数学のまなび方 (ちくま学芸文庫 イ 37-1 Math&Science)
- 筑摩書房 (2008年11月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480091734
感想・レビュー・書評
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系推薦図書 総合教育院
【配架場所】 図・3F文庫新書 ちくま学芸文庫
【OPACへのリンク】
https://opac.lib.tut.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=189012詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「数学のまなび方」とあるが、数学のまなび方についてはほとんど触れていないように感じた。「数学を語るものは証明を語る」というブルバキの言葉を引用しているくらいだから、証明を語り、その先に数学を理解すること、まなぶことを「感じろ」というのがこの本の趣旨かもしれない。
途中、高校数学では初等幾何(ユークリッド幾何)を教えるべきか、群論を教えるべきかという議論が出てくるが、この辺はあまり意味がない。山ほど時間があり、時間を費やすエネルギーに満ち溢れている若者が、教えられたことだけに集中するのは滑稽だし、生徒に必要なものをすべて与え、生徒が考えることすべてにヒントや答えを与えられるなんて教師の傲慢だし、国や学校レベルで取り組もうなど無駄の極みである。
この本の弱みは、先行きが思いつくような題材を選んでいないことにある。結局閉じた話題で終わっており、せっかく頑張って追いかけた計算や証明によって発展的な話題が思いつきにくいところにある。行列を使ったコーシー・ラグランジュの等式から、ラプラスの展開公式とか、余因子展開などが思いつくよう、伏線を張っていればよかったのになぁと思う。
数学の幅を認めるというか、学べば学ぶほど思考が拡散していくことを許していれば、枝葉としか思えない教育論に紙面を取られなかった。また、定義の紹介だけで済ませている箇所がいくつか(というか最後は全部)あり、主張が薄く何のために出てきたのか不明で退屈である。
なお、この本では、ユークリッド原論で不足しているところをキッチリ著している。また、高校程度の初等幾何において合同条件、間、順序で惑わないための最低限かつ明快な公理が示されている。さらに平行線公準が他の公理から示されないこと、平行線公準を否定しても他の公理と矛盾が生じないことについて詳細な解説が付されている。これらが端的にあらわされた本を他に知らない。
そういったわけで、通勤の伴には重かった。筋は追えたが論証はできていない、時間はかかるが楽しみが増えた。
岩波から出ている『数学の学び方』とは異なる。岩波の方は、数学を志すきっかけになった。 -
1260円購入2011-01-25
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古書店で購入した一冊。会話形式の文面、具体例を交えながら"数学のまなび方"について言及する感じは面白かった。理数系でありながら内容は半分も理解できていない気がするけど、これに懲りずにこの手の本ももっと読んでみたい。