平成古書奇談 (ちくま文庫)

著者 :
制作 : 日下 三蔵 
  • 筑摩書房
2.48
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本棚登録 : 176
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480438232

作品紹介・あらすじ

初書籍化となる鬼才・横田順彌による古書ミステリ。主人公の馬場浩一が馴染みの古書店で出会う古書をきっかけに本にまつわる謎に巻き込まれる。

感想・レビュー・書評

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  • 古本にまつわる事件に巻き込まれるのは「ビブリア古書堂〜」と同じなんですが、あちらよりも地味で神保町などの古本街にあるお店に近く馴染みがありイメージしやすい。短編集。

    各話どういう話で終わるのかわからないのは本と同じ、見た目ではわからない。それが面白い。

    ぼんやりとしたまむたいなオチの話も、その方がありそうで好きです。

  • 横田順彌が無類の古書マニアというのは知らなかった。昭和のハチャメチャ・パロディSF作家というイメージしかなかったので。
    横田順彌が平成になってから文芸誌に掲載していた古書ミステリ系の連作短編を、横田順彌の没後、日下三蔵が纏めて書籍化したのが本書。
    作家志望のフリーライターの青年と、脱サラして街の古本屋の店主、その娘による、古書にまつわる不思議な出来事は、SF、ホラー、ミステリ、パロディ等色んな要素を盛り込んだ内容でいわゆる横順ワールド満載な作品。
    時代設定もタイトルにも平成となってはいるが、キャラクターの思考も会話も、昭和の建てつけ。今読むと昭和レトロを彷彿させる。しかし古書業界や古書店の営業スタイルはネット通販やリユースショップ等の販路の拡大はあるものの、根本的には令和の今でも変わっていないと感じてしまうのがある意味面白い。

  •  フリーライターの主人公が、古書にまつわる不思議や謎に遭遇する連作短編集。各編ごとに、SF、ミステリー、ホラー、ファンタジーの要素があって、多少の出来不出来はあるものの、古書に関する蘊蓄も勉強になり楽しく読むことができる。
     友だち以上恋人未満の彼女との恋の進展も、今の時代ではちょっと感はあるが、それも愛嬌かな。

  • 短編集。奇談という通り、そのまま特に解決しないからある意味では物足りないけど、ついつい読んでしまうテンポ感と変な話感でエンタメとして良い。通勤電車で朝、読むのに向いてた。特に気合なくさらーっと取り出せるからかな?1話15分もかからず、読み終える頃には着く。東京の話だけど遠いところの話のようで、おかげで通勤がエンタメに!
    たのが平成とあるけど昭和を感じるのはきっと作者が昭和20年生まれ世代だからですね。

  • フリーライターをしながら作家を志す25歳の馬場浩一は、街の古書店、野沢書店に出入りしている。店主の野沢勝利と娘の玲子と懇意にしながら、趣味や仕事、執筆の資料として出会う古書を通じて不思議な事件や謎にぶつかる。古書マニアの著者が知る業界の事情を巧みに盛り込み、SF、ホラー、ファンタジーを横断する連作集。

    著者の作品は、大昔読んだ記憶があるが、小説ではなかったと思う。まずまずでした。

  • 古本をテーマにした連作短編です。
    メインの登場人物は同じですが、それぞれの短篇が異なるテイストで仕上げられていて、次はどんな展開なのか、気付けばカプセルトイを回す時のようなわくわく感を味わいながら読んでいました。

    個人的に特におもしろかったのは「総長の伝記」。
    払い下げされた大学図書館の廃棄本に混ざっていた大学総長の伝記、なんと中身がポルノ小説にすり替えられていた…という、ちょっとコミカルな事件。
    詳細には描かれていないけれど、この本が見つかったときの大学図書館司書の心境を想像して、にまにませずにはいられませんでした。

    ほかにも、予期せぬ結末に衝撃を受けた「おふくろの味」、ロマンチックでもありちょっとだけ不気味でもある「老登山家の蔵書」など、少し癖のある余韻を残していく物語群を堪能できました。

  • 古い

  • 日々の続きのような不思議な話。テンポよく読み進められて面白い。
    古書の知識があれば尚更面白いだろうなぁ。神保町は憧れの地だ。

  • 絵画の世界も、明治維新の国の混乱のために埋もれてしまった作家がたくさんいて、現在その価値が再認識されている。

    この作家も明治〜大正の時代に、才能豊かな筆を奮った人物だったが、時の混乱の渦の中に深く隠れてしまっていた。

    その復刻版というのが本著であろう。

    明治時代は江戸時代と昭和、令和の価値観とは全く違う世界観と複合された不思議な世界で、これからも掘り起こされる作家たちが多くあることだろう。

  • 横田順彌の単行本未収録だった古書を題材にした連作短編を文庫化したもの。
    作家志望の青年と、行きつけの古本屋店主とその娘が主人公の古書を題材にした連作だが、SFだったりホラーだったりミステリだったりとその内容はバラエティに富んでいて全体的に軽めのテイスト。

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著者プロフィール

横田順彌(よこた・じゅんや)
1945-2019年。佐賀県に生まれる。法政大学法学部卒業。70年、「少年チャンピオン」にショートショートを発表し商業誌デビュー。SF、冒険小説作品の他、古典SF研究、明治文化研究の分野でも精力的な執筆活動を行った。88年、『快男児押川春浪』(會津信吾と共著)で第9回日本SF大賞、2011年『近代日本奇想小説史 明治篇』で第32回日本SF大賞特別賞、第24回大衆文学研究賞大衆文学部門、2012年、第65回日本推理作家協会賞評論その他の部門をそれぞれ受賞。他に『幻綺行 完全版』『大聖神』(竹書房文庫)などがある。

「2022年 『平成古書奇談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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