- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480428295
感想・レビュー・書評
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東直子 著
東直子さんの本を読むのは初めてでした。
名前は知っていたけど…短歌の人?
日本の歌人の印象が強かったけど、短歌は勿論のこと小説や脚本、絵本、イラストレーターと幅広く活動されているのですね。
多くの書物(殆ど、小説)を読んではいるけど…?読んでいたような気になっていただけで…(・・;)ブクログの方々の本棚を覗けば、登録はしてないけど、読んだ本も多くあると思えば、読んだことのない本や興味を注がれる本がそれ以上にあることに今更のように気付かされる。
まさしく、この本もそうだった。
何で読んでなかったんだろう、知らなかったんだろう、でも出会えたし、知る機会があって読めたことに感謝の気持ちでいっぱい(^^)
ブクログに入ってて良かった〜(*゚▽゚*)って気持ちを再確認出来る!ありがとう♡ 素敵な本を教えてくれて、ホントありがとう(๑˃̵ᴗ˂̵)
さて、本作の題名が『とりつくしま』
10の短編と番外編を含む11話で構成されている不思議などれも切なくて、あたたかいお話
この題名を最初にみた時は、どんな内容か想像も出来なくて”とりつくしま”って…
ある対応に「とりつくしまもない…」ったらありゃしない、、なんて相手の態度が強引で入ってゆく余地もないような、どちらかといえば、嫌な気分になる悪い印象の言葉でしか思いつかなかったけど(๑•̌з•̑๑)੭
本作はまるで言葉の語源でもあるような
取りつく島 と.り.つ.く.し.ま…?
「あなたは何を とりつくしま にしたいで
すか?」「何になりますか?」~(・・?)
え〜っΣ(゚д゚lll)そんなこと言われても…
とりつくしまがあるってことぉ?
この発想には驚いた!(◎_◎;)
とりつくしま係の存在があって、死んでしまったあとに、生きている以外のなりたいモノになれるという、モノになって大切な人の近くにいられるとしたら…。
実のところ、私は死んだら無になると思うし、無になりたい、死んでまで感情が残っていたら最悪だ!って思ってる。
生きている今は死ぬまでにはしたいことを少しでも実現させたいとか少しはいい人間だったって印象を残したいとか…人に対して寛容な人間になりたい。
(勿論、寛容になれていないから願ってるわけなん
なんだけど(>_<)
究極の問題として断捨離したい!綺麗サッパリ片付けて余分な物や仕事を残したくない。
残された人に自分のことであまり迷惑をかけたくないとか真剣に考えてるけど…
死んだらそんなすべての感情もなくなり、思い出も意識もなくなる訳だから別にいいのか?とも思えてきたりもする(-。-;
ただ、残された家族(親はもういないし、姉は家族が居るし、友達だって家族が居て、私がいなくても問題なさそう)パートナーである主人のことだけが気がかりだ(。-_-。)
そのことを考えだすと、一人残された夫が気の毒で、心配で悲しくなるから考えたくなくなるけれど、それすら生きているから悲しくなるのだろう。
だから、自分は死んだらこの世に何の未練もなく、とりつくしま なんてほしくもない。
死んでまで悲しみに暮れたくない。
けれど…この本を読んでいたら、、
やっぱり、切なくてしんみりして…なのに何だかあったかくて心の中に沁み渡ってきた。
結局、死んで何も出来ないけれど、見守っていたい思いや優しさに包まれてしまう。
そして、自分はどんなとりつくしまになりたいのかな?と思った。
最初の一編目の”ロージン”これはいいな!と思ったけど、息子も居ないし…
扇子か日記…夫が持っているところも書いているところも見たことがない(−_−;)
とにかく、なりたいモノになれるとしたら消耗品がいいなぁ…ワタシ。
なんて誰にも聞かれた訳でもなく、とりつくしま係さんに会ったことも会えるかどうかも分からないんだけど。
あ、そうだ!私、毎日舐めているマヌカハニー(ハチミツ)がいいな!
健康にいいから(今更…(^_^;)
私は口内炎になりやすいので抗菌作用含むといって買ってきてくれてる高いヤツだ!
こんな高額な蜂蜜勿体ない(-。-;と言いながら、結構、美味で意外と?体に良さげな気がして続けている、それを引き継いで癒してもらいたい(^^;;
それそれ!その瓶の中に入っているひと瓶のハチミツになりたい!
ひと瓶の中身(ハチミツ)がなくなると同時に、私も消滅したい。(な〜んて、結局何になりたいか?考えてるじゃんσ^_^;)
短編作品のどの作品もそれぞれに面白くジーンときて良かった。
特に私の好きだった編は、
「ロージン」と「白檀」それから「日記」かな、、ホントはこの日記のとりつくしまさんがいい!グッとくるものがあった。
番外編の「びわの樹の下の娘」はチョット怖かったですよ、、
あとがきにも書いてありましたが、この本の作品は、とてもよく朗読されているとのこと
それがとても分かる作品だと思います。
東直子さんのあとがきが、また本当にいいんですよ!ネタバレになるから言いませんが…
この本の表紙のイラストがまた素敵です♪
表紙見ただけで手に取りたくなってしまう。
時々、絵本好きの友達から素敵な絵が描かれている絵葉書の便りをもらいます♪
ある日もらった絵葉書の絵がヘンリー.ダーガーの絵で、あらら、少し露わなチョピリ恥ずかしくなるようなそれでいて可愛い(。◠‿◠。)♡大好きな絵、その絵葉書の絵を思い出しました。
少し似ているような本作の表紙のイラストは岡田里さん。
東直子さんのこの本は、とても私の好みの作品でした。他の作品も是非また読んでみたい
短歌も。
追記
少しネットで短歌をタグってみた(*゚▽゚*)
これがまたいいんですよ
三遍だけ引用します。
一度だけ「好き」と思った一度だけ「死ね」と思った 非常階段
後悔が残るくらいがちょうどいい春あわゆきのほかほか消える
(東直子/「春原さんのリコーダー」より)
電話口でおっ、て言って前みたいにおっ、て言って言って言ってよ
(東直子/「青卵」より)
きっと…ブクログの短歌好きの人は詠まれたでしょうし、載せてくれてたかもしれない。
私も、東直子さんの作品にとても興味を持ちました。
次に読む作品も何処かで探してみよう!
次の作品をとりつくしまにしよう
(まだ…死んでないけどね(⌒-⌒; ) -
現世に心残りがあるまま、この世を去った人たちが、何か「物体」になってもう一度現世を体験できるという面白いコンセプト。家族や恋人など、大切な人が使っていた物体に宿って、それぞれの人に「憑りつく」11のエピソードが紹介されている。1話をだいたい10分強で読むことができるのだが、ホロリとさせられる。音読会も行われているようだ。私だったら途中で涙が出てしまい、音読にならないだろう。。
特に印象に残っているのは次の3つである。
・妻のことが気になり、妻の日記にとりついた夫
・母親・妹・友人に会いたくて、公園のジャングルジムにとりついた男の子
・妻と子供に会いたくてマッサージ器にとりついた夫
とりついてみたところで、必ずしもハッピーエンドになるとは限らない。
ネタバレにはしたくないが、人間は「物体」を雑に扱ってしまうもの。例えば、とりついた「物体」が見知らぬ人に渡っていたり、全く使ってもらえなくなったり、途中で捨てられたり、物理的に破壊されたりする。ちょっと残酷だが、現実に起こりうることである。そんな時に「物品(故人)」目線からどのような思いが語れられるのか、必見である。
人からもらった「贈与」の対象物には、その人の魂が宿るらしい。長く存在する記念品であっても、食物のような消耗品であっても同じである。嫌なことがあった日は、この本を思い出して、自分の周囲にある故人の「魂」に想いを馳せて、1日1日を生きていることに感謝したい。間違っても、モノに八つ当たりすることはできない。 -
昨年夏、読書仲間と交換した本を少し時間のたった今、手に取った。
この世に未練を残し、亡くなったばかりの人の前に「とりつくしま係」が現れる。
生き返ることはできないけれども、モノにとりついて、この世をもう一度体験できるのだという。
軟式野球部のピッチャーの中学生の息子のロージンバッグに「とりつく」母親。
二年前に結婚したばかり。トリケラトプスのマグカップに「とりつく」妻。
公園の青いジャングルジムに「とりつく」幼稚園生。
尊敬していた書道の師匠の扇子に「とりつく」女性。
図書館司書の女性の名札に「とりつく」ホームレスの男性。
けんかばかりしていた母の補聴器に「とりつく」女性。
交際中から文通を続けていた妻の日記に「とりつく」夫。
働き盛りの50代。妻、大学生の息子、高校生の娘を残して亡くなった男性は、リビングのマッサージ機に「とりつく」。
バトミントン部の女子中学生は、憧れの先輩の彼女のリップクリームに「とりつく」。
孫に買ってあげたはずのカメラのレンズに「とりついた」女性は、思わぬ引取り手の元に迷い込む。
母を残して亡くなる娘は、自分の髪の毛一本、裏庭に埋めるように懇願。びわの木にからみつく宿り草に「とりついた」。
死者のこの世への未練や無念の思いは様々。
生前かなわなかった思いを胸に戻った現実は、実に切ない。
優しい筆致で読み易い文体だが、読むのに時間がかかる作品集。
それは、人生の価値と、人の命の重さなのだろう。
悔いのない人生などありえない。
でも、自分なりに大切に生きていこうと、静かに深く思うことのできた美しい短編連作集。 -
本当にとりつくしまがあって、なにかにとりついてくれてたらいいな。
私の知らないところで、だれかが、なにかが、見守ってくれていると時の流れに希望をのせることは、傲慢ですか、それとも高潔ですか。 -
死後の世界を違った角度から表現した作品。
とっても面白かったです。 -
死んだあとに何かモノにとりつけるとしたら、という設定の短編集。
ロージンになって野球少年の息子を見守るお母さん、大好きな公園の"青いの"になって、友達や兄弟をみている男の子、親切にしてくれた司書さんの名札になるおじいさん、それぞれ生きていたときの物語と、その後自分がいなくなったこの世を受け入れていく過程がある。
決して明るい物語ではないのに、全部あったかい光の中の出来事のようだった。私だったら何をとりつくしまにしようかな。 -
せつないけど悲しくない。でもグッと込み上げてくる。複雑な気持ちになる。
短編で何度も読めそう。私はとても好き。 -
短歌で知っていた作家で、美しい装丁に惹かれて中身を見ずに読みはじめた。
死を身近に感じている自らの状況から、死後の世界というテーマに怯んだ。精神的ダメージを覚悟し、読むのを辞めようかとしばし逡巡したが、怖いものみたさで少しだけページを繰ると、ダメージよりもむしろ癒しとなって心に染みてきた。
死を目の当たりにしたり、覚悟したとしても、こんな世界が広がるならいくらか心が休まるような気がした。 -
2017.10.18読了
死んでしまった人が
生き物以外のものに
とりつくことが出来ますよーって言われて
その思い入れのあるものにとりついた目線からのお話。
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老若男女がね
それぞれのものにね
とりつくの。
※憑りつくって書くと少し怖い感じするから
あえてひらがな。
【青いの】は少し切なかった。
【マッサージ】はホロリと来た。
私、単純だから
読み終えたあと
いろんなもの見つめちゃった。
いろんなもの大切にしよ。
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ひとつひとつの話を読み終えるごとに、「わたしは何を"とりつくしま"に選ぶだろう」と考えた。それは、自分の死後まで寄り添いたいと願う人は誰か、ということである。
思い出の品や身の回りの物にとりつくということは、わたしたちが「あの人は亡くなったけれど、今もわたしたちの中に生きている」と思うことと同じなのかもしれない。
確かに、私も積読本多くて…(-。-;
読みたいと思っても、いつになることやらって本多いです!
『とりつく...
確かに、私も積読本多くて…(-。-;
読みたいと思っても、いつになることやらって本多いです!
『とりつくしま』タイトル
歌人である東直子さん、ならではですよね〜(о´∀`о)
(また私のレビューにもコメントいただき大変嬉しいです)
ほんわかした...
(また私のレビューにもコメントいただき大変嬉しいです)
ほんわかした絵の表紙に、”とりつくしま”という不思議なタイトルに惹かれてしまい、hiromida2さんのレビューに背中を押され、さっそくポチっとさせてしまいました。なんだか身の回りの日用品から食品に至るまで、全て愛おしい気分になりました。大事に扱わねば。。
東さんの独特の世界観に引き込まれてみたいと思います!
東さんの独特な世界観に引き込まれて下さいませ(ღ′◡︎‵)
そしてまた読まれた後...
東さんの独特な世界観に引き込まれて下さいませ(ღ′◡︎‵)
そしてまた読まれた後のシントラさんのレビュー
楽しみにしております♪