- Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480425577
作品紹介・あらすじ
仕事とはなにか。「いい仕事」はどこから生まれるのか。仕事を「自分の仕事」にするためにはなにが必要か。八木保を、柳宗理を、ヨーガン・レールを、パタゴニア社を、ルヴァンを、象設計集団を、さまざまな「いい仕事」の現場を訪ねた貴重な記録。働き方が多様になってきた時代、迷ったら立ち戻りたい働き方のバイブル。文庫化にあたり10年後のインタビューを2本追加。
感想・レビュー・書評
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先日読んだ「千年の読書」というブックガイドから、
気になった本を読んでみた。
専業主婦となってからウン十年。
そんなわたしがなぜこの本のタイトルに惹かれたかは
あまりに個人的なことなので感想には書きませんが- - -
ここに登場し、インタビューを受けた方々は
主にクリエイティブな仕事をされている方ばかり。
なのでこの本を読むことで、今、仕事のことで悩んでたりする人が、その悩みや迷いを解消できるのかというと、そこはちょっと人によるかなー、と思った。
でもそういったクリエイティブな方が紡ぐ言葉は
理解できないこともあるけど、ハッとさせらるものも多々あった。
わたしたちが何か始めようとする時、
すでにあるもの、確立されているものを土台にすることがある。
その方が失敗が少なくて済むから。
だけど、本当に何かを始めたい、作り出したいと願うなら、たくさんのトライアルアンドエラーを繰り返すことこそが大事なんだ、というようなことが書かれていて、
ちょっと目から鱗だった。
出版されてから少し時間が経った本ではあるけど
学びはあった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人生にはあらゆる見方がある。
そんな視点を示してくれる、生き方が少し気楽に思える。
のしかかってた肩の荷をちょっと軽くしてくれるシリーズが西村さんの哲学シリーズに思う。
本当にね、社会の荒波に揉まれる前の真っ白なときに読んでほしい
そんな一冊に思います。
宣伝ではなくね。読者として本心から。
改めて、スタートアップを目指すいま、読みたい -
仕事のための本は避けてきたがこれはほぼジャケ買い
世に出てるhow to本のような体系立てた説明ではなくインタビュー記事のスタイルなので理論を学べる本ではない。が、理論よりも大事そうな「心意気」のようなものに触れられた。実際、内容はあまり覚えてないが仕事に対して元気が出た(笑)
なにより、最後の最後、解説で
『インタビューに取り上げられた人は、「当たり前」を大事にしている。わたしたちもこれまで生きてきた中で、そうした「当たり前のこと」のよさ、大切さをどこかで知っている。』
が頭の中で漂っている。あとはやるか、やらないか、だけなんだわ。 -
すごい偏見に満ちた本。インタビューされているひとたちのことは素直にすごいと思いましたが、それをひたすら礼賛して、こんなかたちにまとめようとした著者の偏見が…。とりあえず、この本を読んで共感するひととは、私は合わないと思いました。【2020年9月22日読了】
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どこかのレビューで「この本のまえがきを読んでがっかりしてしまい、その先を読んでいない」という主旨ものがありましたが、それはもったいないでしょう。
それでしたら同様の批判に対する適切な反駁が示されている本書の『文庫版あとがき』から読むべきです。
いわゆるクリエイティブだけを取り上げて、そのことをもっていわゆるサラリーマンには一切当てはまらないという指摘もあるようですが、そう感じてしまうのは思考がその段階で止まってしまっているという自白でしかありません。
この本に登場する働き手たちからなにが学び取れるか、どこに共感できるか、そういう視点でみていくといいでしょう。
決してハウツー本ではありません。書かれていることをそのまま実践する、ただ真似する、っていうのはこの本が指し示すところではありません。「自分の仕事」を「つくる」のですから。 -
古典と思って敬遠してたけど、めちゃくちゃ刺さりまくってひさしぶりに本に線引きまくった
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私もこれに出会ったのは大学生の頃で、
図書館で借りて、
付箋を引きまくって、
これは買った方が速いと、買いました
私もこれに出会ったのは大学生の頃で、
図書館で借りて、
付箋を引きまくって、
これは買った方が速いと、買いました
2019/11/25
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自分の仕事をつくる 西村佳哲
様々な仕事人(職人?)のインタビューをまとめて、働くとはどういうことなのか突き詰めるもの。印象的なエピソードに溢れている。なんといっても、まえがきがよい。
「私たちは教育機関を卒業すると、生きている時間の大半をなんらかの形で仕事に費やし、社会は無数の仕事によって形成されている。私たちは、他人の無数の仕事に囲まれて生きている」
BOSSの缶コーヒーのCMでもあったが、世界は誰かの仕事でできている。そして、その仕事の結果はあまりにも雄弁である。安売りの品物は裏にまでデザインがない。安いんだからこの程度で十分でしょうとその品物は語っている。そして、その品物を作った人も、そう語っているのである。仕事はきわめてメッセージ性の強いものであると感じる。安売りのものといったが、見方を変えれば、その品物を作った人は「不必要にデザインを凝らして高価につくるよりかは、必要最低限のデザインで安価に提供したほうが良い」と社会に対してメッセージを伝えているのかもしれない。仕事は雄弁である。これが、この本のまえがきであり、本質であるようにも思える。
先程、見方を変えれば、と書いたが、この本で描かれているのはどの人も、基本的にはデザインを凝らし、徹底的に自分が良いと思ったものを周囲に提供する人間たちである。
・八木保さんの話
つくる力は観察力に従う――――内田樹の武道の本にも何度か書いてあった(ような気がした)が、師というものは、人とは見えているものが異なる。常人よりもはるかに細かいところまで目が見える。一つの瞬間を最小限まで細かくし、そして自分がやるときはそれを再構築する。数学的に言えば、微分して、積分するのである。素人は、微分の原理を教科書で学ぶ時に出てくる、棒グラフの連続の様な形で、世界が見えているが、玄人はよりなめらかな曲線して世界が見えている。割る単位が大きい人が作れば、再構築する時はより正確性を欠いた「このくらい」の範囲のものが作られる。時間感覚においてもそうだと思う。スポーツの巧い人を見ていると、1秒間を何等分したその分節点において、細かく目的を追うための決断出されているように見える。
・パタゴニア社の話
自分が着たいものを作る―――――パタゴニア社といえば言わずと知れたアウトドアメーカーであるが、社員は皆、アウトドアが大好きであり、その際に自分自身のメーカーについて主観的に思ったことを、活かすのである。2か月間自由を与えられる制度を活用して、人々は仕事とは離れた多くの物事を行うが、その際に、ふと生活者として自社の商品について振り返りのである。
・自分で考える
あらかじめ意味や価値を約束された仕事などこの世にはない――――同じことをやっていても意味のある仕事をしている人もいれば、意味のない仕事をしている人もいる。美しいもの、良いものは、人から教えてもらうことではなく自分で知るものである。
・ヒポクラテスの言う、健康の一丁目一番地
仕事は自分を作り、自分を社会の中に位置づける欠かせないメディア――――仕事において働くことの主体は、働く人自身。仕事を自分事として捉えることがいきいきとした仕事人たちに共通項である
・佐藤雅彦氏
自分を掘り下げることで他人とつながる―――――理由はわからないけれども、自分が良いなと思うものを並べてみて、徹底的に掘り下げる。電通のプランナーである氏は、世界のCMを片っ端から見て、自分の好きなCMの共通項をまとめた。そして、それが彼のCMを作るときの指針となった。
人々に支持される表現は、多数の無意識を代弁している。しかし、その入り口は個人的な気づきなのである。―――――ユングのいう、集合的無意識への信頼を語った、とても好きな言葉である。内田樹は、メディア・リテラシーを表現を受け止めるひとへの信認と表現した。佐藤氏の言葉にも近いものを感じる。人は皆、根本では繋がっている。その根本の部分を掘り下げる為には、とてつもなく掘り続けるしかない。掘り続けた先に、普遍性とは言わないまでも、今を生きている人たちのなかでの共通解はが見つかる。そして、掘り続ける為に必要なことは、コミュニケーションの受け手に対するゆるぎない信認であり、集合的無意識の存在を盲目的に信じぬくことである。この話を聞いて、ニュートンのようなあまたの科学者たちに、宗教的なバックボーンがあったことを想起した。盲目的に信じぬくことは危うさと同時に真理への近道を内包している。
・甲田幹夫さんのパン作り
矛盾を感じさせない仕事―――――これまで、仕事をしてきた中で最も矛盾を感じなかった仕事が、パン作りである。根底には、グレゴリー・ベイトソンという人類学者の「ダブルバインド」の概念がある。一つの主体から発せられた、二つの相反するメッセージ。これらを受け続ける分裂的な感情が続くと、人は自らの精神を守る為に、いつしか失感情的になる。
正直、この話をきいて、今の自分であると痛切に感じた。人々の挑戦を支える。人に都の安心と安全を守る。そう謳っている保険会社も、結局は利益を追求している。確かに、保険会社は倒産すると社会に甚大な損失をもたらす、そういった意味で利益を生み続け、潰れずに残っていくことは不可欠である。しかしながら、自分自身が思うに、保険会社を通じたリスク回避の網の目を作るよりも、軽微な損失であれば、中間共同体的な紐帯でカバーできるのではないのかという保険会社そのものの存在に対する懐疑と、保険会社が行っているロスプリベンションやリスクの軽減というアプローチも、時間の限られた中、売り上げを伸ばすことを課されている営業社員においては、より収益性の見込める企業や、ロットの大きい企業に対してしか行うことが出来ない実体的な矛盾状態。これらに板挟みにされていつしか自分も失感情状態に陥っていた。しかし、世の中は矛盾の塊であり、池波正太郎の「人は皆死に向かって生きている、こんな矛盾があろうか」という言葉が想起される。そう割り切るにはまだ自分自身、成熟が必要な気もする。やめてしまえばダブルバインドからは解放される。しかし、何もわかっておらず、成果も残せていない今やめることは、負けた気がする。-
素晴らしい。
西村氏の本も素晴らしいですが、
何よりもこのレビューが素晴らしい。
西村氏が読んだら、きっと感動して泣くと思います。
とても...素晴らしい。
西村氏の本も素晴らしいですが、
何よりもこのレビューが素晴らしい。
西村氏が読んだら、きっと感動して泣くと思います。
とても共感しましたし、
何か勇気というか、力強いものを頂きました。2019/04/08
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三回目を読み終わりました。
働くことへのモチベーションというか、大切にしたいこととして、これからも多分折にふれて読むだろうなぁ。
こういうものだ、という押し付けでなく、自分が仕事をどう捉えていくか、考えるきっかけをくれる本。
理想論かもしれないけれど、
自分がそこに「いる」仕事をしたいと思う。
就職活動をしているので、また以前と違う思いで読んだ。
仕事に貴賎はないとはよくいう話で、頭では理解しているけど、心の中でまだ納得できていないのが本音。
自分が納得してできる仕事に就けることを願って。
2013/4/1-
私には理想には思いませんでした。それがリアルに思えることって、社会としても、個人としても、在り方として健全だと、思うのです。
私には理想には思いませんでした。それがリアルに思えることって、社会としても、個人としても、在り方として健全だと、思うのです。
2019/04/08
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いい仕事は、嘘のない仕事
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ここで登場する人たちがかっこよく見えるのは、そのスタイリッシュさによるものではなく、現在の居場所に至るまでに背負ってきたであろう苦悩とか、すり減らしてきた諸々が垣間見えるからなんだろうなと思った。
仕事観というよりは、大枠としての考え方・生き方として捉えるほうが参考にしやすい。あとがきまで読んでしっくりくるところもある。