世界を動かした名演説 (ちくま新書 1752)

  • 筑摩書房
3.60
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本棚登録 : 163
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480075857

作品紹介・あらすじ

そのとき歴史が動いた。時代を揺さぶった言葉とは。現代史に残る15本の演説を世界情勢、表現の妙とともに読み解く。知っておきたい珠玉の名言と時代の記録。

感想・レビュー・書評

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  • 名演説が名演説たるゆえんを、池上さんとパックンの解説で読む。

    なぜ聴衆に響くのかを、背景となった出来事やその国や民族の文化、歴史、演説内の言葉や言い回しを解説してくれる。

    この本は英語話者ならではの解説があってこそ。
    演説内のどこがどう感じるのか、これを言われると何を思い出し、何と結びつけるのか、怒りを煽るのか、同情を誘うのか、異国の出来事でも自分のことのように考えることができるのか。
    単語の並び、発音、対比、美しさ、力強さなど、へぇーーーと思うことばかり。勉強になった。

    名演説と聞いて思い出すのは、ブッシュ元大統領のI can hear you。
    グラウンドゼロで瓦礫の上に立ち、作業員との偶然のやり取りから発せられるあの演説は、鳥肌が立ったし、アメリカ人の琴線に触れるものであることが感じられた。私がそこにいたら、涙と力が溢れるだろう。
    YouTubeでも観られるので、ぜひ。

  • 世界の演説に関する、池上彰さんとパトリックさんとの対談集です。

    人の心に残ったり歴史を超えて語り継がれていく演説は、それなりに理由があって残っているのであり、それを表現や文化的な側面から解き明かしてくれています。

    心を動かすスピーチとするにはどういった要素が必要か、何をやってはいけないか、人前で話す方にとっては参考になるのではないかと思います。

    また、多くの演説に触れ、人を動かすのは大義とそれを伝えるための言葉であると改めて感じました。

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1327377

  • "言葉の持つ力"が一つのテーマとして扱われていた。この本を読みながら、いくつかの演説を聴いてみたが、本人の熱量が伝わるようであった。是非とも原文のまま理解できるようになりたいと、言語習得の意欲が高まる一冊だった。

    一つ、故:安倍首相がアメリカの歴史上失敗したと評価されているレーガノミクスを引用して、アベノミクスと言って苦笑されたという話が印象的だった。

    こういった小話のある本は非常に読みやすい。

  • 最初の一言、引用、たとえこれらが名演説を構成する。

  • 池上彰とパックンの掛け合いも軽妙な世界の名演説の紹介。英語の教科書で読んだキング牧師からマルコムXもありながら歴史としてのチャーチル、ケネディ、ヴァイツゼッカーなど英文で見るとまた翻訳と違う趣を感じられた。
    やはりこうして比較すると日本人総体としてのプレゼン文化のなさが感じられる。

  • 4.8

    言葉の力ってすばらしいけれど、言葉を最大限使いこなせる人間はほとんどいないんだろうなあ。

  •  配役の妙。
     話術に長けたパックンが、修辞学に基づいて、演説の内容をレトリックや言葉遣いについて分析、池上さんが、演説がなされた時代背景や世界情勢を解説し、その意義を補完する。
     対話調にまとめられているので、お手軽に読みやすい。筑摩書房編集局のお手柄か。

     取り上げられた演説は全部で15。チャーチル、J・F・ケネディは当然ながら、レーガン、キング牧師、ネルソン・マンデラと、名だたる名演説が列記されている。
     ややもすると、それらは何度も見聞きし、世の名言集にもピックアップされているようなものも多い。池上さんの解説にも、いまさらながらの目新しさもない章も少なくない。
     そこを、英語のネイティブで話術の達人のパックンが、修辞学に基づく解説を加え、なぜ、その演説が聴衆の心を捉えたか、その後の行動を促す結果になったか、世界を動かしたかを解説する点が新鮮。

     説得力のある演説の3つの要素、エトス(信頼性)、ロゴス(論理)、パトス(勘定)は憶えておこう。

     近年の演説も含まれる。ドイツのメルケル首相や、当時の安倍首相、そして、ゼレンスキー大統領らのものだ。
     まだ現役の人の演説を、ここで取り上げ持ち上げるのはどうなのだろう。

     本書、チャーチルの章で、ふたりはこうも言っている。

    P:それにしてもこんな見事なレトリックで国民を鼓舞して、戦争に勝ったからいいものの、もし負けていたらチャーチルは今とは正反対の評価を受けていたかもしれません。
    池:だからチャーチルは是が非でも戦争に勝たなくてはならなかった。

     つまり、その後の結果が、その演説を名演説たらしめた、ともいえる。
     徹底抗戦を国民に訴え、海外からの支援に頼り、国民を盾に戦争を続けるための演説が、果たして「正」だったのか? 
     時の洗礼を受け、やがて淘汰されていくのだろう。

  • 東2法経図・6F開架:B1/7/1752/K

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著者プロフィール

池上彰(いけがみ・あきら):1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、73年にNHK入局。記者やキャスターを歴任する。2005年にNHKを退職して以降、フリージャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍、YouTubeなど幅広いメディアで活躍中。名城大学教授、東京工業大学特命教授を務め、現在9つの大学で教鞭を執る。著書に『池上彰の憲法入門』『「見えざる手」が経済を動かす』『お金で世界が見えてくる』『池上彰と現代の名著を読む』(以上、筑摩書房)、『世界を変えた10冊の本』『池上彰の「世界そこからですか!?」』(以上、文藝春秋)ほか、多数。

「2023年 『世界を動かした名演説』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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