辰巳屋疑獄

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480803733

感想・レビュー・書評

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  • 大坂の大店の跡目相続の争いが江戸の武家までも巻き込んだ大疑獄になった事件の物語。

    大店の内情が分かりやすく読めたのは良かったけれど肝心の主人公があまりにも不甲斐ない。
    全て受身で自分は何一つ出来ません、ときている。
    傍観者が主人公って言うのは読んでいて何も感じ取り、受け取ることが出来ないのだと改めて思ってしまった…。

  • 当時の大坂の商家について、よく描かれています。
    ただ、恐らく著者の方が調べた事を悉く作品につぎ込みたかったのでしょう、その辺のところが解説めいてしまっている箇所が少々読みにくいかも・・

  • 大坂商家の跡目争い。
    贈収賄の応酬で、縺れに縺れた混乱を持ち込まれた江戸奉行の「ア然」な様がオカシイ。最早この時代、大坂は異国。。。「便宜を図って貰ったお礼に金子を包んで何が悪いんじゃ??」って本気で悩む元助が哀れ。そう、万人が同じルールで暮らす世界ってのは、本当にごくごく最近のものなのだ。
    大岡越前守以下、なんとか踏ん張って腐敗を裁こうとしているところへ、最後は京の朝廷からの横槍。あらら〜。
    太平の世で正義を貫くのは大変なのだー。

  • 徳川吉宗が八代将軍の位についた享保の時代。大坂の炭問屋辰巳屋に丁稚奉公をすることになった農家の次男坊茂吉改め元助が、強面の番頭・宗兵衛の引き立てで、後に同業の木津屋養子に行く辰巳屋三男坊茂兵衛こと吉兵衛につくように指示されたことから、辰巳屋本家と吉兵衛のお家争いに巻き込まれていく…。大坂同心・与力等の役人に商家からの賄賂が、江戸の奉行所・老中までも巻き込む騒動となり大きな波紋を起こす。贈る側に罪意識がなく簡単に白状した為、武家が死罪となる。丁稚の目を通してみた豪商辰巳屋のお家争い、流れに逆らえず。

  • ●大岡越前が扱った最後の大事件を、若き奉公人の目から描くなどと言うようなアオリは、世間の誤解を招くと思われるんですがいかがなものか。
    越前様は最後の方に出て来るだけだしなあ。
    「奉公人元助が見た上方の大商家辰巳屋の跡目相続争い」と言う説明でどうでしょう。
    てかこの元助、本当に見てるだけ・・・。
    おまい、主人を止めるかなんかしろよっ、と思わず裏拳突っ込みを入れたくなるような愚直ぶり。
    見てるだけで意味がわからんかった、ではすまんことがこの世の中にはあるんでっせ〜。
    とか呟きつつも、はっと気づくと自分も・・・!Σ(゜Д゜;) くわばらくわばら。

    ●あ、私といたしましては、伊助がお気に入りでございます。
    商人のこせがれで、弁が立って賢しいだけかと思いきや、友達思いのいいヤツやん。
    口が悪いわりには、物事わりかし公平に見てるし、嘘があんまりないしな。
    なかなか得難い友人だったと思いますよ。
    兼好さんの「物くるる友」に該当?(笑)

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著者プロフィール

1953年京都生まれ。小説家。早稲田大学大学院修士課程修了。松竹株式会社で歌舞伎の企画・制作に携わる。97年『東洲しゃらくさし』でデビュー。『仲蔵狂乱』で時代小説大賞、『吉原手引草』で直木賞受賞。

「2018年 『作家と楽しむ古典 好色一代男 曾根崎心中 菅原伝授手習鑑 仮名手本忠臣蔵 春色梅児誉美』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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