僕の明日を照らして

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480804259

感想・レビュー・書評

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  •  虐待してる人と虐待されてる子が協力して虐待しなくなるように試行錯誤してって話なんだけど、、、読んでて辛かった。とにかく病院行きなよって100回くらい思いながら読みました。

     なんでお母さん夜の仕事続けてるんだろう?経済的に頼り切りたくないから、夜の仕事だけ続けてるのかもしれないけど、収入減っても良いから夜は家にいてあげて欲しい。どうしてそこまで再婚相手を信じられるのか理解に苦しむ。

  • 切ない、、、。
    誰の立場で読んでも切ない。
    勝手にハッピーエンドって思ったのに
    最後の最後で、、、。

    数年後に期待、、、。

  • 正しいことが必ずしも幸福を呼ぶのでは無いと気付いていました。何が善で悪なのか、解ってはいても切り離せないのが人間の感情の部分なのかもしれません。
    それでもたった一時期の出来事がその後の未来を左右することも、大人になった私達は知っている。
    忘れたいのに忘れられない過去と、決して忘れたくないのに薄れていく記憶。それを寂しいだなんてもう思わない。
    角砂糖の繊細さの様に少しずつ、ゆっくりでいいから溶かしていきたい。
    今日が悲しくとも、明日も朝日が昇るのだから。

  • いわゆる虐待の読み物とは少し趣が違う。
    虐待を受ける子供が中学生なりの知恵と知識で
    行動を起こす。
    虐待の加害者側にも深い眼差しが向けられている。
    平穏の均衡はこんなにも難しい。
    が、希望は閉ざされてはいないと信じる。

  • 「コツコツと」「ていねいに」「少しずつ」「時間をかけて」
    ここ数年憧れて来た姿勢。パッと解決する魔法の杖は何かの拍子になくなってしまうかもしれないけれど、自分の頭と体を使って少しずつでも変えていく道筋はずっと残ると思う。

    「何かをすればした分、ほんのわずかでも変化が起きることがある。」
    あきらめる方がきっと楽だ。切り捨てて、フタをして、なかったことにする。忘れたことにする。一筋の光に望みをかけるのはしんどいことだ。でもそのしんどさを味わった人だけが自分の力で道を切り開いていけるのだろう。人間関係も。

    「親しくなってしまったら、いちいち嫌になるのはややこしいじゃん。もう一緒にいるんだから、優ちゃんが暴力ふるっても銀行強盗をしても、産地偽装をしても、僕はOKだよ」

    解説の「良いところしかないひとと関係性を維持していくのは難しいことではない。~身の内にある「悪」は、自分が完全な「善」ではありえない、限界をもった存在であるという自覚を、厳しく促してくる。その自覚をもつことができたとき、「悪」は関係を断つものではなく、深いつながりを生むものとして、両義的な姿を見せてくれるのだ」という文にうなずく。

    自分のことも相手のこともあきらめない。いいところも悪いところもちゃんと見る。少しずつ雑草をすきこんで土を肥やしていく努力をできる人でありたい。

  • 中学生の「僕」は母親の再婚相手、優ちゃんに虐待されている。
    それは日常的ではない。優ちゃんはふとした瞬間にキレてしまうのだ。
    キレた優ちゃんは「僕」を殴る。殴ったあと、いつも「僕」に謝り、自己批判を繰り返す。

    そんな優ちゃんを「僕は」嫌いではない。
    生活を豊かにしてくれた優ちゃんに感謝しているし、「僕」は優ちゃんを必要としている。

    「僕」と優ちゃんは内緒で、優ちゃんのキレてしまうクセを治そうとする。
    母親にも、同級生たちや、ガールフレンドにも内緒で。

    ----------------------------------------------------------------

    すごく淡々と進んでいくけど、すごく異常な状態。

    自分を殴ってしまう母親の再婚相手をかわいそうだと思う中学生。
    再婚相手の子どもにしか暴力のはけ口がない歯科医師。
    家族の暴力に気付かない母親。

    内面だけで処理しようとしても結局は歪んでくる。
    中学生は部活で異常な行動を取り、教室で孤立してしまいそうになる。

    主人公の中学生にガールフレンドがいてすごく救われた。

    母親が再婚相手の虐待に気づき、家を出て行けというが主人公がかばうシーン。

    賛否両論分かれるところだと思う。
    家族愛が暴力を超えるのか、暴力は家族を飲み込むのか。
    考えさせられる小説だった。

    (なくなったiPodはどうなった?)

  • 虐待の話をこんなに奇妙なほど暖かく書けるひとをこの人以外に知らない。アンバランスなのにやっぱり整っている。ただ穏やかなふわふわした話とは全く違う。でもさすがに途中でぞくっときた。奇妙で暖かいんだけど、こわいおはなしでもある。

  • 中学2年生の隼太が母の再婚相手である 歯科医の優ちゃんに虐待をされ それを二人で試行錯誤しながら 問題解決していくという成長物語。 重たいテーマだけれども 隼太が絵本を読んだり 日記を書いたり 料理をしたりして なんとか 優ちゃんに立ち直ってもらおうとするところがすごい。でも なんだかリアリティがないような感じがしました。

  • ★★★☆☆
    失いたくないものを守る方法
    【内容】
    シングルマザーの息子で中学生の隼太。母親が再婚し歯科医の優ちゃんが父親になった。優しくてかっこいい優ちゃんを隼太は大好きだったが、優ちゃんはときどきキレて隼太を殴る……。でも絶対に優ちゃんを失いたくない。隼太の闘いが始まる。

    【感想】
    家庭内暴力というテーマを扱っているが、重いテーマを軽く描く。正直、隼太の戦い方は褒められるものではない。

    中学男子は中2病といわれるように、変にカッコつけたり、反抗したり、自尊心が育ち、恋愛にあこがれる。そんな中学生である主人公の成長を感じることのできた。
    この年代はあるキッカケがあれば加速度的に成長するよな、身長と同じように急速に。

    まぁ主人公の性格が若干良すぎる気もしないでもないけど、こんな子供だったら親は楽だな。

    個人的にはオチが納得いかない。急過ぎじゃんか。
    そこまで丁寧に描いていたのだから、伏線を貼るとかすればいいのにもったいない。

  • 中学2年生の隼太(しゅんた)。
    スナックを経営する母なぎさが再婚する。相手は、歳下の歯医者、優ちゃん。
    母親が夜いない、ひとりの夜が無くなり家族が増えたことを喜んでいたが、優ちゃんはキレやすく暴力をふるうことがある。
    それでも優ちゃんが好きな隼太は、2人で協力してDVをなくせるよう本を読んだりカルシウム食事を作ったり、努力する。
    ある日、ずっと気づいていなかった母親が暴力に気づく。隼太が何を言っても聞き入れず、優ちゃんを家から追い出す。
     
    子どもが暴力受けていることに気づかない親っているんだろうか。
    そして、それほど暴力を受けても他人とわかっていても、慕えるものだろうか。実の親なら捨てられたら困ると、このパターンはあると思うが、義理とわかる年齢の子どもがこの行動なのは、現実的ではないと思った。

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

瀬尾まいこの作品

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