- Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480094544
作品紹介・あらすじ
法華寺十一面観音や、薬師寺吉祥天女、百済観音、法隆寺金堂壁画など、仏教美術の至宝を紹介し、多くの読者を魅了し続ける永遠の名著『古寺巡礼』。しかし現在読めるのは、著者自身が大幅な削除を行った後の「改訂版」。オリジナルの初版には、もっと生な感動と、純粋で熱い情熱があふれている。「見よ、見よ、そこには"観音"が立っている。この瞬間の印象を語ることは、僕には不可能である。全身を走る身震い。心臓の異様な動悸」-。白洲正子ら文化人、また、出征を前にした若者など、多くの日本人を巡礼の旅にいざなった幻の稀覯本を復刻。解説では現行版との異同を詳しく検証。
感想・レビュー・書評
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奈良の寺社美術に触れる感動、そこから伸びる空想というか妄想というか、古代浪漫が広がる楽しさを共感できる。
私はそこまで学術的に鑑賞はできないので美しいなあとしか思わないが、どこからきたのか、いつの作品なのかと思う楽しさもあらあな。日本人作かもしれない、により過ぎているのは鼻につく、若さかな詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
和辻哲郎が1919年に発表した飛鳥奈良の仏教美術を紹介した印象記。一般的には1947年の改稿版が知られていますが、そちらは1919年発行の本書に加筆/修正などをしており、あまりにも感情的な文章などを整理しています。今回、復刻された初版では、執筆の1年間に旅をした奈良への新鮮な感情が込められた文章になっています。著者の奈良への愛が感じられます。
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買うまで知らなかったのだが、岩波文庫なんかで一般に知られているのは改訂版でこちらは「初版」である由。著者29歳くらいのときに奈良で仏像を見てまわった記録が元になっている。旅日記のスタイルで始まり、途中から論考がどんどん広がっていく。たしかに仏像や仏画を見ての感動が筆のままに綴られていて一興ではあるのだが、、、話が長い。ワタクシがそちらの造詣がないばかりにそう感じるところもあるかもしれないけれど。
たまたま著者らが旅をしたのと同じ季節に読めたのはよかった。
奈良の仏像や仏画は、西方の影響が色濃い。著者は中国、インドを通り越してヘレニズムの痕跡を見出すのに熱心。仮説も大胆に述べる。
『万葉集』に対する評価が低かったり、時代が違うってことか。
光明皇后施浴の伝説は面白い。
薬師寺、東大寺、法隆寺。修学旅行で行ってはいるが、当時は興味なかったな。
こうして読んでも天平時代ってのはまだ半分しか日本になりきっていない感じで興味深い。 -
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仏像見てみたい。
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天平時代。仏像寺社。興味をそそられる。実物を見たくなる。著者の視点。こぼれ話し。古人の感性、我々との共通点。思い。
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知識があり、美に酔いしれる感受性があり、奔放な想像力があった。それを旺盛な表現欲をもって書いた。和辻哲郎がこんなにすごい人とは知らなかった。ものの本性は、受け取ることのできる人の前にだけ、現れるのだろうか。奈良に行きたくなった。
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当初、岩波文庫から出ている1979年版を購入し、いつものようにまえがきにあたる部分と解説から読んだ。そして「しまった!初版本を読まなければ!」と急いで、このちくま文芸文庫の初版本を入手した。
それほどまでに、1979年に改訂されたものと初版本は構成から掲載写真、そして文章や著者の熱い思いが全く異なる。
しいて言えば、初版本は仏像、仏画に対する著者の「萌え」を心の赴くままに書いたちょっと上品な「エロ本」ともいえる。
とにかく「視姦」とさえいえるほどのまなざしで、著者の感動を一気に書き上げたような文章はほほえましくもあり、改めてそれらの対象となった仏像や仏画を見に行かなければ!と読者を駆り立てる力があると思う。
法隆寺や薬師寺など建築物に関する記述については、西岡常一棟梁(法隆寺最後の棟梁)の視点とはまた異なった見方をしていて、それはそれで面白い。
1979年の改訂版と引き比べながら読むのもまた楽しい。 -
改訂版は以前に読んだが、初版の方が古の仏、寺に対する見方、感想に瑞々しさ、ストレートさがあり、私はこちらの方が好きだ。が、時間に がある時に改訂版と読み比べてみたい。
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エディション: 文庫
出版社: 筑摩書房
出版日: 2012/4/10