哲学原理 (ちくま学芸文庫 テ 6-2)

  • 筑摩書房
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480092083

作品紹介・あらすじ

近代哲学の父デカルトが、形而上学・自然学における全ての知を書き記した『哲学原理』。ここでは、『方法序説』で打ち出され『省察』で精錬されたデカルト哲学が、中世スコラ哲学との対峙・対決を通して、ついに完成をみる。後年のスピノザによる講釈や、ニュートンが愛読したことでも名高く、加えて近年では、人間の自由意志への解釈などが展開されている点で新たな注目を集めている必読古典書。この文庫では『哲学原理』第一部(形而上学の部分)を新たに全訳し、最新の研究成果を盛りこんだ訳者注解を完備、第二部以降(物理学・天文学・地学等)の要約を付す。

感想・レビュー・書評

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  • ようやく読了。

    ここでは第一部しか取り上げられてはいないけれど、教科書的な目的で書かれたものを、さらに分かり易い形で提示してくれている。
    まず本文の訳を提示し、続けて、その文章の解釈と参照を記すという構成が、とても洗練されていると感じた。
    一つ一つの文ごとに、その内容を明らかにしていくことで、読み手はより深い理解を得られると思う。

    約400年前に記させた書であるので、現代に生きるものが触れたときに感じてしまう、どうしようもない黴臭さは確かにある。
    しかし重要なのは、表面を覆っている黴を取り払ったあとの、眩いばかりの思考の煌めきにこそある。
    その部分に関しては、時間の流れすらも影響しないと言って良い。
    重要なのは、そこで展開される思考の堅牢さであり、理論の純粋さであり、切り口の鋭さである。
    "Cogito ergo sum"という宣言の存在感と、その宣言によってもたらされた足場は、いくら時が過ぎても決して揺らぐことはないだろう。

    読んでてしんどかったのは、とにかく厳格で潔癖なデカルトの姿勢。
    肩肘張りまくりの文体や、一点の隙もなく向けられた視線を前にすると、どうしたって読んでるこちらも緊張を強いられる。

    序文から引用して終わります。<blockquote>私が序文を書くとするなら、まず第一に哲学とは何であるかを説明したく思い、以下のようなごく普通のことがらからはじめたことでしょう。すなわち、「哲学」ということばは知恵の研究を意味し、知恵とは単に日常生活の分別のことだけではなく、自分の生活を導くためにも、健康の保持やあらゆる技術の発明のためにも、人が知りうるあらゆることがらについての完全な知識を指すこと。そして、この知識がそのように完全であるためには、それが第一原因から導き出されることが必要であり、したがって、その獲得に努める(それが本来哲学すると言われていることです)ためには、それらの第一原因つまり原理の探求からはじめなくてはならないこと。そして、これらの原理には二つの条件が必要であり、その一つは、原理がきわめて明晰かつ明証的であって、人間精神がそれらを注意深く考察しようとするときには、その心理性を疑うことが出来ないほどであること。もう一つは、他の事物の認識がそれらの原理に依存し、したがって原理は他の事物なしにも知りうるが、逆に他の事物は原理なしには知りえないということ。しかるのちに、これらの原理から、それに依存している事物の認識を演繹するよう努め、そこからなされる演繹の全課程においては、きわめて明白なもの以外は何もないようにしなければならないこと、です。
    </blockquote>

  • 1134円購入2011-06-28

  • [ 内容 ]
    近代哲学の父デカルトが、形而上学・自然学における全ての知を書き記した『哲学原理』。
    ここでは、『方法序説』で打ち出され『省察』で精錬されたデカルト哲学が、中世スコラ哲学との対峙・対決を通して、ついに完成をみる。
    後年のスピノザによる講釈や、ニュートンが愛読したことでも名高く、加えて近年では、人間の自由意志への解釈などが展開されている点で新たな注目を集めている必読古典書。
    この文庫では『哲学原理』第一部(形而上学の部分)を新たに全訳し、最新の研究成果を盛りこんだ訳者注解を完備、第二部以降(物理学・天文学・地学等)の要約を付す。

    [ 目次 ]
    著者の書簡(仏訳序文)
    エリザベト王女への献辞
    『哲学原理』第一部(本文・解釈・参照)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


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  • 新訳!

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著者プロフィール

1596-1650年。「近代哲学の祖」と称されるフランスの哲学者。主な著書として、本書(1637年)のほか、『省察』(1641年)、『哲学原理』(1644年)など。

「2022年 『方法叙説』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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