ルビコン・ビーチ (ちくま文庫 え 18-2)

  • 筑摩書房
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480433978

感想・レビュー・書評

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  • 「どんな話か?」を説明することなど不可能.
    いつものエリクソンで,ストーリーはあってなきが如し.3部からなるが,それぞれが交錯し,最後は収束するように見せかけて読者は完全に置いてきぼり.いや,褒めてるんですよ.幻影,ことば/イメージの奔流を堪能してください.

  • 三部構成で、それぞれ一人の女についての物語。

    アメリカ1、アメリカ2。

    パラレルワールドとしてのアメリカを描いている、のか?


    他の作品も読みかけにしたままなので、読み進めていきたい。

  • 翻訳:島田雅彦というのにビックリ。文体の相性はとても良さそう。エリクソン数冊読んだけれど、順番でいうとこれのほうが初期の作品になるのかな。全体の印象は『Xのアーチ』や『黒い時計の旅』に近い系列だけれど、こちらはとくに実在の人物は出てきません。

    3部構成になっていて、1部はどうやらパラレル近未来なアメリカ。詳細はわからないけれどアメリカ1とアメリカ2があり、都市はベネチアのように水に浸食されているらしい。主人公は政治犯として刑務所から出所してきて監視されながら図書館で働く男ケール。彼につきまとう警官ウェイドとその部下マロリーは確か『Xのアーチ』にも登場していたっけ。ケールは何度も「ある男の首をナイフで切り落とす女」の姿を目撃する。それは見えるだけでなく現実に進出してきて血痕を残してゆくが謎の女は捕まらない。助けようとしても何度も男は首を斬られて殺される。ホテルの廃墟でついにケールはその現場を押さえることに成功するけれど、残されたのは首なしの死体のみ。再び刑務所に収監されたケールのもとに、ついに謎の女が姿を現し・・・

    2部でようやく、ケールが見ていた幻の女(仮名キャサリン)の生い立ちが語られ、1部の廃墟のホテルでケールが出会った売れない俳優リチャードと、キャサリンについての詩を書いた脚本家リー(リュウリン)も登場、彼らの間で起こったこと、キャサリンが誰の首を切り落とし続けていたのかぼんやりわかってくるけれど、またしてもキャサリンは消えてしまう。

    3部は一見何の繋がりもないジャック・ミックという男の生い立ちから始まる。最終的に彼が辿りついた町にはケールと呼ばれる老人がいる。彼は30年前に浜辺に打ち上げられていた・・・ここで1部のラストと老人ケールの回想が繋がり、ジャック・ミックとケールは、ついに灯台でキャサリンを見つけるが・・・

    空間も時間も超えて偏在する謎の女と、それにふりまわされて身動きとれなくなる男たち、あるいは逆に、愛してもいない男たちの妄想や願望にふりまわされて不幸になる女、という構図は今まで読んだエリクソン作品に共通のテーマだけれど、本作は謎の女キャサリンの生命力の強さが魅力的で、不思議と共感力が高かった。幻想性もわかりやすく強く、ラストは一種のタイムパラドックスによるループが起こっているのかと思うと混乱した。男性陣が比較的純情(?)なのも良かったと思う。わけがわからないのになぜか無闇に切ない。良いエリクソンだった。

  • 単行本で既読。

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著者プロフィール

1950年、米国カリフォルニア州生まれ。作家。『彷徨う日々』『ルビコン・ビーチ』『黒い時計の旅』『リープ・イヤー』『Xのアーチ』『アムニジアスコープ』『真夜中に海がやってきた』『エクスタシーの湖』『きみを夢みて』などの邦訳があり、数多の愛読者から熱狂的な支持を受けている。大学で映画論を修め、『LAウィークリー』や『ロサンゼルス・マガジン』で映画評を担当し、映画との関わりは長くて深い。本作は俳優のジェームズ・フランコの監督・主演で映画化が進行している。

「2016年 『ゼロヴィル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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