からだの見方 (ちくま文庫 よ 6-3)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480029126

感想・レビュー・書評

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  • 重なっている話題も多く、話が哲学的なものに入って行く時もある。
    多少読解に苦労するところもあるが、後半には気楽なエッセーも多く、まぁ楽しく読めた。
    ⭐️は3.5かな。

    「バカの壁」よりははるかにいいと思う。
    学者が一般人にも、自分の専門分野の要諦を分かりやすく説いた良書だと思う。

  • 『ヒトの見方』や『脳の見方』(ともにちくま文庫)と同様、『唯脳論』刊行以前に書かれた著者のさまざまなエッセイを収録している本です。

    前二著にくらべて、いっそう多様なテーマがとりあげられており、エッセイストとしての著者の手腕が十全に示されています。柴谷篤弘が、著者との対談本である『恐龍が飛んだ日―尺度不変性と自己相似』(ちくま文庫)のなかで、「養老さんの初期の著書に接し、夏目漱石に似た名文の書き手だ、という印象をつよくもっていた」と語っていましたが、どのようなテーマを論じても、文章と著者特有のものの見かたには読者を惹きつける魅力を感じます。

    ユーモアのセンスはやはりエッセイの名手として知られる林望に近いような気もしますが、林ほど高踏的な調子ではなく、もっと自然体でつづられた名文という印象を受けます。

  • いろんなテーマに対して、雑談かインタビューのように語っていく、いつものパターンのエッセイ。
    好きな人には期待通りに少し斜に構えてズバズバという言葉が気持ちいいはず。
    数学のできる人は頭がいいか。

    分からないことを、たぶんこうだろうと推測でこたえられるより、よくわからないと言われると納得する不思議。

  • 養老孟司の初期のエッセイ。彼のエッセイはいくつか読んでいるが、歯切れがよく判りやすい文章だったという記憶しかない。

  • 見方三部作の前二作は口述だったせいか、重みを感じなかったが、本作は最も丁寧に書かれている。サントリー学術賞をとったこともあり、読み応えがある。

    本作で大事だと思ったのは、下記に引用したことにもある通り、好きなことをやる、それよりも楽しんで取り組めると猶よい、ということ。これは人生においてとても大事なことだと思う。最近強く思うが、努力しようという時点でもう勝ち目がない。やることに抵抗がなく、人より自然と上手くできてしまうなど、やる前から人よりもアドバンテージがないととてもその分野で生きていくことは難しいと強く思う。例えば、学生時代を振り返ってみても、なぜかその分野で得意な人はいるもので、更には多分野における優越性を示す人もいる。得意分野に早く気付くことだ。そして現実を見ると得意分野がないという人が多いのではないだろうか。そこでどうするか。この本にも書いてある通り、対象を好きになること、そして楽しもうとすることであろう。そうなれば状況は変わってくるだろう。

    また、様々なものが繋がることで理解が進み、素直に考えられるようになる、とある。例えば、成長することでそれまで出来なかったことが出来るようになるに近いと思う。出来るようになると、それまでの出来なかったことの理由がわからなくなるということは日常茶飯事。とはいえ、人は忘れる生き物であるというように、あまり使わなくなった知識や昔の出来事などは忘却の彼方へ行くこともよくある。身に付くことと忘れることが生活の中で頻繁に起こっていると思う。そうこうしているうちに理解が進んでいく。

    以下引用、数字はページ

    82  先が面白そうだといつも思っている。

    131 お金は使い方のわかっているところには無く、わかっていないところに溜まる。

    143 人はいつでも、自分の読みたいものを書物から読みとる。

    178 大学の先生というのは、好きで学問をやっている。そういうことになっている。それがこうじて、好きなことしかやりたくない。

    178 好きになればいい。世の中のことは、やらなければならないとしたら、好きになるしかない。好きなことしかやるつもりがないとしたら、である。
     ・論語には(略)これを楽しむにしかず。ということばもある。
     ・やらなくてはならぬことは、好きになるほかに道はない。

    198 専門の学問はむずかしいが、基礎はやさしい。当たり前のことしか教えないからである。

    229 努力すれば、たしかにそれだけのことはある。しかし、「好きこそ物の上手なれ」で、それが好きな人にはかなわない。しかし、それでもなお、これを楽しむ人には及ばないというのである。

    230 わたしはもともと、好きなことしかやる気はない。(略)つまり、嫌なことの中に、それなりの楽しみを探す。

    231 好きなことしかしないとすれば(略)楽しみを探す。そうすると、さまざまな発見がある。それが面白い。やがてちゃんと楽しむようになる。

    236 自分として良い考えだと思うものが浮かぶときは、どういう考え方をしているか。それはつねに、ごく素直に考えた時である。良いことを考えようとか、独創的な思い付きはないだろうかとか、そういうことははじめから考えていない。興味のある問題について、論理の筋をただ素直に追っているのである。もっとも、たいしたデータがない間は、考えてもムダである。下手の考え休むに似たりで、素直に考えたら、ますますロクなことは思いつかない。関係のあるような、無いような、さまざまなデータが、長い間頭の中をウロウロしている。それに、自分の考え、他人から聞いたこと、読んだことなどが次第に積み重なって、ある日突然なにかがわかる。それにまったく無理が無ければ、たぶん正解である。

    237 科学はたいへん面白いものだが、なんでも面白くなるには、辛抱がいる。面白くなければ、発奮もしないであろう。いまの人がいちばん嫌いなことばは、努力、辛抱、根性だそうだが、やっぱりこれが仕事にはつきものであるらしい。

    262 子どもを産むと人生には面白いことが増える。

  • 105円購入2013-03-03

  • 2009/10/21 記
    本箱にあるのだけれど、いつ買ったのか? ちゃんと全部読んだのか?
    記憶にない・・・。 読み返そう!

  • 人体と建築物は同じ構造。

  • 養老孟司の考え!!!
    他の本も何冊か読んだ気がするが、主張は繰り返され強調されてるため、読めば養老孟司がなにを考えてるのかわかる。
    この人の考え方は共感を覚えることが多いため、好きである。

    解剖学からの命・精神・個性・金・動物についての話。どれもすっきりした考えをされている。

  • 最近では『バカの壁』のベストセラーで一躍有名になった著者ですが、こちらは一昔前(文庫版で約10年前、単行本は私が大学生だった15年以上前!)のエッセイです。『バカの壁』に代表される近時の文章の方が表現が平易で読みやすい印象を一見受けるかもしれませんが、私自身にとっては文章として違和感ある箇所もあって、著者独特の文語体での語り口が半減しているような気がします。一方、こちらの『からだの見方』では著者の人となりも文章に滲み出ているので、いい意味で「学者が自然体で書いたエッセー」として好感が持てました。

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著者プロフィール

養老 孟司(ようろう・たけし):1937年神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学名誉教授。医学博士(解剖学)。『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。『バカの壁』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。同書は450万部を超えるベストセラー。対談、共著、講演録を含め、著書は200冊近い。近著に『養老先生、病院へ行く』『養老先生、再び病院へ行く』(中川恵一共著、エクスナレッジ)『〈自分〉を知りたい君たちへ 読書の壁』(毎日新聞出版)、『ものがわかるということ』(祥伝社)など。

「2023年 『ヒトの幸福とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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