東京五輪の大罪 ――政府・電通・メディア・IOC (ちくま新書)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480074447

作品紹介・あらすじ

2021年猛暑のなか、多くの疑惑と世界的パンデミックでも強行された東京五輪。そこで明らかになった利益優先、政治利用、世論誘導やメディア支配の全貌とは。

世界的パンデミックのなか、東京五輪・パラリンピックが強行された。1年間延期されたものの新型コロナの猛威は止まる所をしらず医療体制は逼迫。再延期や中止を求める声も高まるなかでの開催だった。しかし、政府が望む支持率のアップにはつながらず、国民軽視、あからさまな既得権益層の利益優先の姿勢が明らかになった。さらにこの華やかな祭典を動かしてきた巨大広告会社「電通」による、世論誘導やメディア支配も浮き彫りになった。本書はこの問題を長年追ってきた第一人者による東京オリンピック総括である。

感想・レビュー・書評

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  • 著者は「我が国は3度敗戦を経験した」と述べている。
    それは、太平洋戦争の敗戦(1945年)、東電福島第一原発の事故(2011年)、そして今回のコロナ禍での東京五輪強行開催(2021年)である。人的被害など比較にならない点もあるが、経済損失の大きさや、いずれもエリート層の暴走やメディアの翼賛報道、多数の一般の人々の黙認・盲従があったこと等、共通点が多いと思う。
    この「3度の敗戦」を済んでしまったこととせず、振り返りを冷静に行うことで責任の所在を明確にし、著者が指摘する「桁外れの無責任さ」を追及し続けていくことは必要であると思う。

  • 『東京五輪2020』既に過去の事になりつつあるが、決して忘れてはいけない。
    それは、今に至る我々の生活に深く影を落としているコロナ禍の一端であるからだ。
    さらに、それが、我々が確かに関わってしまった禍であることも自覚しなければ成らない。
    なぜならば、そこに多大な税金が投入されてしまったからだ。
    一旦動き出してしまったら、立ち止まることも、考えることも、ましてや止めることも出来ない『日本人』を、ふたたび演じてしまったのだ。
    そのことを、恥じながらも確認することが、今求められている。
    ここで、そんな自らの姿を確認できなければ、私たちはふたたび同じ過ちを犯すだろう。
    それも、近い将来に。

  • 書かれている内容自体は興味深いのですが、あまりに出典・引用が少なすぎると思います。その多くが新聞、雑誌、ネットなのが気になります。もう少し公文書などからの根拠ある考察をしてほしかったです。著者の主観が強すぎるせいか、一面的な考察になっていると感じました。

    メディアや広告の問題も取り上げていましたが、広告代理店に勤務した経歴を活かして独自のインタビューを行なってほしかったです。

    東京五輪2020(2021)を語る上で必要なコロナウイルスの記述も少なかったのが残念です。

  • 東京五輪の大罪とあるが、どの国のオリンピックでも似たような状況はあるんだろうけど


    ・ブラックボランティア
    ・見えない予算過程、積算過程
    ・メディアがスポンサーに組み込まれチェック機能が失われ⇨翼賛体制へ

    国の恥を晒す結果に。

  • ●東京五倫の本当の決算はこれから。最終的な金額は一体いくらなのか、なぜここまで野放図に膨張したのか。その責任は誰が負うべきなのか。
    ●JOC竹田会長が2億円の資金をコンサル外車に送金。佐野研二郎エムブレム盗作問題。国立競技場1569億。11万人のボランティアを無償で働かす。選手村用地の不当廉売。
    ●朝日・毎日・読売・日経・産経の全国紙全てが5輪スポンサーとなり、批判的な報道ができなくなったこと。
    ●電通の一社独占。
    ●五連経費の総額は3兆円を超えており、チケット代の損失コロナ対策費など4兆円近い金額になる。
    ●もともと聖火リレーは、1936年のベルリン五倫の際、知名度を高めるためにナチスが始めた宣伝手段であり、歴史的な背景や意義等全くない。
    ●組織委員会は公益財団法人でありながら、民間法人としての形もとっている。つまり半官半民であり、みなし公務員と言う位置づけだったのだ。費用概算は全て総額であり、コスト監視ができない仕組みを構築していた。
    ●五倫ボランティアは過去大会を通じて無償であると言うのは真っ赤な嘘。過去、宿舎や食事も提供されていた。日給も。本来ボランティアと言う言葉は「志願・自主的」と言う意味で実は無償と言う意味ではない。
    ●ボランティアと言う呼称にこだわるのは、事故や熱中症で死亡しても自己責任で片付けることができ、責任を負う必要がないからだ。電通の思惑。
    ●中止をしても損害賠償や違約金は負担の必要がなかった。
    ●新国立競技場は、年間維持費は約24億で旧国立競技場の3倍。

  • 再読でしたが東京オリンピックで忘れられていた問題を思い起こさせてくれる一冊。様々な問題指摘は本当に読む価値のあるものです。

  • オリンピックはいらん!
    ほんとに徹底的に腐敗した輩のやりたい放題で国民として大迷惑。おかしな人らがおかしな事をやったというのでなくしっかりと銭勘定した上での蛮行だと思う。
    おかしな国じゃわい。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/770199

  • 2022年2月読了。
    たまに身近な人から「実は私、オリンピックのボランティアに登録してて云々…」的な話を聞くたびに内心穏やかならざる所があるのは、本書で紹介されるようなオリンピックという一大興行の矛盾点、今次東京大会の杜撰な運営、特権的五輪貴族の存在といったマイナスな情報があまりにも多いため。
    なので札幌に再度五輪を招致するなど言語道断だし、五輪に限らず万博のような前時代的なハコモノイベントに熱を上げる向きは全く賛同しかねる。
    それにしても兵站(ロジスティクス)を整えずに人を大量投入するのは旧軍と同じ発想で、つくづく学習しないのだなと呆れてしまう。

  • 東2法経図・6F開架:B1/7/1620/K

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著者プロフィール

1962年生まれ。著述家。1989年、博報堂に入社。2006年に退社するまで営業を担当。その経験をもとに、広告が政治や社会に与える影響、メディアとの癒着などについて追及。原発安全神話がいかにできあがったのかを一連の書籍で明らかにした。最近は、憲法改正の国民投票法に与える広告の影響力について調べ、発表している。著書に『原発広告』『原発広告と地方紙』(ともに亜紀書房)、『原発プロパガンダ』(岩波新書)、『メディアに操作される憲法改正国民投票』(岩波ブックレット)、『広告が憲法を殺す日』(集英社新書、共著)ほか。

「2021年 『東京五輪の大罪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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