中世哲学入門 ――存在の海をめぐる思想史 (ちくま新書 1734)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 153
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480075635

作品紹介・あらすじ

基本用語を解説しつつ、存在の問題からアヴィセンナの存在論、存在の一義性、個体化論、普遍論争へと、存在の海をめぐる思想史を丁寧に案内する決定版入門書。

感想・レビュー・書評

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  • 山内せんせいの本で楽しみにしてたが、今回ばかりはあまりにもさっぱりわからんのであきらめ。正直文章をかなりパラフレーズしてやらないと読み進められなかった。(途中で読むのやめちゃったんだけど)

  • はじめにと第1章以外で読めるところはほぼなかった。しかし、この分からなさ気持ち悪さを抱えながらも考え続けるのが哲学だということばに導かれて、なんとか最後まで読み通した。心に残ったのはドゥンス・スコトゥス「存在の一義性」だけだろうか。その中身ではなくことばだけ。繰り返し登場したから。せめて偶有性くらい言葉の意味を理解して自分でも使えるようになりたかったが、余計に分からなくなった。実は最初の方を読んでいて、著者の学生のころの話も書かれていたので、いくらかは自伝的な話を盛り込みながら、中世哲学の入門ができるようになっているのだろうかと思って読みだしたのだ。「存在の一義性」の翻訳を依頼されたときに、何か参考になる本はないかと調べていて、あったと思ったら、それは自分が翻訳する予定の本の広告だったというすごいオチの話、ほんとうに笑ってしまった。ちょうど自分もそのころ学生か社会人1年目くらいでリアルタイムでその辺の広告を見ていたから余計にだ。朝日出版社「エピステーメー」、哲学書房「季刊哲学」などまだ手元に残っている。中野幹隆がかっこう良かった。僕は学生時代、新潟で、山本信「科学基礎論」や集中講義で村上陽一郎「科学思想史」、当時助手の井山弘幸「比較科学思想」(だったかでユートピア論)などにもぐりこませてもらっていた。理学部物理学科在籍であった。卒業して東京の出版社に勤務し出してから、山内先生は新潟に移られたのだと思う。接点はまったくないのだけれど、なんとなく親近感はあって、いつかちゃんと中世哲学も読みたいと思っていた。しかし結局、なんか途方もなくやっかいなものだという印象を持つに終わった。そもそも何が問題だったのか。やはり神か。神の存在だけが問題なのか。結局そこのところも分からずじまいだ。

  • 入門書としてはかなり歪という気はする。中世スコラ学という時間的にも人員的にも膨大なものの入門書を、安易に造ろうとするなら人名と書名をズラズラと列挙するようなものにならざるを得ない。しかも研究そのものが行き届いているとは言えない状況では、山内氏の言う、避けて通るための図式を連発することになるだろう。それは避けたいというのは分からないでもない。とはいえ、これでは山内氏自身も自嘲的に語るよう「中世哲学入門」ではなくて「スコトゥスの存在の一義性入門」である。とにかくまたスコトゥスかよ状態なので、後半は正直うんざりした。大きな見取り図的なものを提供することに拘らず、つまみ食い的でもいいから、いくらでもあるはずの面白そうなトピックを紹介するような形の方が、入門書には相応しかったかも知れない。あと、トマスに対する言及がいくらなんでも少なすぎる。日本語で手軽に読めると縛りを掛けたなら、中世哲学よりトマ学の方が文献は多いような状況だから、あえてトマスはメインで扱わないという戦略はありだと思うが、さすがにこれは極端すぎるだろう。

  • 東2法経図・6F開架:B1/7/1734/K

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著者プロフィール

山内 志朗(やまうち・しろう):1957年山形県生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。慶應義塾大学名誉教授。専攻は哲学。著書に『天使の記号学』『存在の一義性を求めて――ドゥンス・スコトゥスと13世紀の〈知〉の革命』(以上、岩波書店)、『ライプニッツ――なぜ私は世界にひとりしかいないのか』『〈つまずき〉のなかの哲学』(以上、日本放送出版協会)、『普遍論争――近代の源流としての』(平凡社ライブラリー)など多数。共編著に『世界哲学史(全8巻、別巻1)』(ちくま新書)などがある。

「2023年 『中世哲学入門 存在の海をめぐる思想史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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