- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480511140
作品紹介・あらすじ
価値の普遍性はわれわれの偏好といかに調和されるか――。愛着・価値・尊重をめぐってなされる入念な考察。現代屈指の法哲学者による比類ない講義。
感想・レビュー・書評
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生きている意味は?とはよく聞かれる問答です。その多くは生の価値について論じているのですが、では、価値とは何か?非常に難しい問題であると言えます。ラズ氏は法倫理学者ですが、この本を通じて「価値の普遍性」というテーマについて論証します。論証は様々なあり得る反論を並べていき、それに対して反論可能なものと、エクスキューズをつけなくてはいけないものを順に論じていき、「価値の普遍性」の射程を絞り込んでいく、という内容です。価値が普遍的であるということを受け入れるならば、各人が何に価値を感じるかに多様性があることは、どのように説明されるのでしょうか?
これという結論の得られない問題で、歯切れが悪いと思う人もいるかもしれませんし、難解と思うかもしれません(実際難解なのですべて理解できていませんが)。ですが、そのような議論を経ることで、自分自身の考え方が少し変化する、そんな風に感じられるかもしれません。
わたし自身も、本書とは論理が違うかもしれませんが「生きることそのものに価値などない」という意見です。これは一見否定的ですが、価値などないならば、むしろ何にでもなれる、どのように自分を価値づけるも自由、という概念に至る可能性を秘めていると思うからです。
トランス女性に対する謂われない非難がありますが、もしあなたが生きる価値を見失ったとしたら、この本を一周してみてもいいかもしれません。 -
第1章 愛着と唯一性
純粋性の消滅―意味の崩壊か、解放か?
飼い馴らすこと―欲望か、共通の過去か
公への脇道
愛着とアイデンティティ
集団のアイデンティティ
不安をやわらげるイスラエルの実例
第2章 普遍性と差異
テーゼ
価値はどのような場合に普遍的なのか?
倒置の論証
第3章 生きていることの価値
問題設定
永続する生の個人的価値
生を延ばすことの個人的価値
生き続ける欲求の意義
死への恐れとそこからの眺め
第4章 人々を尊重する
カント的由来
それ自体目的であることについて
価値づける人々
尊重する理由の導入
なぜ尊重するか?
人びとを尊重する -
【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/552599 -
2022I031 110/R
配架場所:C3