- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480684684
作品紹介・あらすじ
「この先生きのこるには」「大丈夫です」これら表現は、読み方次第で意味が違ってこないか。このような曖昧な言葉の特徴を知れば、余計な誤解もなくなるはず
感想・レビュー・書評
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読み進める程、日本語はここまで曖昧になってしまうことが多い実感が湧いてくる。「この先生きのこる」など知ってる人の多いような話や、ロバート、アンジャッシュなど芸人のネタも混ぜてきたりとネタも多彩で、真面目な本という印象を与えないのも良い。曖昧にならないようにはどうしたら良いかを書きつつも、曖昧であることが面白い遊びも生むし悪いものではない、というまとめも納得だった。勉強になった。
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私たちがふだん何気なく使う言葉には、「曖昧さ」の要因がいくつも重なり、複数の解釈が生み出されている
そのことで、ものの考え方は変わらないのに、解釈の違いだけですれ違うことも少なくない
曖昧さによる言葉のすれ違いを防ぐには、まず3つ。
・短い言葉には、一言か二言でも情報を追加すると正しく伝わる可能性が高くなる
・言いたいことを予測してもらうために、文脈の影響を考慮する→一番重要なことはできるだけ早く言う、接続詞を適切に使う
・重要な文書の場合は、公開する前に第三者に見てもらう
簡潔に正しく情報のやりとりができることはとても大事
曖昧さがあることで、遊び心が生まれていることも大事
言葉って楽しいもの、面白いものと感じられるのは、言葉について回る「曖昧さ」があるからなんでしょうね
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日本語の曖昧さを、実例により解説したもの。
普段何の疑問もなく使っている言葉が、実は曖昧であることがよくわかる。曖昧であるが故、話した本人はそのつもりでも、聞いた側が必ずしも同じように理解しているとは限らないのだ。
話している時は文脈で理解していることもあるが、抜き出してみると、結構あいまいなやり取りをしていることに気づかされる。
普段使っている言葉を例に取り上げているので、理解に入りやすいが、言語学者である著者による詳しい解説もある。多少難しい内容もあるが、使っている言葉の意外性に気づいて興味深い。 -
ちくまプリマー新書に待ってましたの川添愛!
「本書では、言葉のすれ違いの事例を紹介し、それらをもとに言葉の複雑さや面白さを紹介していきたいと思います。本書で目指しているのは、読者の皆さんが言葉の曖昧さに少し敏感になり、言葉のすれ違いを早めに察知できるようになることです。同時に言葉をさまざまな角度から眺める経験を、頭のエクササイズのような感覚で気軽に楽しんでほしいと思います」(はじめに)
言葉の曖昧さによる誤解・すれ違いはどのようにして生まれるのか、具体的な例を使った解説で楽しくおもしろく読める十章仕立て。表記、単語や文法の多義性、単複や比喩、修飾など文の構造、並列、否定や疑問のスコープ、代名詞、さらに「言葉」をいくらみてもわかりえない言外の意味まで、人によって受け取り方が違ったりすれ違ったりしてしまう理由や仕組みが分かれば、それを意識することでより伝わりやすいコミュニケーションができるようになる(具体的な指南も多数)、という非常に実用的ですぐにでも役に立ってしまう一冊。そのおもしろさは田窪先生、大津由紀雄先生ら言語学界隈の御大の折り紙付き。
あいまいさを100%なくすのはほぼ不可能だけれど、多くの人がそれを理解した上で発信したり受信したりできればSNSなどでのトラブルなども減るだろうし、そのあいまいさを逆手に取った言葉遊びなどを楽しむこともできる。そんな著者(はじめ言葉マニアすぎるわたしたち)の思いがたくさんの人に伝わるといいなと思う。こういう言語学入門的なことを学校でももっとまなべるといいのだけれど。
個人的には、プリマー新書初期の藤原正彦・安野光雅「世にも美しい日本語入門」と藤原正彦・小川洋子「世にも美しい数学入門」につづくひさびさの「世にも〜」タイトルがなんだかうれしい。
そして読み終わってみると、このタイトルがまたいろいろに読めて、それだけでごはん3杯ぐらいいけると気づく。
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「UP」(東京大学出版会)連載の「言語学バーリ・トゥード」第24回にこの本の番外編として「日本語は「世にも曖昧な言語」なのか」(←答えはもちろん否)があり、曖昧さというのは人間の言語とは切っても切れない性質の一つだと改めて指摘していて、たしかにこのレベルの誤解ははやく解けてほしいものだと思った。 -
普段何気なく話している言葉
こうやって解説されると、なんて複雑!
それを自然と使い分けたり理解してる私たちってすごいな。
とはいえ、ここに書かれているように言葉の曖昧さからくる誤解はたくさんあり、そこから大きな問題や行き違いになってしまうこともあることでしょう。
言葉を選ぶ時、他に解釈されないかな?ちゃんと伝わる言葉かな?ということを意識していこうと思いました。
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読み物として単純に面白いのと、職場で指示出しをする時とかに参考になるなあというのと。
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『会話を哲学する』につづいて言語学系の新書。本屋でたまたま見かけた新刊。
読み物としては面白いが、10章のうち9章までが「パターン別の事例紹介」でそれ以上に話が深まらないので、途中で飽きてしまった。一度離れてから最後まで読み切った。
一気に読むよりコラムの連載をその都度読む、の方が楽しめる読み方だったかもしれない。
もう少し深く頭を働かせてみたいので、次に同じテーマの本を読むときは新書ではなく学術書を探してみよう。 -
著者のエッセイを以前読んで非常に面白かったので、この新書も楽しみにしていた。やはりエッセイ程にくだけた表現で書かれてはいないが、ネタはお笑いやバラエティなどのネタが多く好みだ。
言葉のすれ違いの事例は、実際のところ、常識の範囲内で理解出来るだろうと思えてしまう例もあったが、自分と違う価値観や言葉の捉え方もあると伝えるのが本書の役目でもあるのだろう。
著者に益々、興味が湧く1冊だった。著者の小説作品も読んでみたい。 -
著者が「お笑い好き」「プロレス好き」なのが伝わってきました。
久しぶりにしかも偶然、友達にばったり出会ったとき、
「いま、何してるの?」って聞かれたらどう答えたらいいか迷いますよね。
あと「なんで来たの?」と聞かれたとき、理由を聞いてるのか、手段を聞いてるのか。
そんな言葉のスレ違いを解析してくれています。
よくそんなにたくさん例が浮かんでくるなぁと感心します。
仕事上でメールのやり取りをすることがあると思いますが、ハッキリ言って何を言いたいのか分からない時がありますよね。
わたしは自分では十分に気をつけて書いているつもりですが、これからももっと気をつけていきます。
<書評>『世にもあいまいなことばの秘密』川添愛 著:東京新聞 TOK...
<書評>『世にもあいまいなことばの秘密』川添愛 著:東京新聞 TOKYO Web
https://www.tokyo-np.co.jp/article/309894?rct=shohyo