旧体制と大革命 (ちくま学芸文庫 ト 6-1)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (566ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480083968

作品紹介・あらすじ

フランス革命後の社会は、旧体制(アンシャン・レジーム)の社会から截然と区別される-通説と化してしまったこの命題を否定するところから、トクヴィルは出発する。中央集権のもとでの行政の専制化、画一的支配の浸透、パリ一極集中、こうした要素は革命がもたらしたものではなく、すでに旧体制のなかに用意されていたものだった。近代デモクラシーは必然的に平等化への道を進んだが、公的なものとの関わりを保障する「政治的自由」は、旧体制時代にもはや息の根を止められてしまっていた。近代は「画一化」と「自由の窒息」を引き受けなければならないのか?現代社会に対する透徹した予見と病理学的診断を含んだ政治思想史の金字塔。

感想・レビュー・書評

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  • フランス革命をここまで客観的に冷静にフランス人が分析できるというのは、驚異と言える。
    フランス革命で旧体制(アンシャン・レジーム)→大革命にひっくり返ったわけでは無い。
    旧体制に新体制への萌芽はあったし、旧体制が農民階級に税金を押しつけ・教育水準を劣位に落とすことで、固定化する。
    だがそんな偏った体制は当然滅びるわけだ。

  • 大革命は突如として始まったのではなく、フランスで古くから育まれた平等と自由の精神によって旧体制の中で着々と用意されていたものであった。

  • 【熊谷英人・選】

  • 『ぼくらの頭脳の鍛え方』
    文庫&新書百冊(立花隆選)149
    ユニークな視点で読み解く世界史

  • フランス社会の構造と人々の心性は大革命では変わらなかった。トクヴィルがアンシャン・レジーム期の行政文書などを丹念に分析しつつ、上の命題を論証していく。中央集権と地方自治の欠如やパリ一極集中といったフランス社会の特徴はアンシャン・レジームから自然発生したというトクヴィルの結論は、大革命の歴史的意義を再考する上でいまなお興味深い。

  • フランス革命のインパクトはどの程度だったのか、革命前には自由や中央集権体制の萌芽が芽吹いていたのか、当時の書類を膨大な数を調べた著者が紐解いていく。
    崩壊寸前だった封建体制を清算したのが革命だったのかなと。革命前のさまざまな悪い諸制度(税法や極端な中央集権など)によって全国民を爆発させてしまった、イギリスのように段階的な移行ができなかったのはその諸制度や政策のためと。
    財政の悪化も新たな施策を打つことをできなくさせる要因と思えるが、そのあたりについてはどうだったんだろう。

  • 「アメリカのデモクラシー」で有名なフランスの政治・思想家、トクヴィルのもう一つの代表作です。

    「アメリカのデモクラシー」でもそうなのですが、トクヴィルの文章はこの手の本としては比較的平易で意味もとりやすい文が多いと思います。ただ、フランスの各地方の制度分析などはやや細かく、注意して追わないと分からなくなるので注意が必要かもしれません。

    内容については、フランス革命以降の体制はフランス大革命の後になって初めてできたものではなく、実は旧体制の中に既に用意されていたものであった、という、当時の通説を覆す仮説を証明することが著者の目標とされています。当時のフランス社会に関する広範で精緻な著述には、感嘆するほかないと思います。

    アレント「革命について」やバーク「フランス革命の省察」に並ぶ、フランス革命研究の書であり、「革命」という事象についての一般的理解を助けてくれる書物、とも言えるでしょう。政治学の勉強に是非。

  • フランス社会の分析

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