スターメイカー (ちくま文庫)

  • 筑摩書房
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480435651

作品紹介・あらすじ

宇宙の発生から滅亡までを壮大なスケールで描いた幻想の宇宙誌。1937年の発表以来、各方面に多大な影響を与えてきたSFの古典。全面改訳。

感想・レビュー・書評

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  • 祝文庫化!

    ステープルドン(ちくま文庫)本棚の中の骸骨:藤原編集室通信
    http://www.green.dti.ne.jp/ed-fuji/chikuma-Stapledon.html

    スターメイカー|国書刊行会
    https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336046215/

    スターメイカー オラフ・ステープルドン(著/文) - 筑摩書房 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784480435651

  • オラフ・ステープルドンの代表作。以前読んだ『シリウス』が良かったので、新訳が発刊されたこのタイミングで手に取ってみることに。

    「肉体を離脱した主人公は、時間と空間を超え、宇宙の彼方へと探索の旅に出る。訪れた世界で出会った独自の進化を遂げた奇妙な人類と諸文明の興亡、宇宙の生命の生成と流転を、壮大なスケールと驚くべきイマジネーションで描いた幻想の宇宙誌。」(本書裏表紙のあらすじまま。)

    幻想世界の宇宙をひたすらに描写したSFファンタジー。難解な上にテキスト量はかなりのボリュームなので、読み切るだけでも大変な内容。とりあえずでも読み切ることが出来たそこのあなた!・・・自分を褒めてあげましょう。(私も自分を褒めます。笑)

    まともに内容を考察しようとするとかなりヘビーなので、その幻想的なテキストに酔いしれるだけで終わっても良いかと。(難解SFあるある。)私にはハードルの高い作品だった。。。

    著者は哲学が専門だったようで・・・哲学者の書いたSF小説と言われれば、なんとも納得してしまう。(『シリウス』はもっと読み易かったと思うのだがなぁ。)

  • 俗世の些事に倦んだ「わたし」は、イングランドの夜の丘から、自らの想像力を飛翔させ、時間と空間を超えて宇宙の謎を探求する旅に出る。時空を超えて移動する術を身につけた「わたし」は、様々な惑星世界における様々な生物に出会い、意気投合した仲間たちと心霊的共同体を形成して、共に更なる宇宙の深淵に挑んでいく。惑星世界、銀河世界、そして宇宙の始まりを司る「スターメイカー」との邂逅・・・旅の終点で「わたし」が目にするものとは何か。

    ・・・や・・・やっと読み終わった・・・。
    ほぼ100%「地の文」・・・。
    何しろ、登場人物はほぼ「わたし」一人で、その他の生物や世界は「わたし」の観察を通してしか描かれず、ひたすら「わたし」の観察日記を読み続けることになります。これが非常に読みづらい(^_^; 物語の展開は、後半に行くにつれて観察対象がどんどんスケールアップしていき、最後には宇宙の究極の精神「スターメイカー」に対峙するというクライマックスを迎えるのですが、そこに至るまでもずーっと観察日記調なので、まぁ盛り上がらない盛り上がらない(^_^; 正直、読み進めるのが「苦行」と言えるレベルの辛さでした・・・。
    やたら頻繁に登場する「神霊」「共同参与的」「コスモス」といった漠とした言い回しの定義がよくわからないままなのも、辛さを感じる一因かもしれません。この辺の訳出の苦労は、巻末で訳者の浜口氏が語っています。

    この時代の、西欧文明的啓蒙思想を体現した書、ではあるのでしょう。
    物語の中盤で、数多くの文明世界の勃興と展開を延々と描写するところがあります。主体は植物人類だったり貝型人類だったりあるいは精神集合体だったりとバリエーションがありますが、その文明世界の顛末は金太郎飴のようにほぼ同じで、文明が高度化するにつれて価値観の相違が生まれ、戦争が起こって壊滅的な打撃を受け、生き残ったものたちが反省してより精神的な世界を云々・・・という展開。これを何度も何度も展開されるので、ステープルドンが伝えたいことは嫌でも頭に入ってきます。
    最後に登場する「スターメイカー」の本質が、被造物に対する愛ではなく好奇心であるという点は、神を理解不能なもの、理解不能だけれど無条件で愛さざるを得ないもの、と捉えるキリスト教的な精神を感じました。

    とにかくスケール感だけはものすごい広げっぷりで、1937年の発表当時には大変な驚きと感動を持って迎えられたのだろうと思います。が、21世紀になって読むと、古典的な価値以上のものは、残念ながら鴨には読み取れませんでした。
    空前絶後の「奇書」であることは間違い無いので、そういう前提で読む分には面白いと思います。

  • 宇宙の果てや進化の果てを描く壮大なSF。

  • こりゃだめだついていけない。

  • とても難解。エンターテイメント性が”0”、本当に詰まらない(涙)
    でも、何故か読みやすかった。でも内容は哲学的で分からない。分からないなりに理解出来たのは、文明が発展して人類などの知的生物が豊かに繁栄しても、最後は悲惨な結果を迎え努力しても没落してしまうらしい。
    それとスターメイカーは、旧約聖書の神様みたいなもので、人間には理解しがたい理不尽な存在でも、無条件に崇拝するべき存在だという事らしい。
    出来ればNHKの100分de名著などで、取り上げてくれないかな?
    ちなみに、オッド・ジョンの方が僕は面白かったな。

  • ごく一般的な夫として生きていた主人公が突然肉体を離れて、意識だけで宇宙に飛び立ってしまう――そこからの果てしない時の流れは壮大で遠大であり、次第に自分の想像力がついてこなくなる。理解力が及ばない点も多くあったので、ちゃんと読めたかどうかは怪しい。特に「神霊」というものを理解するのが難しい。
    人類にもいろんな人類がいるという描写が興味深かった。中には生理的な嫌悪を感じるものもあり、自分がどこまで許容してどれほどの傲慢さを持っているかに気付かされたりした。
    さまざまな人類のさまざまな戦争をずっと見ていたら、頭がおかしくなってしまいそうだ。
    主人公が星から星へと飛び回るさまは、まるで神の視点みたいだと思っていた。主人公たちは姿がないから、うまく介入して「神の使者」として戦争を止めたりしている。もはやこの人たちがスターメイカーではと思ったりもした。でも作り手は他にいたのだな。
    個人的に生に意味はないと思っているので、たとえスターメイカーが遊びや学びの一環で思いつきで星を作っていても何も思わない。そのような存在がいたら面白いなと、 単純に思う。こうやって宇宙が生まれて誰かの手のひらで転がされていたら面白いだろうなぁ。
    訳者あとがきによると、第一次世界大戦を経験したことがかなり作品に影響しているようだ。夥しい被害を目にしていたであろうことを考えると、宇宙からの目線でこのような小説が生まれたのも分からなくはないような気がした。

  • たしかSNSで話題になってたのを見て入手した本。読み始めるまでに少しかかったけど、読み始めたら期待以上に面白く、簡単な文章ではないのでじわじわと読み進め、ようやくフィニッシュ

    第一次大戦を経験した著者が第二次大戦が迫る中で執筆した背景は重要だろうし、当時の天文学の最先端の影響もありそう

    それはそれとして、著者の想像力とそれを文章に現せる力量に感嘆のため息しかない。「世界」とは何か、著者なりの解釈が展開されるのを、目を丸くして眺めていた

  • 2023-04-07
    ガーンズバック的な科学小説ではなく、英国心霊主義をベースにした深く広く果てしない思索の旅。物語的には夢オチの形だけれど、それはどうでもいい。「最初にして最後の人類」がすっぽり何行かに収まってしまうスケール感と、それでも進んでいこうとする意思、そこに生まれる絶望と不幸を見ないことにしない視点。創造者と被造物の螺旋を描く関係性。
    うん、楽しいとは言い難いが、面白かった。

  • 普通に面白かった笑。これが第二次世界大戦前に書かれたというんだからな。特に最後の「スターメイカー」との邂逅のあとは、また別のタイミングで読んだら、別の事を感じそうなので、再読したい。

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著者プロフィール

オラフ・ステープルドン(Olaf Stapledon):イギリスの作家、哲学者。1886年生まれ。初の著作『現代の倫理学』を発表した翌年、『最後にして最初の人類』(1930)で注目を集め、『スターメイカー』(1937)など、独自の哲学的思弁とヴィジョンに満ちた壮大な宇宙年代記は読書界に衝撃を与えた。他の代表作に『オッド・ジョン』『シリウス』(いずれもハヤカワ文庫)がある。1950年没。

「2024年 『最後にして最初の人類』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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