エジプトの神話: 兄弟神のあらそい (ちくま文庫 せ 7-2 世界の神話)
- 筑摩書房 (1997年8月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480032928
作品紹介・あらすじ
古代文字・ヒエログリフの解読によって古代エジプトの歴史や神話が次第に明らかになって来た。ことに神話は、太陽神ラー、オシリス、イシスの物語をはじめ、光と闇の、生と死のすさまじくも魅力的な世界をつくり出していた。第一人者による、古代エジプトへの案内書。
感想・レビュー・書評
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(2001.05.02読了)(2001.04.30購入)
兄弟神のあらそい
(「BOOK」データベースより)amazon
古代文字・ヒエログリフの解読によって古代エジプトの歴史や神話が次第に明らかになって来た。ことに神話は、太陽神ラー、オシリス、イシスの物語をはじめ、光と闇の、生と死のすさまじくも魅力的な世界をつくり出していた。第一人者による、古代エジプトへの案内書。
☆関連図書(既読)
「ピラミッドの秘密」コットレル著・矢島文夫訳、みすず書房、1957.06.05
「ギルガメシュ叙事詩」作者不詳・矢島文夫訳、山本書店、1965.07.30
「世界最古の物語」H.ガスター著・矢島文夫訳、現代教養文庫、1973.12.30
「古代エジプトの物語」矢島文夫著、現代教養文庫、1974.12.15
「メソポタミアの春」矢島文夫著、玉川選書、1975.07.01
「失われた古代文字99の謎」矢島文夫著、産報、1976.11.10
「アラビアン・ナイト99の謎」矢島文夫著、サンポウブックス、1978.03.03
「ヘブライの神話」矢島文夫著、筑摩書房、1982.12.15
「解読古代文字」矢島文夫著、ちくま学芸文庫、1999.08.10詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
エジプト神話の入門書。序盤はエジプト神話における創世の概念が紹介されてて、そこら辺はなかなか面白い。また、古代エジプト語がコプト語と呼ばれるようになり、さらにそこからキリスト教がコプト教と呼ばれるようになった、という一連の流れは浅学のため全く知らず、へーという感じ。
初期コプト教の文書には、古代エジプト、メソポタミア、ヘブライ、イラン、ギリシアなどの古代思想が混淆した世界の起源が綴られているそうです。この本で紹介されているものも、確かにキリスト教の創世記とギリシア神話の雰囲気が色濃く出ています。世界が創られていく中で、兄弟や親子間で戦いが繰り広げられるというのも、非常にギリシア神話的。
本のサブタイトルにもなっている兄弟神の間の争いもいくつか紹介されてますが、他の神話と少し毛色が違うのが、代表的と思われるホルスとセトとの争いの理由が「どちらがより高次の神か」とか「どちらが地上を支配するか」とかではなく、「どちらが上エジプトと下エジプトを統一して支配するか」という、言っちゃえば領土争いという、比較的スケールの小さい話ということ。実際の人間の領主間の争いがそのまま神話になってしまったような感じですが、このぐらいの現実味のある争いの方が、当時の肌感覚に合っていたのかもしれません。
後半はいくつかのパピルスに残された神話や死者の書の内容が写真入りで解説されていて、それなりに読みごたえはありますが散文的な印象は拭えず、エジプト神話の全容をこの本で捉えようというのは難しいです。元より、まとまっていて整った原典がないのかもしれませんが、エジプト神話を総括的に理解したいならば、他の本にもあたってみたほうが良いでしょう。 -
再読。平易な言葉で書かれていてとても読み易いけれど、断片的な神話のみの収録で、時系列もバラバラなので系統立った全体像の把握はできない。ゆえに入門編として最適ながら、もうちょっと深く知りたい向きには物足りないかも。
サブタイトルにあるように兄弟神の争うエピソードが多いけれど、これはどこの国の神話も共通な気がする。ギリシャ神話なんかも近親婚あたりまえ、ゆえに親子兄弟の骨肉の争い多発だもんね。旧約聖書でさえ最初の殺人は兄による弟殺しなくらいだし。
後半のいわゆる「死者の書」のバリエーション3種は図解入りで面白かったです。