- Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480083180
感想・レビュー・書評
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「いま」の目で読んでもなかなか示唆に富む……というより、これほどまでにグローバリゼーションが進んだ状況によってもたらされる「知りたいこと(だけ)を即座に、知りたいように享受できる」時代が来てしまったからこそ本書が指摘する、ぼくならぼくの中に内在するステレオタイプな日本観やアメリカ観の呪縛の危険性を警戒することは重要だろう。サイード『オリエンタリズム』とも呼応する問題意識を響かせつつ、著者はそうしたステレオタイプが目を曇らせ冷静な現状認識を妨げる危険性に警鐘を鳴らす。実に「汗顔の至り」と襟を正す思いを感じる
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著者:Charles Douglas Lummis(1936ー) 政治学者、評論家、平和運動家(ベ平連)。
訳者:加地永都子
装丁:中島かほる
日本語訳は時事通信社から1981年に刊行されていた。
【内容紹介文】
異文化間には本当の意味での理解がありえるのだろうか? 1960年以降、第二次大戦の戦勝国人として日本にやってきて十年以上も暮らし続けた著者が、ある日、手にとった『菊と刀』。異国から母国をみつめる自らの体験に照らし合わせながら、詩人であり「文化の型」という概念を生み出した文化人類学者ルース・ベネディクトの思索の軌跡をたどり、アメリカ人からみた『菊と刀』の問題を浮き彫りにする。ベネディクトの日本理解を通して、異文化理解、国際連帯について考察する秀逸な日米比較文化論。
【簡易目次】
まえがき
目次
1 国境
旅について
海の向こうの日本
基地生活――オキナワ'60
2 日本文化への墓碑銘――ルース・ベネディクト再考
出合い
死の世界の美
政治教育としての文化人類学
『菊と刀』批判
3 内なる外国
外国――たとえばアメリカ
文化の行方
訳者あとがき