シェイクスピア全集 (9) (ちくま文庫 し 10-9)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480033093

作品紹介・あらすじ

シェイクスピア作品の中で唯一、同時代のエリザベス朝のイングランドを扱った市民劇。無類の酒好き、女好き、太っちょの悪党フォルスタッフ。素寒貧になった怪騎士が思いついたのは、金持ちの人妻に言い寄って、金も恋も思いのままにという企み。ところが陽気な女房たちの仕掛けに逆にはまってしまって大騒ぎ。ウィンザーの多彩な面々に懲らしめられるドタバタ喜劇。

感想・レビュー・書評

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  •  エリザベス朝のイングランドを舞台とした喜劇作品。本作を実際に読んでみると、イングランド出身でない者の会話に違和感があり、全体的に癖がある。訳者のあとがきにあるように、訳者自身も、本作を翻訳するのに相当苦労したことがわかる。

  • 松岡訳シェイクスピア11冊目。今回は誰も死ななくてほっとする。とにかく、方言というのかなまっている登場人物が多い。文字で読んでいると、なんとなくつかめはするもののしっくりこない。舞台で観たらどうなのだろう。笑えるのだろうか。そして、何と言っても下ネタ混じりの言い間違い。訳者は頑張って日本語にしているが、そんな間違い方ある?というのが多い。というか、舞台で聞いていて、それって言い間違いって気付くんだろうか。予習が必要、というわけではないと思うけれど。ストーリーとしては、エロオヤジをだまして楽しむという感じだけれど、何度も騙されていると次第にフォルスタッフさんがかわいそうになってくる。ということもないか。まあ、誰が演じてるかによって、感じ方が変わるのかもしれないなあ。ということで、キャストを見ると鴻上尚史は江守徹、白井晃は布施明、無名塾ではもちろん仲代達也がやってるんやな。そんな、どんくさい登場人物を演じるのか。まあ、それもおもしろい。観てみたいなあ。しかし、「一念勃起」って言うか???

  • 「シェイクスピア作品の中で唯一、同時代のエリザベス朝のイングランドを扱った市民劇。無類の酒好き、女好き、太っちょの悪党フォルスタッフ。素寒貧になった怪騎士が思いついたのは、金持ちの人妻に言い寄って、金も恋も思いのままにという企み。ところが陽気な女房たちの仕掛けに逆にはまってしまって大騒ぎ。ウィンザーの多彩な面々に懲らしめられるドタバタ喜劇。」

  • 2023/2/12

    メモ

    ・掛け言葉がシェイクスピアの劇を劇的に展開させていく。一方で例えば源氏物語はすでに起きたことを掛け言葉を使いながら劇的ではなく静的にしみじみとさせる

  • アントニーの演説場面など断片を教科書等で読んだことはあっても、シェイクスピア作品を読み通したことは初めて。
    史劇ではなく、喜劇だからなのか、直接的・間接的な性的な表現が多く、決してお上品ではない。シェイクスピアのイメージがガラッと変わった。
    訳文の表現の工夫に感心するが、充実した脚注もうれしい。「ワインに石灰を入れる」云々という、ガーター亭の亭主のセリフがあるが、説明がなければ、この主人公が根城するにふさわしい悪質な酒場と勘違いしてしまう。

  • 金に困った好色な騎士フォルスタッフは、ウィンザーの裕福な女房たち、フォード夫人とペイジ夫人に言い寄るが……。

    ダブル不倫を仕掛けた老騎士が、機転の効く二人の人妻に逆にハメられてしまうというドタバタコメディ。各キャラがいきいきとしており、基本悪役ポジションのフォルスタッフもどこか憎めない。コントか?ギャグか?と思わせる流れの数々が笑える。日本語訳ではどうしても伝わりにくいが、言葉遊びによる下ネタが満載なのが注釈でわかり、さらに笑いを誘う。「騙す者が騙される」という主題が折り返されるラストの展開は痛快。

    シェイクスピアの他作品に比べると知名度が低いのか、レビューも多くないけれど、自分的には大好きなタイプの話だった。悲劇の方が印象には残るけど、やはり愛に満ちた大団円も好ましい。

  • 勉強のため、オペラ『ファルスタッフ』の原作の『ウィンザーの陽気な女房たち』を読んだ。まさにイギリス版吉本新喜劇。
    もちろん翻訳で読んでいるわけだけれど、注釈を見ながら読むだけでもシェイクスピアの言葉を操る技の凄さが伝わってくる。原書で読めたら面白いだろうなと思う。

  • 『ヘンリー四世』も『ヘンリー五世』も
    読んだことあるため、
    フォルスタッフが元気にしているのを
    確認できるだけでなんだか嬉しい(笑)

    今日明日の生活の心配がない市民たちが
    ドタバタしているので気楽に読める。
    ラスト、「みんな揃ってうちへ帰り、
    今夜の大騒ぎを暖炉の火を囲んで笑い合」うメンバーの中に
    フォルスタッフが入っているのが最高!

    ヴェルディのオペラ『ファルスタッフ』のラストは
    皆でにこにこ大騒ぎをしているので好き。

  • ウィンザーの陽気な女房たち―シェイクスピア全集〈9〉
    (和書)2009年04月16日 15:31
    2001 筑摩書房 ウィリアム シェイクスピア, William Shakespeare, 松岡 和子


    「ウィンザーの陽気な女房たち」は初めてよみました。この翻訳者の作品をこのごろ読んでいて気になる点は学者としての翻訳と詩的霊感としての翻訳の差があるのかなって思った。註などを読むと非常に学者らしい解釈がされていて納得はするのです。ただ表現としての命がけの飛躍としての意訳の部分のキレがいまいちかなって思う時がある。

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著者プロフィール

イングランドの劇作家、詩人であり、イギリス・ルネサンス演劇を代表する人物。卓越した人間観察眼からなる内面の心理描写により、最も優れた英文学の作家とも言われている。また彼ののこした膨大な著作は、初期近代英語の実態を知る上での貴重な言語学的資料ともなっている。
出生地はストラトフォード・アポン・エイヴォンで、1585年前後にロンドンに進出し、1592年には新進の劇作家として活躍した。1612年ごろに引退するまでの約20年間に、四大悲劇「ハムレット」、「マクベス」、「オセロ」、「リア王」をはじめ、「ロミオとジュリエット」、「ヴェニスの商人」、「夏の夜の夢」、「ジュリアス・シーザー」など多くの傑作を残した。「ヴィーナスとアドーニス」のような物語詩もあり、特に「ソネット集」は今日でも最高の詩編の一つと見なされている。

「2016年 『マクベス MACBETH』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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