりとした安定感ある作品で読みやすい。
    お菓子もどれも美味しそう。

  • 続巻があってうれしい。2巻は1巻より泣けてまいった。奉公先を理不尽に追い出されたまだ子どもの八と吉の境遇に胸が痛んだ。孝次郎の弟子となり新天地を得た健気な彼らにこれからは幸せがたくさん訪れますように。
    暁音さんと孝次郎の関係はすんなりとはいかない。人生経験値が高い大人同士だと特に女性側が色々考えてしまうのかも。孝次郎も未熟ではあるけれど勢いだけで物事を決するまでの若さはないので関係が停滞してまったのかな。暁音さんの本心を想像するとせつないと思いました。
    3巻もあるとうれしい。暁音さんには彼女の望む形で幸せになってほしい。お七さんメインの話も読みたい。健気な八と吉の行く末も気になる。

  • 今回も心尽くしのお菓子の数々。

    古巣の草笛屋の二代目と、少しばかり歩み寄れたのかな。
    暁音との恋路はまだまだ前途多難そうだけど、光太郎とお葉の祝言に心がじんわりと温かくなりました。

    次も楽しみです。

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著者プロフィール

1972年生まれ、ミネソタ大学卒業、カナダBC州在住。2012年『鈴の神さま』でデビュー。同年『妖国の剣士』で第4回角川春樹小説賞受賞。「上絵師・律の似面絵帖」シリーズでブレイクした注目時代作家。

「2023年 『江戸は浅草5 春の捕物』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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