- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480683816
作品紹介・あらすじ
改憲論議、格差社会、日米関係、メディアと世論……。いま議論になっている問題のはじまりは昭和にあった! 戦前・戦時下・戦後のダイナミックな歴史を一冊に。
感想・レビュー・書評
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年代を単純に追うのではなく、テーマ別に時代とともにどう変化していったかを追いかけている。
平成より倍長く、戦争もあって濃い昭和を200ページ程度でコンパクトにまとめている。改めて感じたのは、第二次対戦前の日本は暗いことばかりのイメージがどうしてもあるが、好景気に沸いた頃や、政府のプロバガンダにもなびかなかった大衆の強さがあった、という一面だ。
政治に対してだけでなく、メディアに対する大衆の関わりなど、「その時、大衆はどう反応していたか」という視点が印象に残った。今更ながら意外に思えたこともあったりと、現在につながる日本人の意識の普遍性のようなものが見えて興味深く読めた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
210.7-I
閲覧新書 -
改憲問題や格差など、昭和を紐解くトピックの組み合わせが面白い。なかで「メディアと世論」に対する考察はとても興味深く読めた。一方で歴史物にありがちな、「この時代の問題は、現代にも通ずるところがある」的な論には首を傾げちゃうけどね。
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昭和史という、戦争をはさんで戦前と戦後という
全く違うような歴史が、逆に相応している部分も
かなりあるということがよくわかりました。
そういう意味では、やはり国民性というか
そういう部分が通底には今もながれているのだろうと思います。 -
歴史関係の本というと時系列で事件を記載したものが多いが、この本はテーマごとに昭和の流れを記載していただけでなく、現代とのつながりを解説していたことが非常に意義深いものだと思った。
昭和には「大日本帝国憲法」と「日本国憲法」二つの憲法が存在したところなど、この本によってあらためて認識させられた。
歴史としてだけでなく、社会状況や政治の変化、メディアの潮流など、様々な視点で昭和史が分析されているため、非常に面白い本だと思う。 -
東2法経図・6F開架:210.7A/I57h//K
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憲法、政党政治から大衆文化やメディアまで、テーマ別の昭和史。戦前が主だが、戦後との連続・断絶の両方に着目するのは著者の他の本と同じ。テーマ別の章立てだとそれがよく分かる。
憲法は明らかに断絶だが、戦後すぐは幣原は帝国憲法下でもデモクラシーと協調外交は可能だと、1920年代の経験から自信があったこと。戦前のような政権交代のある政党政治が昭和末期にはまた求められるようになったこと。戦前、満洲事変、日独防共協定や三国同盟を経ても独ソ戦まではまだ協調外交や日米交渉に可能性はあり、その協調外交は戦後に復活したこと。社会運動は、戦前戦後とも上から、下から両方存在したが、革命を目指すようなものは漸進的な民主化を目指す国民から遊離していたこと。戦前日本での大量消費社会や大衆文化の隆盛。戦前、ラジオで流行歌が禁止されたのは都市部の新中間層=「投書階級」の民意との指摘は、昭和末期や現在の「自粛警察」を連想させる。