フラナリー・オコナー全短篇〈下〉 (ちくま文庫)

  • 筑摩書房
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480425928

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  • オコナー短編集の下巻。
    こちらには短篇集『すべて上昇するものは一点に集まる』と、後期作品2本が収録されている。
    キリスト教の他に印象的だったのは人種差別を扱ったもの。短篇集の表題作でもある『すべて上昇するものは一点に集まる』が一番良かった。

  • 挑戦したけどやっぱり読めない、苦手な短篇。

  • 人間の悪い箇所に焦点をしぼって表現しているので読んでいるといやな感情しか湧いてこない、しかし面白いというのには違うかもしれないがなぜか読み続けてします。不思議な魅力のある短編集です。

    登場人物の描き方は悪意しかないがその中に真実が紛れていることが驚きです。例えば『パートリッジ祭』のシングルトンをこのように表現しています、「シングルトンの顔写真だけが独特だった。幅があるくせに骨張っていて、暗い表情だ。片方の目が、もういっぽうにくらべると大きくてまるい。そのまるいほうの目には、実行する意志をもつ人、自分自身として存在する権利のためには進んで苦痛に耐える人の沈着さが宿っている。カルフーンはそのように見た。ふつうのかたちをした目のほうには慎重な軽蔑がひそんでいたが、その表情には全体として、まわりの狂気のせいでついに発狂させられた者の苦悶が現れていた」シングルトンは悪人だが、信念を前ったいな曲げない男であることがわかる。主人公のカルフーンもわかっているくせに、根拠のない自信をもって面会したために痛い目にあってします。一瞬にして自我が崩壊するさまは悲劇です。

    この短編集を読んでいると人間は簡単には変わらないことがよくわかってきます。条件付きの良心を振りまくところは、現在でもまったく同じです。『すべて上昇するものは一点に集まる』ではジュリアンの母親は自分の生活が落ちぶれているのは、黒人が権利を主張して白人の生活エリアで我が物顔で振る舞っているからだと考えています。思いっきり差別主義者なのに、私は黒人の権利を認めますみたいなことを言ってるところはなんか憎たらしいです。あと、黒人の子供は白人の子供よりかわいいみたいなことをしゃべっているのですが、こうゆう人はいまでもいるよねと言う感じがします。バスで同情する黒人女性がジュリアンの母親と同じ帽子をかぶって登場するところは、めちゃくちゃ笑える面白い箇所です。笑いながらも、私も差別主義者ではないと思いながらも、なにか条件付けていないかと思い返して嫌な気分になってします。そこらへんがフラナリー・オコナーの小説の恐ろしさです。



  • 「森の景色」がいちばんすごかった、すべての行が物語を押し進め、われわれを取り囲み、蜘蛛の巣のように張り巡らされ、最後身動きを取れなくする。その結果としての殺し。
    初期のものと比べると圧倒的に後期の作品のほうが緊迫感というか、にじり寄って詰めかけてくるような切迫感があるし、ラストもバチィっと決まっている。
    「障害者優先」「パーカーの背中」もすごくよかった…

  • 既に味は解る(上巻既読)ので、もうちょっと期間を置けば良かった。密造酒(本作)を摂取するのは内臓に負担がかかる。50年位前のアメリカ南部。工業化はまだのようで文化的に洗練されてない。国の負の遺産、人種問題をそこに居住している住民に丸投げしたような、全ての住民が幸せでない感じ。

    何かさ「じゃあ戦争しますね、あなた達は武器なしで」って言われて、石とか枝で戦おうとする人達に対して「愚かだ」と言うような、そういう社会の傲慢さを感じる。暴力そのものより、それが生まれてくる原因の禍々しさに、皆は拒否反応を示すのだ。

  • 短編集
    3森の景色:衝撃的な作品だ。孫の中の一人の娘だけの能力を認めていた老人がその孫に反抗され結局殺してしまう話。何故殺してしまったか理由を一切書かないところが素晴らしい

  • これまでで読んだ短編の中で最も印象深かった。

  • 人種差別の問題がしつこくなる。「しつこい」というか、それほど「根深い」というところか。南部作家の宿命。

    この人の評論を読まなければならない。

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