- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480017840
作品紹介・あらすじ
日中国交正常化で日本が台湾と断交したのと同じ年に研究の道へ進んだ第一人者が、自身が体験した要人取材や政治事件などを交えながら激動の台湾史を問い直す。
感想・レビュー・書評
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東2法経図・6F開架:312.22A/W17t//K
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自決と民主化の歴史を見てきた著者が自分史と共に台湾を語ります。李登輝へのインタビューは迫力があります。このように苦しい国が近くにあるとは。
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ネット連載時の「私の台湾研究人生」の方が的確かもしれない。本書前半は著者自身が会った台湾人との個別エピソードが多く自分にはやや消化不良だが、90年代後半の記述からはほぼ無くなり、台湾政治の概観が中心となる。著者自身も著者の古い友人も大御所になっていったためか。
日本での台湾認識と台湾研究について、希薄だった70年代、社会的注目を浴び、岩波の「世界」から声がかかった80年代、日本台湾学会が設立された90年代、現代の旺盛な関心と共感という、著者の研究人生と重なる変化がよく分かる。また、時には相克めいた地域研究と政治学の関係。
台湾政治自体も変化が大きかった。国民党一党支配の時代、著者の交流相手は「党外」が中心で、台北で美麗島事件直後を実感し、林義雄家族殺害は高雄で知る。「前方への逃走」戦略で小刻みに譲歩した蔣経國の晩年。91年には自らを「バランサー」と称した李登輝とその後。両党の候補者選定過程も含めた96年総統直接選挙。民主主義体制の定着と、対米・対中コンテクストでのその後の総統たち。