MiND (ちくま学芸文庫)

  • 筑摩書房
3.29
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本棚登録 : 182
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480098856

作品紹介・あらすじ

唯物論も二元論も、心をめぐる従来理論はそもそも全部間違いだ! その錯誤を暴き、あらゆる心的現象を自然主義の下に位置づける、心の哲学超入門。

感想・レビュー・書評

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  •  書名・装丁からは予想していなかった内容ながら、非常に良い本だった。
     もっと脳科学寄りに書かれたものかと思ったが、かなりストレートに「哲学」である。しかし従来の物心二元論や唯物論などの誤りをことどとく否定しつつ、脳科学など自然科学の進展がもたらした新しい知見や常識と合致するべく、「心の哲学」を再構築する。
     易しく書かれてはいるけれど内容は相当にヘビーであり、噛みしめながら読むためには日数もかかった。やや難解な箇所もあるが取り組み甲斐のある哲学書だ。
     記述には緻密さや説得力がある。著者が間違っている部分もあるのかもしれないが、とにかく読者に深い思考を誘う書物だから、まずは黙って読むべきものだ。
    「意識」はまず現実世界における現実の現象であると著者は確認し、それは脳神経システムの機能によって引き起こされているが、その主体性を損なわずに語るためには三人称的に意識を扱うだけではダメだという主張を打ち出す。意識は神経生物学的な過程に因果的に甘言しうるが、主体性というポイントを失わずに存在論的に還元することは出来ない、ということだ。
     この主張が確かに正しいかどうかただちに結論は出せないが、さまざまな従来の(誤った)考え方を丁寧に分析していく膨大な知的作業の積み重ねに敬意を抱かざるを得ない。
     最後の「自己」についての章も面白かった。
     こういう優れた哲学書は読まれる価値が大いにあると思う。

  • わかりやすく説明されており「なるほど」と思うところがある反面、一度読むだけでは咀嚼しきれないところも…再読にトライしたい。

  • 「哲学」の常識を考え直すいい機会になった。「脳」=「意識」「心」と思いがちだが、全ては未解決だ。

  • めくっただけとなった。

  •  心の哲学の大家で、「中国語の部屋」の生みの親でもあるジョン・サールによる哲学の入門書。デカルトに端を発するこれまでの理論を大胆にもすべて誤りであると断じ、心的現象の在り方を自然主義へといざなうよう論を進めている。自然主義を掲げるためにこれまでの理論を単純に否定するのではなく、しっかりとその意味、意義を示したうえで反論している。さらにその反論に対する反論を示し、それに対して反論することで従来の理論の矛盾を暴き出している。サールが誤りとしている理論も丁寧に解説しているので、サールに同意できなくても、本書を足掛かりとして哲学の道に進むことができる、まさに入門書といえる内容となっている。

  • 原書名:MIND : A BRIEF INTRODUCTION

    心の哲学が抱える一二の問題
    唯物論への転回
    唯物論への反論
    意識(意識と心身問題;意識の構造と神経生物学)
    志向性
    心的因果
    自由意志
    無意識と行動
    知覚
    自己

    著者:ジョン・サール( Searle, John R, 1932-、アメリカ・コロラド州、哲学)
    訳者:山本貴光(1971-、ライター)、吉川浩満(1972-、文筆家)

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著者プロフィール

ジョン・R・サール(John R. Searle)

1932年生まれ. 1959年, オックスフォード大学にて博士号を取得. カリフォルニア大学バークレー校名誉教授.

「2018年 『社会的世界の制作 人間文明の構造』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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