オトコの進化論: 男らしさの起源を求めて (ちくま新書 424)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480061249

作品紹介・あらすじ

人間は現在約三〇〇種いる霊長類の一種であり、人間の男性はさまざまな霊長類のオス性を受け継いでいる。また、人間の男女の違いは人間の男とサルのオスの違いよりも大きいことがしばしばある。それは人間の行動が生物学的な性差を色濃く反映し、霊長類の性差のある社会性から受け継いだ特徴を強く示したりするからである。本書では、サルからヒトへの進化を通じて、オスからオトコになるために人類が経験しなければならなかった事柄を検証し、現在の男という性を破滅に追い込んでいる原因を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 面白い!しかしサル、類人猿を描くときは事細かに論理立てているのに対し、人間に関しては切れ味が、鈍く如何にもサル学の専門家といったところ。

  • さまざまな種類のサルのオスたちが見せる、性行動や父性、攻撃性などの社会的行動を紹介して、人間の「男らしさ」の起源についての考察をおこなっている本です。

    世の中には、竹内久美子に代表されるような社会生物学のトンデモ本が氾濫しており、人間の文化的行動から、ただちに遺伝子などの生物学的な根拠を持ち出すような議論が多く見られますが、本書はそうした本とは一線を画しています。生態学の立場から、人間に近いサルたちが示す社会的行動について解説をおこない、人間の社会的行動において、進化を通じてヒトが継承したものと、文化的で規範的なものとの絡み合いを、ていねいに解きほぐそうとしています。

    ただ、こうした生態学的な立場からの動物の社会的行為の説明そのものに、どうしても擬人的な臭いを感じ取ってしまう読者もいるだろうという気がします。

  • ありがちなテーマの本と思いきや、かなり衝撃的な一冊だった。
    ヒトのオスがオトコとなり、男性になるに至った経緯を、霊長類・類人猿の生態観察から推測する。性に関する議論とはいえ、推理の材料が生々し過ぎて感想に苦慮してしまう。擬似交尾、自慰行動、同性交渉、性暴力、子殺し、これら全てがサルたちの群れで観察されているそうだ。これらは現代人が脳味噌でっかちになった故の、負の行動かと思いきや、サルの時代から受け継がれたひとつの社会性と解釈されよう。著者はこうした禁忌的ともいえる話題にも合理的な説明を試みる。いずれも「個の保存」「種の保存」の利益に拠るものに結びつけるが、残念ながら、何百年前の祖先の姿の目撃者はいない。あくまでも推理・推測ではあるが、現代男性のありようについて、非常に示唆的な話を多く含む解釈になっている。

  • [ 内容 ]
    人間は現在約三〇〇種いる霊長類の一種であり、人間の男性はさまざまな霊長類のオス性を受け継いでいる。
    また、人間の男女の違いは人間の男とサルのオスの違いよりも大きいことがしばしばある。
    それは人間の行動が生物学的な性差を色濃く反映し、霊長類の性差のある社会性から受け継いだ特徴を強く示したりするからである。
    本書では、サルからヒトへの進化を通じて、オスからオトコになるために人類が経験しなければならなかった事柄を検証し、現在の男という性を破滅に追い込んでいる原因を探る。

    [ 目次 ]
    第1章 オスに求められること
    第2章 メスと共存するために
    第3章 セクシーなオスたち
    第4章 父親の由来
    第5章 オスたちの暴力
    第6章 オトコの時代、男の未来

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  • 京都大学の霊長類研究所の先生がかいた、オトコの進化に関するおはなし。どうも、最近おとこらしい行動が少なくなってきたヒトに対して、ボノボやチンパンジーの行動を参考に、そのオトコとしての進化を解説した。進化論のおはなしとして、けっこうおもしろくよみました。

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著者プロフィール

第26代京都大学総長。専門は人類学、霊長類学。研究テーマはゴリラの社会生態学、家族の起源と進化、人間社会の未来像。

「2020年 『人のつながりと世界の行方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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