源氏物語 (第1巻) (ちくま文庫 お 39-4)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (582ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480424815

感想・レビュー・書評

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  • 「はじめに」と題した前書き部分には、次のように記されている。
    《古典は、できれば原文を読んだほうがいい。
    全部とはいわない、一部だけでも原文を味わってほしい、そのリズムや言葉の妙や時代背景をカラダで感じてほしい。
    そんな願いをこめて全訳した。なので、心がけたのは、原文重視の逐語訳、それでいて「分かる『源氏物語』」である。
    要するに、今まで自分が欲しかった全訳を目指したのである。》

    人気の古典エッセイストである大塚ひかりさんの本は、これまでにもいくつか読んで愉しませてもらったが、この『大塚ひかり全訳 源氏物語』も期待を裏切らない出来映えだった。学術的には、「エッ?」と思う部分も少しはあるけれど、それは彼女なりの解釈であって間違いではないし、学者さんの訳ではないから問題ではない。というより、誤訳に気づかない学者さんもいるから、それと比べれば、こちらのほうが学術的にも優れている。

    そして、『大塚ひかり全訳 源氏物語』の素晴らしさは、何といっても原文が持つリズムを失わずに、なおかつ分かりやすく書かれているところ。『源氏物語』に関するエッセイを書いて来られた大塚ひかりさんならではの内容の濃さであり、実に面白くて愉しめる作品だと思った。

    現代語訳もさることながら、随所に表れる[ひかりナビ]も光っている。ここで物語の解説がなされるわけだが、時代背景や登場人物の輪郭がはっきりと浮かび上がって理解が深まる。単純にストーリーを追いかける現代語訳だと読み疲れてくるものだが、[ひかりナビ]の存在が従来とはひと味もふた味も違った味わいを演出している。現代語訳『源氏物語』の、新たなスタンダードといっても過言ではないだろう。

    この作品は全6巻からなり、第1巻には桐壺から帚木、空蝉、夕顔、若紫、末摘花、紅葉賀、花の宴、葵、賢木までの10帖を収録。

    本の内容
    『源氏物語』を現代に通じる物語として鋭く読み解いてきた古典エッセイスト・大塚ひかり個人全訳。原文を重視した逐語訳でありながら、人物像や心理が際立ち、平安朝の物語が現代に通じる非常にリアリティのある物語として読める。随所に配された「ひかりナビ」という解説によって読むべき「ツボ」も押さえられ、さらに納得度が深くなる。第一巻は光源氏出生から二十台前半の「桐壺」~「賢木」。

    著者情報
    大塚 ひかり(オオツカ ヒカリ)
    エッセイスト。1961年、神奈川県生れ、早稲田大学第一文学部日本史学専攻卒業。出版社勤務を経て、1988年、失恋体験を綴った『いつの日か別の日か—みつばちの孤独』(主婦の友社)以後、古典エッセイが多数ある。

  • 2024.01.06読了

  • 逐語訳とは言え、原文テイストも強めなので、大塚さんの解説有難し。
    光源氏のクズっぷりに苦笑いしつつ、男女の関係の機微は今も昔も変わらないじゃん!というのが率直な感想。
    6巻読み進められるか、不安。、

  • 元祖昼ドラ…
    源氏の藤壺に対するストーカー振りがホントにヤバイっす。

  • 和歌や文化的背景を解説した「ひかりナビ」がありがたい。今風の表現に徹したおかげで人物の関係や行動がわかる。原文にあたる前の一歩に最適だと思う。知識で知っていた有名な場面やイベントはこの10帖でだいたい起こっているのだな…。全6巻、あとも楽しみ。

  • 訳者による解説が堅苦しくなくて、読みやすいです。

  • 日本人なら誰しも知っている『源氏物語』が堅苦しくさを感じずに、楽に読める。
    あまりにも簡易すぎる箇所もありますが、読書の楽しみとして読むなら、十分な内容。
    充実のひかりナビがあるので、文化的背景や当時の文学的知識がなくても読めちゃいます。

  • 09/12/07
    「ひかりナビ」という訳者による解説がついていて読み進めやすかった。訳文も表現がストレートで、登場人物の心理が手に取るようにわかります。
    物語の中ではさまざまな歌集や漢籍から引用された語句やエピソードが多く、紫式部という人のマニアか?というくらいの博学さが感じられます。

  •  現代語訳源氏。それはそれは昔のこと、子ども向けの源氏を読んで分からなかったことが今となっては分かる! になったので面白ささらに倍という感じがする。

  • 09/2/24

    ひかりナビ=文中の重要語句・時代背景などの解説が随所にあり
    露など濡れるもの・容器などに注意して読みましょう。/それは性行為や女性の暗示になっているから。
    見ること≒房事。

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著者プロフィール

平安時代の作家、歌人。一条天皇の中宮、彰子に仕えながら、1007~1008年頃に『源氏物語』を完成されたとされる。他の作品として『紫式部日記』『紫式部集』などが残っている。

「2018年 『源氏物語 姫君、若紫の語るお話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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