氏名の誕生 ――江戸時代の名前はなぜ消えたのか (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480073761

作品紹介・あらすじ

私たちの「氏名」はいつできたのか? 明治政府が行った改革が、江戸時代の常識を破壊し大混乱を巻き起こす。気鋭の研究者が近世・近代移行期の実像を活写する。

感想・レビュー・書評

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  • 情報量が多くて整理しきれてないですが、江戸時代まで名前とは何を示すものであったのか、それが明治時代の「御一新」によって、どのように変わったのか、かなり分かりやすく書かれていると思います(情報量多すぎては、個人の判断です、笑)

    『平家物語』なんかを読んでいると、源九郎判官義経とか今井四郎兼平とか、どこが名前なんかなと思わないこともない。

    例に上がっている大隈重信も、「大隈八太郎菅原朝臣重信」と「名前+姓名」で表される。
    まぁ、実際には用いられ方が決まっていて、それで相手の立場や身分も分かるし、敬意も表せるし、不自由なかったのだろうけど。

    一般人的には急にルールが変わって、苗字がない人は付けなさいとか言われて、慌てて付けたら今日にまで引き継がれている……なんて。
    (忠臣蔵籤引で決めたという荒技もかくや)

    苗字を変えたくないという主張や、名前を変えたいという主張を、筆者の「集団の中で求められる「普通」という社会性と、行き過ぎた「個」「多様性」の主張との相剋」という言葉を当てはめるには、(特に「行き過ぎ」の部分に)疑問符を付ける。

    個人が社会のシステムに対して声をあげるのは、決して楽なことではない。
    それほどまで、名前の存在や由来は、人にとって大きな意味合いを持っているのだと言える。

  • 江戸時代以降の人名の変遷をまとめたもの。
    名前でも氏名でもなく、人名と書いたのにも理由があって、名前、氏名は本書内で定義づけされた言葉なので、混ざって使うと混乱をきたすから。

    江戸時代と明治以降で人名の取扱いが変わる上、武士・庶民と朝廷でも扱いが違うおかげで、本書はとても読みにくい。節立ても論旨展開も掴みにくいが、内容は概ね理解できたと思う。

    明治維新を経て、人名に対する考え方が大きく変わった。自分の氏名というものが、つい最近、国の事情で決められた制度で、それ以前は全く異なるものだった。

    敷衍すれば、今議論されている夫婦別姓論だって、こういった歴史を勉強すれば、前に進めることになる気がする。

  • 明治初年ころの、個人が称した名をめぐるしっちゃかめっちゃかを描く。

  • 敬愛する作家の先生がツイッターで紹介していたので、買ってみた本。買ってから気づいたが、この本の著者は『壱人両名』と同じだった。

    自分の研究の成果を、出来る限り平易な言葉で解きほぐしてくれる、その姿勢にとても好感が持てる。

    名前を巡る考え方の変化そのものも、(少し難解ではあるが、)読み応え抜群。ただそれ以上に、「我々の常識で、過去の事象を判断してはいけない」という、著者の考え方に共感した。

  • 自分の名前を自由に名乗っていた江戸時代から親に与えられた名前を変えることなく過ごす現代への名前の歴史を学ぶことが出来た。他人を呼ぶ時に気軽に呼ぶ名前がこの形になるまでに幾度となくもみくちゃにされてきたのだとしると自分の名前も深い歴史の元に生まれてきたのだなぁと感心した。

  • 江戸時代の公家・武家・庶民の名前について理解するための好著。ある程度は知っていても細かいところはわかっていなかったのでこの本は大変参考になる。まだざっと読んだだけなので「名乗り」とか「姓名」等々現在の感覚とは違う用語をちゃんと理解した上でもう一度読む必要はありそうだ。
    ただし、古代については著者の理解が行き届いていないようにも感じられる「位階は平安時代に定められた」とか「平安時代(大宝元年〔七〇一〕)制定」とかあきらかな誤りも見受けられる。本姓&名についても当初は現代に通じる氏名と同様だったはず。その辺についてももう少し触れてほしかった。

  • パラパラと読んだので、あらためてまた読まねばならない。
    明治以前は氏名の概念自体が今とは違う印象。
    国民管理のために戸籍を作ることになり、全員にとりあえずなんでもいいから氏名必須となった。マイナンバーみたいなもんだったのだ。

  • 9月10日 読売新聞 書評
    摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50237635

  • 江戸時代、人名には身分を表示する役割があったが、王政復古を機に破綻。さらに新政府により「氏名」が生まれ、それは国民管理の道具へと変貌し…。歴史研究者が「氏名」誕生の歴史から、近世・近代移行期の実像を活写する。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40288824

  • 一度読むだけでは全て理解するのは難しいけれど、近世から近代にかけての氏名の成り立ちを知る上ではコンパクトにまとまった書籍だと思う。
    『氏名の誕生』を読む前に、『壱人両名』を読んでおくことをオススメする。

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著者プロフィール

神戸大学経済経営研究所研究員

「2021年 『氏名の誕生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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