国語教科書の中の「日本」 (ちくま新書 806)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480065124

感想・レビュー・書評

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  • ある程度教科書に使える話を集めようとすると、無意識的に「古き良き日本」が強調されるのは自然かな、と思う。バッドエンドや悲劇を集める訳にもいかないだろうし。
    小さな頃学校でいきなり詩を作れと言われ、持っていったら「こんなもの詩じゃないね」と言われた事をまだ覚えているそう。
    正しい感じ方を押し付けられる事への嫌悪感が走りすぎているかなと全体的に感じる。

    でも、哲学的造形が深いので、きちんと客観的。
    <国語教育がイデオロギーにならないように、直接的な「反戦」教育は避けたいが、平和に触れる作品の扱いがイデオロギー的になってしまう。それを避けるとしたら国民的なコンセンサスを前提に、学校教育というシステムの中に、国語教育だけでなく、戦争について冷静に論議する場を設ける必要がある。少なくともそれは、道徳の時間よりは大切だ。
    だが、とも思う。それはきれいごとにすぎない。どうせ国民的コンセンサスなど取れない以上、いかに中途半端であってもこういう形で「平和教材」を扱うのが大人の知恵というものではないかと。
    もしそれしか方法がないのであれば、それを批判する気は全くない。仮にそのことで、「日本」が奇妙にねじれても、である。>

著者プロフィール

1955年生。早稲田大学教授。著書に『漱石入門』(河出文庫)、『『こころ』で読みなおす漱石文学』(朝日文庫)、『夏目漱石『こころ』をどう読むか』(責任編集、河出書房新社)など。

「2016年 『漱石における〈文学の力〉とは』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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