娘と私 (ちくま文庫 し 39-3)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 253
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (649ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480432209

感想・レビュー・書評

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  • こんなふうに何十年も夫婦やこどもの事を記していったら、私だったらどんな物語になるか…と考えさせられた。
    時がたって夫婦として仕上がってゆく感じが読んでいて嬉しい気持ちになった。

  • GWを利用してやっと読み切れた!

    獅子文六にハマって約2年。ちくま文庫で近年復刊された作品を読み漁り、評伝や企画展などで彼の生涯を知ったうえで、今だ、と思って読み始めた私小説「娘と私」。

    タイトル通り、娘とのエピソードが中心なのかなと思ったら、2番目の妻を迎え3人家族となった文六一家と、戦中〜戦後の自身の苦悩について詳しく記されていた。

    あまりにも正直な感情を書きすぎていて、千鶴子さんに少し同情してしまう箇所もあったけれど、読み終えると、また違った感慨が湧いてくる。

    カラッと明るくモダンな作品で世間を楽しませた流行作家が、私生活でこんなに苦悩し奮闘していたことに驚き。

    牧村さんの解説の結び、巴絵さん(作中では麻理さん)について触れた数行に何故か泣けた。

  • 0144
    2019/09/26読了
    自伝小説。とても大変な時代に苦労されたんだなあと…。一家族の物語としても、昭和の、戦争の記録としても面白い。
    娘の出生から始まるが、本当に産まれたところから始まったのがびっくり。そこからの結婚までを描いていて、自分も親戚の一人としてこの家族を見ているような気分になる。
    ますます獅子文六作品を読破したいと思った。

  • 本当に大好きな作品。父と娘の物語ってなんか惹かれるんだよな〜。
    楽しいときもあり、辛いときもあり、でも、ひとつひとつのエピソードがとてもあたたかい。
    一番好きなシーンは、娘が産まれた日。男の人ってこんな感じなんだろうな〜って、微笑ましくて、でも、じんわり涙が出てくるような。ラストもとてもよい。
    そしてこの作品は「悦ちゃん」とセットで読むべし!

  • 「この作品で、私は、わが身辺に起きた事実を、そのままに書いた」とあり、今まで読んだ獅子文六作品よりも抑制した文章で綴られている。
    題名から想像していた“娘と自分”とのこと以上に、“再婚の妻と自分”とのことに比重が置かれていて、それに関して「自跋」で明かされているし、本書の献辞もその亡妻に贈られている。
    作者は出来るだけ包み隠さず、率直にその時々の心情を振り返って語ろうと努めたのだと思う。「私という人間は、子供だとか、妻だとかのために、犠牲となることを、喜びとするような風に、できあがっていない」と記す、個人主義で我儘でへそ曲がりの作家の、時に妻や娘がいなかったらと我が不自由を嘆き、時に愛情や思慕を抱く、その何れもが偽りのない本心であるだろうところに、作者の誠実さが伝わってきた。

  • 図書館で。
    時代が違うから考え方が違うのは当たり前なのだけれども。やっぱり男親に子供を任せるのは心配だなぁ…なんて思いました。そういう意味で千鶴子さんとの結婚は何より娘の母親が必要だったというのはなんだか納得。でもこれを読み終わった後、調べたら静子さんを亡くされた後、一年ぐらいで再度結婚されててびっくり。しかも作中にはもう俺も長くないだの、今の妻は親戚のオバサンのようなものとか書いてあるけど息子も生まれたんだ…と知るとちょっと、うん、まあそれはそうとしてもって気になる。昔は60ぐらいでも世話する人が居て、結婚したんだなぁ…。とは言え新婚の娘の世話になるのもナンだし、お金が無い人ではないからそれはそれだったのかもしれない。

    女性が仕事に就けて働いて経済的に自立できるという事は素晴らしいなぁと思います。男性を頼りにして生活していく事の困難というか苦労を考えたら…貧乏でも自分の稼ぎや借金で苦労する方がナンボかマシだものなぁ…。いや、他の人と比べて(太宰とか佐藤ハチローとか檀 一雄とか)獅子文六は余所に女性を作るわけでもないし、原稿料を全て飲み代に使ってしまうなんてことは無かったみたいですがそれでも偉そうにお前は何さまだ、と作中思う事は暫しありました。(時代が違うので仕方ないのですが)そして妻や娘の心中を実しやかに語っていますがそうかなぁ?と首を傾げる事もあり。後書きにあんなに良いパパじゃなかったわよと娘に言われた、とありましたが…うん、そうだろうな、なんて頷いてしまいました(笑)

    さらにあとがきで四四十六をもじって獅子文六、文豪より上だから文六という解説が面白かったです。トンチが効いてるな~

  • この父親、子供が小さいのに離れて暮らすと独身に戻ったように気楽になったり、生計が立たずまだ勉強したいと思ったり、30代はまだ子供だ、みたいに自分で言って、共感できるわー。子供が産まれたからって大人になるわけではない。育児ノイローゼの親は読んで気楽になってほしい。でも、再婚した妻と新婚旅行の夜に避妊薬わたすなんてがっかりさせてくれるわ。風俗にも悪びれず行くし、こんな家族の話の中で平気でこういう行動を書かれると、男ってほんと人間として生まれて偽善者として育つものなんだなと思う。
    それにしても、新しい妻との間に子供が生まれることと自分の前妻との子のことで勝手に葛藤して、どこまで自分の世界に生きてるのやら。でも子持ち再婚の男はこんな気持ちなんだなとわかったのは良かった。
    マリの結婚相手が年下なのを、10才以上年下の妻が婆さんくさく見えてきたから不安なんてほんとこの男はあきれるね。

  • 戦前、戦後に活躍した獅子文六の私小説である。雑誌に連載され、NHKの朝ドラ第一号の作品である。

    主人公の獅子文六と思われる「私」は若くしてフランス人妻とに娘をもうけ、その妻に先立たれたのである。まだ若い「私」は自分の仕事や将来のことが一番大事と思っていたのに、シングルファーザーになってしまった。昭和初期のことである。

    フランス人の亡妻との間に生まれた娘「麻里」、その娘の育ての母親になってくれた千鶴子に対する率直な「私」の思いを赤裸々に書いている。

    父親の娘に対する愛情はこんな風に思うのかと新鮮に思ったし、戦前昭和男の結婚観、妻に対する愛情の持ち方に違和感や驚きを感じながらも面白く読んだ。

    全編に流れる戦前昭和の父親の愛情は、私の母の父親との思い出話と重なり今以上に過保護な面もあるなと思った。昭和の生活や子供を育てる父親の気持ちを知るには良い一冊です。

    図書館スタッフ(東生駒):ミラベル・ジャム

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    帝塚山大学図書館OPAC
    https://lib.tezukayama-u.ac.jp/opac/volume/801913

  •  
    ── 獅子 文六《娘と私 197202‥ 新潮文庫 20141110 ちくま文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4480432205
     
    <PRE>
     獅子 文六 作家 18930701 横浜 東京 19691213 /演出/籍=岩田 豊雄
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%BB%E2%BB%D2+%CA%B8%CF%BB
    ────────────────────────────────
     檀 一雄  作家 19120203 山梨 東京 19760102 63 /東京大学経済学部“最後の無頼派”
    ♀檀 ふみ  女優 19540605 東京 /一雄の長女~《青春の蹉跌 19740629 東京映画》
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/20010517
     麿は摩ちがい団ちがい ~ 團団壇ご三家の人々 ~
    </PRE>
     
    ── 檀 一雄《娘と私 200806‥ 新潮CD》
     檀 ふみ・朗読《檀 一雄エッセイ集》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4108302133
     
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/19691213
     どさくさ ~ てんやわんや & やつさもつさ ~
     
    (20170430)
     

  • 獅子文六は、はじめて。思っていたよりずっと現代風の私小説。

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著者プロフィール

1893─1969年。横浜生まれ。小説家・劇作家・演出家。本名・岩田豊雄。慶應義塾大学文科予科中退。フランスで演劇理論を学び日本の演劇振興に尽力、岸田國士、久保田万太郎らと文学座を結成した。一方、庶民生活の日常をとらえウィットとユーモアに富んだ小説は人気を博し、昭和を代表する作家となる。『コーヒーと恋愛』『てんやわんや』『娘と私』『七時間半』『悦ちゃん』『自由学校』(以上、ちくま文庫)。『娘と私』はNHK連続テレビ小説の1作目となった。『ちんちん電車』『食味歳時記』などエッセイも多く残した。日本芸術院賞受賞、文化勲章受章。


「2017年 『バナナ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

獅子文六の作品

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