- Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480080820
作品紹介・あらすじ
韻文による壮大な哲学的主著『ツァラトゥストラ』を書き終えたニーチェが散文表現による体系的理論書として計画し、書き残した厖大な遺稿群の集成。ニーチェの実妹エリーザベトがペーター・ガストの協力を得て編纂したもの。本書は著作としては未完に終った思想的素材の塊りであるが、晩年のニーチェの思索生活の影が映しだされた精神のドラマの工房であり、彼の世界観形成の内部秘密に解明の光を投げかけてくれる思索の宝庫である。本巻には全四書のうち、「第一書 ヨーロッパのニヒリズム」および「第二書 これまでの最高価値の批判」を収録。
感想・レビュー・書評
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西洋版仏教の境地は「ニヒリズム」である。ということで「ニヒリズム」を徹底解説。もやは時代的には遅れた概念だが、「ニヒリズム」に至る道程で、実は西洋人もかなり考え、苦労したのだということが分かる。
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道徳の話が面白かった。道徳家は非道徳であること。目標や理想は、現実を下にしているということ。社会主義も宗教と同じ匂いのすること。「理性で捉えられないものは存在しない」ということは誤りであること。
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3.7
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体質、本能が起こす衝動、解釈。
生理学的に解されるもの。 -
ニーチェの幻の著作。それを妹エリザベートがナチに取り入るために、ニーチェの死後に編集したものであり、さらにハイデガーはそれを元に著書『ニーチェ』を執筆しているという曰くつきの著作。
現在のニーチェ研究では、『権力への意思』をニーチェの著作として扱うことはないようである。実際、Walter de Gruyter版全集には『権力への意思』は収録されていないが、このちくま学芸文庫版ニーチェ全集は、主にNaumann版(Kroener社に引き継がれてGrossoktav版[GA])を底本としているため、『権力への意思』が含まれている。それは、ニーチェの遺稿を再構成したものであるため、各断章は、Gruyter版の遺稿に含まれており、対応表はNietzsche Studienに掲載されている。
つまり、『権力への意思』をニーチェの著作として扱うこと自体がまず問題なのであり、さらにその再構成の根拠もまた正統な根拠のあるものだと思われないという問題を抱えている。とはいえ、彼の遺稿を掻い摘んで目を通す程度の役には立つだろう。
蛇足だが、Der Wille zur Machtを「権力への意思」と訳した点については、「力への意思」と訳す近年の悪しき風潮に比して、的確だったと個人的には考える。 -
権力とは超人の理想、ディオニュソス的精神、さらに自由なる精神が発現される源泉としての生命の根源的な力である。
権力への意志を偏狭な解釈のうちに閉じこめるのではなく、肯定的な価値として深く純粋に捉える -
2009/4/21購入