僕の明日を照らして (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.59
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本棚登録 : 386
レビュー : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480431417

感想・レビュー・書評

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  • 切なくて痛々しくて、すごく優しい話だった、と思う。
    子どもは確かに決定権がないし自立は難しいけれど、その中で本当に色々考え、感じて生きている。守りたいものもある。
    隼太は中学生らしい脆さを持ちつつも、とても賢い…周りの空気や気持ちを敏感に読み取る。そして優しい。
    そもそも人間は、ここでいえば優ちゃんしかり、大人子供関係なく、本当は皆脆くて弱い。
    世の中本当に悪い人なんて、なかなかいない。それでも、すれ違ったり、掛け違えたり、トラウマから逃れられなかったり。皆がそれぞれ一生懸命向き合っているはずなのに、上手くいかないものだね。

    最後、いままで頑張ったふたりを見てきたのでハッピーエンドになってほしかった。哀しい心持ちになったけれども、それもまたひとつのリアル。ただ、まだ少し希望を感じさせるような終わりだったのは唯一救いかな。
    人生はなかなかに厳しいけれど、隼太も優ちゃんもお母さんも、スナックのお姉ちゃんも隼太の同級生も、そして私たちも、そんなヘビーな現実を、もがきながら、手探りしながら、これからも生きていくということを、最後まで繊細に温かく描きあげていたのが、とても瀬尾さんらしい。

    派手な話ではないし、楽しい話でもない。でもそういうことじゃなくて、どうしようもなく感情を揺らされた。隼太に自分が被って共感もした。そういう本はなかなかないので★5つ。

    最後の3人のシーン。隼太の想い、とてもよくわかってしまって、でも母親の気持ちも最もなのわかるから、切なかった。

    どうか隼太はじめ、皆の明日が照らされますように。

  • なんでだろう。おかしな形の愛を、すごく愛おしく想った。さみしさは時に、残酷に悲しいほど、人を触れ合いへ敏感にさせる。けれど、それが温かくて、羨ましくも思う。最後は、涙がでた。

  • 暴力を振るっちゃう優ちゃんとの物語。
    血のつながりのあるお母さんと、血のつながりのない優ちゃん。クラスメイトに、部活の先輩。
    人との繋がりについて改めて考えちゃうようなお話でした。

    暴力よりも一人ぼっちの夜のが怖い、ってわかる気がする。
    守りたいもののために必死になる姿に苦しくなりました。

  • 一言でいえば家庭小説に入るんだろう。児童虐待に関する物語。

    読んで、子供にとっての最良を考えた。このところ話題のドラマも思い出したりして(見てはいないのだけど)。

    うむ、答えが出ないというのが正解なのだろうと読み終わって微かに思った。

  • はじめの方辛すぎ。ていうかまあ終始私はつらいなあと思ってた。

    どれだけ望んでも手に入れれなさすぎたら変な諦め癖がついちゃって、心が揺れ動かされ無くなるのかなあなんて思ってた。隼人の行動に。

    優ちゃんは、えぐい。頭おかしい。
    隼人がどれだけ言おうと、引き離すべき。
    優ちゃんの殴った後のぐちぐちなよなよした言葉を発達段階の隼人に聞かせたくもない。

    子どもの時の自分と、今の自分、それぞれに照らし合せたら隼人の気持ちもお母さんの気持ちもなんとなくわかる。大人としてどうしなければいけないかよくわかる。もう少し大人になったら子どもの時どう思ってたかなんて忘れちゃいそうでこわいなあ。
    でもなんと言おうと暴力はだめだよ。
    力で相手を支配するなんてしたらあかんやん。ばーか。

    最後の解説、有り難かったです。

  • 最初ちょっと子どもっぽい中学生だなって思ったけど、この成長は中学生じゃないと出来なかった気がする。学校の先生って大嫌いだったから、こんな希望に満ちた話が書ける著者が教師だったのが信じられない。
    最後の最後に解決しなきゃいけない事件が起きたけど、きっと大丈夫だと思う。

  • ★3.5
    どんな理由があったとしても、暴力は許されるものではないと思う。特に、本書で描かれた隼太に対する優ちゃんの暴力は、全くもって言語道断。が、決して暴力を肯定するわけではないけれど、隼太と優ちゃんの関係性は微笑ましいことが多く、読後感も不思議とほっこり。ただの虐待小説ではない、その奥に潜む光が感じられる。そして、正しいかどうかと善悪はまた別のもので、“善=正しいもの”というわけでもない。真っ当な善である母親が糾弾されるのも一例。とはいえ、読書中は隼太の気持ちが理解し難く、解説を読んで腑に落ちた感じ。

  • ほっこりして良いのか分からないけど、ほっこりしました。
    本当のDVは、この話のようにはいかないだろうから、優しく問題が解決されていくことに、少し疑問が残るけど。なぜ優ちゃんがDVをするのかナゾのままで。ナゾなもんなんだろうか。
    中学生の少年の子供と大人の狭間の心の内が、繊細に描かれていた。

  • 親の立場で読んでみると、子供のことを本当の意味で理解するためには、近くて見守る時期も大切だなと感じたし、母親としてできることできないこと、父親としてできることできないことがあるなとわかった。
    暴力は絶対に許してはいけないけれど、優ちゃんのキレてしまう気持ちもなんとなくわかる。親や夫など、心を許している人に対しては、時々感情に任せて言葉で強く当たってしまったり、なんであんなことを言ってしまったのだろうと後悔したりする。
    結末は、ここで終わるの?っていう感じも否めないけれど、単純にハッピーエンドじゃないほうが現実的で良かったのかなとも思う。



  • 大好きな瀬尾まいこさんの作品なのに、こんなにもレビューしにくいのは初めて。
    重い内容なのはわかってたけど、ぜんぜん別の意味で後味の悪さを感じた。

    相変わらず文章は読みやすく、思春期の心の動きとか描写がうまくてストレス感じることなくスラスラ読めたので、この後味の悪さは虐待という重い内容のせいでは絶対ない。
    強いて言えば問題の解決が見えず、希望が見えてきたところをぶった切られて終わったせいだと思う。


    -----ここからネタバレあり-----

    ・優ちゃんが虐待するようになったきっかけ(トラウマ)が謎のまま。
    ・後半に友人たちが「おかしい」と感じた主人公への違和感の原因はなんだったのか。
    ・治る兆しが見えてきて未来が開けてきたところでの虐待の発覚と、そこで話しがあっさり終わってしまったことへの不満。

    母親の立場からすると、虐待をしていたとわかったことで再婚相手を追い出すという心理はわかる。
    そこで簡単に許したり、しばらく虐待していないとわかったところでじゃあ様子を見よう、とならなかったのも、リアルに考えると納得。
    だからこそ、そのとき優ちゃんをかばって母親と対立した主人公のその後をちゃんと描いて欲しかった。

    読者として(少なくとも私)は、キレそうになったのを必死で堪え、主人公とともに初めて耐えた場面を知っているからこそ、「まって、すぐ追い出さないで時間をあげて!」と助けたい心理が働いてしまう。
    でも救済どころではなく、虐待発覚と同時に物語も終わってしまったことが後味の悪さを残した大きな原因である。

    ハッピーエンドで終わっていい話ではないのはわかるけど、ハッピーエンドでなくてもいいから、母親に発覚したあとのところまできちんと書いて欲しかった。

    そういうわけで内容が悪かったわけではなく、ラストに不満が残ったので、瀬尾さんの作品で初めて☆1とさせていただきました。

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著者プロフィール

瀬尾まいこ(せお まいこ)
1974年、大阪府生まれ。大谷女子大学国文科卒。2011年の退職までは、中学校で国語教諭として勤務する傍ら執筆活動を行っていた。2001年『卵の緒』で第7回坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、これが翌年単行本デビュー作となる。2005年『幸福な食卓』で第26回吉川英治文学新人賞、2008年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞をそれぞれ受賞。これまでに映画化された作品に、代表作『幸福な食卓』、『天国はまだ遠く』『僕らのごはんは明日で待ってる』。『そして、バトンは渡された』は第31回山本周五郎賞候補、2018年「本の雑誌が選ぶ上半期ベストテン」1位、「キノベス2019」1位に選出、さらに2019年本屋大賞を受賞。2019年6月13日、『優しい音楽』(新装版)を刊行。

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