教育の職業的意義: 若者、学校、社会をつなぐ (ちくま新書 817)
- 筑摩書房 (2009年12月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480065230
作品紹介・あらすじ
一九九〇年代に、若者の仕事は大きく変貌した。非正規社員の増加、不安定な雇用、劣悪な賃金…。なぜ若年労働者ばかりが、過酷な就労環境に甘んじなければならないのか。それは、戦後日本において「教育の職業的意義」が軽視され、学校で職業能力を形成する機会が失われてきたことと密接な関係がある。本書では、教育学、社会学、運動論のさまざまな議論を整理しながら、"適応"と"抵抗"の両面を備えた「教育の職業的意義」をさぐっていく。「柔軟な専門性」という原理によって、遮断された教育と社会とにもういちど架橋し、教育という一隅から日本社会の再編に取り組む。
感想・レビュー・書評
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表題から自分がイメージした内容では無くて、読んでて内容が全然入ってきませんでした。
不完全な現状を憂えていて、こういう風に考えられないだろうか、っていう意見ぽいことが書かれているのですが、何かが欠落しているように思います。
現実が色々な事象がからみあっての今なのに、それに対しての意見としては視点が少なすぎます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
10 学ぶことと働くことはどのような関係にあるのか[上原慎一先生] 2
【ブックガイドのコメント】
「やや強引な論理展開が気になるが、職業教育の意義を強調する好著である。」
(『ともに生きるための教育学へのレッスン40』183ページ)
【北大ではここにあります(北海道大学蔵書目録へのリンク先)】
https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2001458855 -
70
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戦後日本において教育の職業的意義が軽視され、学校で職業能力の形成機会が失われてきたとし、“柔軟な専門性”の原理を通じ、教育と社会の再接続を提案する。
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・未就業者で就業経験のないものに強要するキャリア教育はそれは「為政者の願望」であるといのは重要な指摘。未就業者である若者に「仕事人としての自分なりの目標」を強いるのは暴力以外の何物でもない。
・ある職業に必要な能力を習得させるという発想の手前が必要ではないか。将来どの職業についたとしてもグローバル化した世界の中のコノ国(どこの国であっても、国民国家システムが作動しているうちは)で生きる以上、必要となる知識・技能・態度を義務教育期間内に国家は授けるべき -
本書はかなり真面目にアカデミックに多くのデータを取り上げ、それらの数値に基づいて著者の考えを感情的にならずに述べられている。
冒頭に「あらかじめ予測される反論に対する回答」みたいなのを出しているので、ちょっとずるい気もするが、これもアリだろう。
若者が社会に対する「適応」「反抗」を身につけることの必要性、また現状のキャリア教育の問題点を指摘している。
「大企業の学卒者一括採用」の弊害についても他国との比較も交え、わかりやすく解説されていたのが印象深い。
もったいないところは本のタイトルで、あえて今風の「なぜ〜のか?」とか「〜力」を使わなかったと思うが、あまりに地味なタイトルのため、注目されにくい面は否めない。
せっかくいいことが書かれているので、もうひとつ工夫してもよかったのではないか。 -
圧倒的な資料で自論が展開されるので説得力が非常にある。問題提起にはなる。そして「柔軟な専門性」を身につけるというのは良く分かるが、具体的方策についてはやはり曖昧で解決策が見えない。
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同著者の「社会を結びなおす」に続いて読了。教育の職業的意義についてわかりやすく自分の論を述べていて、その論に非常に共感させられた。学校が現実社会の変化を捉え、未来の社会を形成していく人間にその変化の世界の中で不当な処遇に適切に<抵抗>する力と仕事ができるための<適用>する力をつけることが不可欠だという点は同意だなぁ。