加害者は変われるか?: DVと虐待をみつめながら (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
4.17
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本棚登録 : 203
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480432476

作品紹介・あらすじ

家庭という密室でDVや虐待は起きる。「普通の人」がなぜ?加害者を正面から見つめ分析し、再発を防ぐ考察につなげた初めての本。

感想・レビュー・書評

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  • 少し前の本だが、事例もリアリティがあり勉強になることが多かった。一方で、現代に目を向けてみると当時からどれくらい状況が変わっただろうか。虐待やDVに関しては家の内のことなので民事が介入せず、対応が後手に回るというのは今も大して変わらないように思われる。
    加害者は変われるか?という本書の問いは、簡単に答えの出るものではない。自覚のない加害者に加害者性を強調することをよしとする治療やプログラムと、安易な被害者-加害者の二項対立に陥らないようにという筆者の戒めにはやや矛盾を感じた。

  • とても勉強になった。
    DVと虐待の関連性(一つの家庭で暴力は何種類もある)や日本における「DV加害者更正プログラム」の普及の進んでいなさ、被害者が逃げるしかない現状などよくわかった。もっと勉強したいし、今はそれを仕事に繋げられそうな分野で働いているからなんとか形にしたい。
    たくさん読み直そう。

  • 本書の内容自体は、この問題に興味/関心がある人間にとって目新しいことではないかもしれないが、15年前からこのことに着目していた信田さんはやはりすごい。
    単純な二項対立の拒否、家族神話の拒否、被害者が逃げなければならないことへの怒り。

    しかしここからなんら進歩していない日本のこれらの問題に対する意識の低さにめげそうになるが、自分もその社内の構成員の1人として責任がある。

    自分の中の有害なマッチョ主義=男性性を捉え直す上でも極めて重要な一冊。

  •  DV被害者が逃げるしかなく、ストーカー被害者も逃げるしかない。
     でも本当は加害者が変わらないと救われないのでは?という本。

     加害者に対するプログラムに対峙するのは、本当に大変だろうなと思うのだが、意義をもって進めていただけているのがありがたい。ただ、国策ですよね。この辺りは生きる上で虐げられていた弱者の認識を、強者は持ちづらいと思うので……。為政者は弱者に寄り添ってほしい。

  • 読了。2008年に出版され、2015年に文庫化された。暴力という核兵器を持っている、男性、親は読む必要のある本である。10年以上前の本で、何も変わってないように思えたが、よく考えると少しはましになっているかもしれない。

  • 実際どうすれば加害者が変われるのか、加害者更生プログラムについて興味があって読んだのでタイトルに偽りを感じた。中身もどうも散漫な印象だけどそれなりに有益と思える事も沢山得られはした。

  • DVや虐待対応、分離の方策だけでいいのだろうかと考えていたので、加害者支援についての言及は納得でした。

    加害者が、自らの加害者性を自覚すること。
    加害者は、暴言暴力という手段を「選んでいる」ということ。
    被害者が加害者との生活を継続していくためには、被害者のためにも加害者支援を行うべきであるということ。

    今、被害者のための加害者支援はどこまでできているのだろうか、と思います。
    同居の継続を選ぶ人が多い中、支援者は加害者支援のスキルも身につけていかなくてはならないと思いました。

  • 367.6

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著者プロフィール

公認心理師・臨床心理士、原宿カウンセリングセンター顧問、公益社団法人日本公認心理師協会会長。1946年生まれ。お茶の水女子大学大学院修士課程修了。駒木野病院勤務、嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室室長を経て、1995年原宿カウンセリングセンターを設立。アルコール依存症、摂食障害、ひきこもりに悩む人やその家族、ドメスティック・バイオレンス、児童虐待、性暴力、各種ハラスメントの加害者・被害者へのカウンセリングを行ってきた。著書に、『母が重くてたまらない』『さよなら、お母さん』『家族のゆくえは金しだい』(いずれも春秋社)、『カウンセラーは何を見ているか』(医学書院)、『アダルト・チルドレン』(学芸みらい社)、『家族と国家は共謀する』(角川新書)、『タフラブ 絆を手放す生き方』(dZERO)、『共依存』(朝日文庫)などがある。

「2023年 『家族と厄災』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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