「中国問題」の核心 (ちくま新書 801)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480065063

作品紹介・あらすじ

建国60周年をむかえた人民共和国に、搾取を否定した「赤い」理念はもはやない。「人民」不在で進められる改革・開放が、陰惨な矛盾を社会にもたらし、国家の基盤が激しく揺らいでいる。その制御をもくろむ共産党指導部は、軍備を増強してナショナリズムを強め、国家の凝集力を高めようとするが…。毒ギョーザ事件、新疆動乱、尖閣諸島、米国との接近。日本人の想像も及ばない大国で、いま、何が起きているのか。中国各地を精力的に取材しつづける実力派ジャーナリストが、共産党政権の内部事情を精確に分析し、現代史的な視点から「巨龍」の生態を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 85年に中曽根が公式参拝を明言して靖国神社に赴いたことが中国国内の靖国批判に火をつけ、それが韓国を刺激する形で靖国参拝が外交問題になった。

    天安門事件に先立つインフレや格差の拡大にもっとも被害を受けてプライドを傷つけられたのは知識人たちだった。

    社会が腐っている。不正が横行しすぎている。それが中国。

  •  成長著しい中国の抱える問題点について、尖閣諸島、民族、歴代国家主席の思惑など政治面から論じた本。

     日中関係となると、我々が片方の当事者であるためか、もう一方の中国側が日中問題をどのように捉えているかがわかりにくい。だが、当書を読むとある程度見えてくる。特に尖閣諸島問題は中国側も国内で「弱腰」との世論が強まることがわかる。

     2005年の上海などでの反日デモは今でも記憶に新しいし、2008年6月に胡錦濤主席が福田総理との間に交わした「東シナ海ガス田共同開発合意」はネット上で「下関(中国側では”馬関”)条約以来の売国条約」と批判されたという記述は興味深い。

     中国はなるべくなら深く関わりたくない国だが、将来を踏まえると政治的、経済的、社会的にある程度の深い関わりを持たざるを得ない。そう思ったとき、強かで掴みどころのない「巨龍」の生態の一面を知るために有意義な一冊だと思う。

  • 恥ずかしながら、隣の国の近現代史に疎いので読んでみた。

    中国の人は、別に日本が嫌いなワケではないし、
    共産党の歴代のエライ人たちもあのままこのままの政治や経済でいいと
    思っているわけではない。

    でも性急に変えようとすると、
    変化を望まない有象無象に足を引っ張られることになり、
    反日や少数民族制圧というような目先の出世・保身の手段に走りがち。
    その結果がチベット問題であったりウイグルの問題であったり。
    尖閣問題であったり。
    ということが理解できる本。

    現代の「中国」を一括りにして、かつて攻め入ったことで
    東のこちら側を嫌っている、よく分からない巨大で恐ろしい大国、
    としてしまうのは愚かなことだ。という認識に至った。

    どの「国」も完璧ではない。
    完璧でないから変えてもいいのだ。
    一票の格差はあるけど、
    投票と選挙という政治参加の権利が守られている自分は、
    まだラッキーだと思った。

  • [ 内容 ]
    建国60周年をむかえた人民共和国に、搾取を否定した「赤い」理念はもはやない。
    「人民」不在で進められる改革・開放が、陰惨な矛盾を社会にもたらし、国家の基盤が激しく揺らいでいる。
    その制御をもくろむ共産党指導部は、軍備を増強してナショナリズムを強め、国家の凝集力を高めようとするが…。
    毒ギョーザ事件、新疆動乱、尖閣諸島、米国との接近。
    日本人の想像も及ばない大国で、いま、何が起きているのか。
    中国各地を精力的に取材しつづける実力派ジャーナリストが、共産党政権の内部事情を精確に分析し、現代史的な視点から「巨龍」の生態を描く。

    [ 目次 ]
    第1章 再び高まる東シナ海のうねり
    第2章 対日接近への反動
    第3章 「三胡」の継承と断絶
    第4章 今も続く「天安門」の問い
    第5章 「和諧」路線の挫折
    第6章 軍に傾斜する胡錦涛

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    [ 参考となる書評 ]

  • さすがの分析力だと思います。だんだんと、最近の中国の政治家の名前が頭に入ってこなくなったので、ちょっとしんどかったですが、果たして中国は実際のところ、今後どういう道筋をたどるのでしょうか?

  • ●週刊東洋経済2009.10.10号で紹介
    《内容(「BOOK」データベースより):
    建国60周年をむかえた人民共和国に、搾取を否定した「赤い」理念はもはやない。「人民」不在で進められる改革・開放が、陰惨な矛盾を社会にもたらし、国家の基盤が激しく揺らいでいる。その制御をもくろむ共産党指導部は、軍備を増強してナショナリズムを強め、国家の凝集力を高めようとするが…。毒ギョーザ事件、新疆動乱、尖閣諸島、米国との接近。日本人の想像も及ばない大国で、いま、何が起きているのか。中国各地を精力的に取材しつづける実力派ジャーナリストが、共産党政権の内部事情を精確に分析し、現代史的な視点から「巨龍」の生態を描く。》

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