底抜け合衆国: アメリカが最もバカだった4年間 (ちくま文庫 ま 42-2)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480429124

作品紹介・あらすじ

得票数が負けたブッシュが大統領?/アメリカの底で見ていた9・11/スパイダーマンが泣いた日/ホラ新聞『ジ・オニオン』が伝える真実/「愛国法」でピースも禁止!?/シュワルツェネッガーのライバルは「アーノルド坊や」とポルノ女優…2000‐04年発表のコラムを集める。恐ろしくもマヌケな、アメリカの真実。単行本未収録原稿「2004年大統領選挙日記」を増補。

感想・レビュー・書評

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  • インターネットに蔓延する人種差別グループ「スキンヘッズ」とは?バブルが弾けたドットコム企業!クールな黒人小学生が毒舌を吐く尖りまくりな新聞漫画「ブーンドッグス」!9.11同時多発テロがアメリカのエンタメに、どういう影響を与えたか?「地獄の黙示録」のカーツ大佐の元ネタとは!アメリカから自由を奪う「愛国法」の怖い内容!ハリウッドで起こった反戦スター・バッシング!「アメリカン・サイコ」の原作者が作品で描いたアメリカのエキセントリックなB面とは!などなど、アメリカが凋落し始めた時期のコラム集。

  • 軽い題名、装丁とは裏腹に、結構痛烈な内容を含んだ一冊。

    アメリカのゼロ年代をつき動かしてたのは恐怖であるという主張は、非常に見事。
    全体主義に傾きつつある日本の未来が重なって非常に心配である。

    著者の本分である映画の話も面白いし、サブカル的な話も面白い。

  • 『地獄の黙示録』のカーツ大佐のモデル、トニー・ポーについてのところがスリリングで面白い。

  • 2019/8/9購入

  • ゼロ年代前半、ブッシュ大統領、9.11、イラク戦争に入っていったアメリカを米在住の映画評論家町山智浩が捉えたコラム集。

    作品的にはすでに20年前の出来事なのでこれはもはやアメリカ現代史と言っても良いのかもしれません。終盤にいくにつれ徐々に深刻な語り口になっているような気がします。

    解説はあの内田樹。政治的志向は両者似たものがあるのでしょう。解説中で内田樹さんがおっしゃっていますが、町山さんの凄さは細部の誰も気にしないような部分にも同型性を見つける映像記憶力と観察力。彼の映画批評を読めばすぐに分かると思います。つまり、この映画のこの部分は別の映画のこの部分と繋がっている!ということ。主題を考えることは各視聴者が考えればいいことで、細かい部分を解説してくれるのが批評家なんだと思います。

    このコラムが書かれている当時の私は中学生から高校生になるぐらいの頃でした。ある日9.11をテレビで観て、大人が騒ぎ、当時現地にいたアメリカ人のALTにニューヨークの様子を聞いたものもそれはどこか映画と同じ現実のものとは思っていませんでした。想像すらできなかったんです。

    高校生になり私の青春GREEN DAYのAmerican IdiotやWake me up when September endsを歌い、EMINEMを聞いてはしゃぐそんな何も考えていない、歌詞の意味なんて興味すらなかった。「ブッシュ?なんかめっちゃ批判されてるよね?」「なんか話題だから華氏911みるか」ぐらい。

    今振り返って考えてみれば、もっといろいろアンテナを高く張って意識して生きてくればよかったと思います。

    夢と自由の国だったはずのアメリカは今後どうなっていくのでしょうか。ブッシュの後は黒人初のオバマ大統領が誕生しました。そしてその後を引き継いだのが過激発言満載のトランプ大統領です。日本にとっては対岸の火事ではありません。アメリカと交流し続けなくてはいけない運命ですから。

    また日本で今騒がれている問題はアメリカでも騒がれていた(騒がれている)問題と重なります。アメリカの話を読んでいるはずが、日本の今後が心配になります。

  • 子ブッシュの大統領選から、再選直前に至るまでの、アメリカがどんどんと暗い雰囲気になっていく過程を書いた日記。
    町山さんの語り口も、最初に比べるとどんどんと陰鬱になっていく感じがする。
    現代から見ると、「誰がなっても変わらない」はずのアメリカ大統領が、ブッシュがなったためにどんどんと住みにくい、暗い国に変わっていく記録として重要ではないか。

    ここからアメリカは全く復活してないよなぁ。

  • アメリカ在住の筆者による「9.11」と「華氏911」をめぐるドキュメントはとても興味深かった。表現の自由が侵されやすいミュージシャンや俳優がリベラルもしくは左寄りの思想を持つのは洋の東西を問わないが、やはりアメリカ人は行動的だ。

  • ブッシュ大統領選の時になにが起こったかという記録です。
    日本のマスコミのニュースを通してしか見てなかったので、こういった直接のレポートは、おもしろかった。というか、知らんことの多さに、毎度、びっくりします。

    基本、今まで読んでエッセイは楽天的なものが多かった作者ですが、今回は、かなり悲観的です。あれ?これが、今まで読んだ3冊のなかで1番古いのかな。

    アメリカは、この悪夢を通して少しましになった気もしますが……日本は、リーダー選びを間違えているような気が……。

  • 同じちくま文庫の『USAカニバケツ』より以前の、2000~2004年のエッセイ。1997年に住むようになったアメリカ社会・時事ネタで基本的に内容は共通するものの、911テロあたりから移住当初に感じられていた自由な気風が失われていくことに異議を唱えるところが多く、ややシリアスな社会ネタが目立つ。それだけに著者書物比較では少し重め。でもあくまでシャレのめして諷刺していく姿勢が貫かれているし、本書も情報満載のお徳用文庫に仕上がっている。アメリカの夢そのもので少し背筋が寒くなるシュワちゃんプライベート博物館(P171~)、異常なチャレンジ精神のNFL選手の悲劇(P242~)が印象に残るエピソードだった。ちなみに幅広い話題を網羅する著者も今一つスポーツについては熱が薄い気が以前からしていたが、例えばNFLで司令塔たるQBに黒人選手が少ないことについて白人の上層部が黒人QBを育てようとしていない可能性に触れ「いくら黒人が多くても実は少数の白人のもとで支配されている、という構造はNBAやメジャーリーグにも共通するのだが、奴隷制を連想させてイヤな感じだ。」(P193)と書いており、その辺にあるのかなあと思った。

  • 地獄アメリカ巡りその一。自由の国がはらむ全体主義化の危険性を暴きだし、世の中が立体的に見えてくる好著。今読んでもなお威力は衰えず。

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著者プロフィール

1962年生まれ。映画評論家。1995年に雑誌『映画秘宝』を創刊した後、渡米。現在はカリフォルニア州バークレーに在住。近著に『トランピストはマスクをしない コロナとデモでカオスのアメリカ現地報告』(文藝春秋)、『映画には「動機」がある「最前線の映画」を読む Vol.2』(集英社インターナショナル)、『最も危険なアメリカ映画』(集英社文庫)、『町山智浩のシネマトーク 怖い映画』『町山智浩の「アメリカ流れ者」』(スモール出版)などがある。

「2021年 『町山智浩のシネマトーク 恋する映画』 で使われていた紹介文から引用しています。」

町山智浩の作品

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