山梔 (ちくま文庫 の-18-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480439222

作品紹介・あらすじ

明治時代の職業軍人の家に生まれ、悩み、闘う阿字子を主人公とする少女小説の名作。野溝七生子の自伝的・衝撃的デビュー作。(矢川澄子・山尾悠子)

感想・レビュー・書評

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  • 『山梔』|感想・レビュー - 読書メーター
    https://bookmeter.com/books/475810

    『山梔』(野溝 七生子):講談社文芸文庫|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000168504

    野溝七生子|近代日本人の肖像 | 国立国会図書館
    https://www.ndl.go.jp/portrait/datas/6193/

    野溝 七生子 | 兵庫ゆかりの作家 | ネットミュージアム兵庫文学館 : 兵庫県立美術館
    https://www.artm.pref.hyogo.jp/bungaku/jousetsu/authors/a167/

    山梔 野溝 七生子(本文) - 筑摩書房 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784480439222

  • 矢川澄子が講談社文芸文庫版で解説を、さらに山尾悠子がこの文庫で解説を寄せている。
    少し前に皆川博子「辺境図書館」で知り読みたいと思っていたが、よく考えたら、高原英里「少女領域」で言及されていた。
    本書読後に「少女領域」を読んだら、詳細なあらすじもあったので、再読の際は併読を>未来の自分へ。
    さらに個人的なメモだが、UAと浅井健一がフロントマンとして組んだバンドAJICOの命名元でもあるらしい。
    AJICOは2021年に再開して、2024年にアルバムを出したし、「山梔」初出は1923年なので2023年は阿字子100年記念年でもあったのだ。

    家父長制、折檻、家族の甘美さと地獄、創作への耽溺、少女から大人へ、など切り口がたくさんあるが、
    何よりも文体が素晴らしかった。
    地の文が華麗、唯美、艶やか。
    さらに会話の言葉遣いが面白い。
    自分を「私」と言わない阿字子の台詞の妙。
    母も姉妹も台詞にリフレインが多く、たどたどしいというか甘ったるいというか、実にいい。
    が、描かれるのは強烈な悲劇なのだ。
    野溝は1897年生まれなので、1899年生まれの川端康成と数歳違い。吉屋信子は1896年生まれ。
    川端、吉屋の少女小説の裏側には、無数の阿字子がいたのだろうなぁ。

  • 一貫して切迫していて胸がつまる、家父長制から逃れようとするのに誰よりも自分自身を縛り付けていて涙。。

    『八本脚の蝶』を彷彿とさせる雰囲気。
    いきすぎた感傷も詩もない、これは叫び。

    英雄譚ではなく何かが好転するわけでもなく、心の底から共感したとして、決して微笑むことができるわけでもなく、ただずーーっと胸が裂かれる。

    自分が大きくなること、周りが当然のように離れてゆくことに対する恐怖よくわかる

    「ことばのいらない国」へ本当にゆけたらいい

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著者プロフィール

野溝 七生子(のみぞ・なおこ):1897年、兵庫県生まれ。本作『山梔』は、懸賞小説として応募され入選し、新聞連載後、1926年に春秋社より刊行された。さらに北原白秋主宰「近代風景」や長谷川時雨主宰「女人藝術」などに作品を発表。また東洋大学で教鞭をとり、森?外に関する論考などを執筆した。他の著作に『女獣心理』(講談社文芸文庫)、『南天屋敷』(角川書店)、『月影』(青磁社)、『ヌマ叔母さん』(深夜叢書社)、『野溝七生子作品集』(立風書房)、『暖炉 野溝七生子短篇全集』『アルスのノート』『眉輪』(展望社)などがある。1987年没。

「2023年 『山梔』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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