- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480831682
作品紹介・あらすじ
男と男、男と女、そして友人達。夏の終わりに繰り広げられた、心やさしいニューヨーカーたちの恋。山際淳司、最後の名訳。
感想・レビュー・書評
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「最終目的地」がよかったので、遡って前の作品を読みました。
どこかオシャレな雰囲気、魅力的な登場人物、繊細なまなざしに共通性があります。
年代的なバランスも…
週末に集まってくる人々。
絵画の評論家で辛辣な講演を行っていたライルは、画家を目指している若いロバートと知り合う。
上手くいきそうで嬉しくなり、週末に行くことになっていた友達夫婦の家へ彼を伴います。
実は1年前に亡くした恋人トニーの異父兄ジョンとマリアン夫婦一家で、田舎にある美しいその家は彼を看取った思い出深い場所。
命日なのに新しい恋人をいきなり連れてきたライルに戸惑うマリアン。
やっと出来た子供の発育が遅いようなのを心配している夫婦。本来は繊細な女性らしいが、幾つかのことが重なってぴりぴりとして微妙に嫌な面が出てくる。ライルのことは気に入っているのだが、それで余計に嫉妬混じりなのかも。
亡くなった人の存在の大きさを思い知る状況で、ライルは新しい彼氏ロバートに「好きだ、楽しく過ごしている、でも愛という程じゃない、愛してはいない」と厳密に言ってしまうのでした。
そこまで言わなくても良いのにねえ…
一方、マリアンに招かれた金持ちの中年女性ローラ。
娘ニーナが女優で近くで撮影しているためにイタリアからやってきているのですが、撮影の都合で会うのは延び延びになっている。ディナーの招待を受けた後に娘が恋人を連れてきて、気まずくなり‥
ニーナのわがままさと輝くような若さ。母の方にも悪気はないが我が子より他のことを優先してきた歴史もあるのだろう。
言わなくていいことを言ってしまい、言った方がいいことには気づかない。
もの悲しいけれど、どこかユーモアも。
雰囲気があって読ませます。「最終目的地」の方がさすがに練れているというか読後感はいいですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんちゃない週末の一コマ。だけれども、そこには人間の色々が凝縮されている。サラッと描かれてるのが、この人のうまいところ。