リサーチのはじめかた ――「きみの問い」を見つけ、育て、伝える方法 (単行本)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480837257

作品紹介・あらすじ

最もむずかしいのは、リサーチをはじめる前の段階だ。スタンフォード大教授らが18年かけて磨きあげた、「きみの問い」が見つかるリサーチの極意。読書猿氏推薦!

感想・レビュー・書評

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  • 「リサーチ」って、軽そうで、なんか趣味的な本かなと思って読んだら、これ「研究」ですよね。マジなやつ。文系の研究をして卒論、修論、博士論文を書く人向けに、アメリカの先生お二人が、楽しく有意義な研究生活をおくってほしいと、親心を持って指導されています。最初から課題バンバン出て、調べ・考え・書くことを求められます。

     私、場違い?なもので適当にパラパラとしか読んでいませんが、興味深い点がありました。
     それは、著者たちの中心となる主張である、研究は「自分中心的研究」でやりましょう、ということ。私の勝手な理解は以下の通り。
    「研究のはじめに「問い」をさがすとき、検索した文献のタイトルや要約をみてビビッとくるかを自問し、ビビッときたものは残し、そうでないものは捨てる」
     これって、どこかでみたような・・・こんまり?近藤麻理恵さんじゃないですか?「自分中心的片付け」?「研究」と「片付け」は意外と近いのかも。

     もう一つ、「文献をみて退屈と感じるのは重要な情報」と書かれている点。やっぱり、本を読んでからの感想・評価は大切なんだ、と思いました。

  • Where Research Begins – Find Your Question
    https://whereresearchbegins.com/

    Thomas Mullaney | Department of History
    https://history.stanford.edu/people/thomas-mullaney

    Christopher Rea - Department of Asian Studies
    https://asia.ubc.ca/profile/christopher-rea/

    筑摩書房 リサーチのはじめかた ─「きみの問い」を見つけ、育て、伝える方法 / トーマス・S・マラニー 著, クリストファー・レア 著, 安原 和見 著
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480837257/

  • 「自分中心」に研究をはじめるにはどうしたらいいか。
    それを手順を挙げながら解説していく本。

    本書の面白いところは、自分の関心に徹底的に即していくところ。
    自分が本当に面白いと思うかが第一で、自分の分野(学問領域)に位置付けていくのは最終段階である。
    こうすることで、特定の学問分野に囚われず、関心が共通する人の研究とつながることができる。

    自分の学生時代を振り返る。
    たしか…対象を決めて、テーマをなんとなくでっちあげる。
    その後、先行文献をチェックして…。
    本書を読むと、なるほど、これじゃタコつぼにはまり、自分が何に関心があったのか見失うはず。

    チェックポイントや、やりがちな誤りなど、具体的に書かれていて、わかりやすい。

    とはいうものの、本書に書いてあることを実際にやろうとすると、かなりの作業量になることは覚悟しなければならないだろう。

    かなり簡略化して流れを書きだしてみよう。
    1 問いを立てる
    2 問いをふるいにかける
    3 1次資料の検討、研究資源の評価
    4 問題を共有できる集団を見つける
    5 自分の研究を自分の研究分野に位置付ける

    その過程を一つ一つメモをとり、いつでも自分で参照できるようにしていく。
    問い同士の連関を考えたり、資料の関係を考えたり、二次資料から(!)自分の問いに関わりのありそうな「問題集団」を探したりする作業は、かなり難しい気がする。

    これだけの作業をやり遂げられるなら、確かに研究は成功しそうだ。

  • 興味深いタイトルの本。どの本もどこから歩き出せばいいか教えてはくれない。確かにそのとおり。
    本書の目的は自らともる火をつける理想的な条件を生み出す手助けをすること

    メモ
    ・研究とは研究者が自分のなかにある問題を見極め、それに対してどうすればいいか考えることから始まる。
    ・自分中心的研究
     実践の面から、今いる場所から研究の道程に踏み出す。自己との密接なつながりを重視維持することが重要。
     精神的には、自己の能力と限界を自覚し、意識的に評価する。自分が何者であるかを知り、自分自身の直感に耳を傾け、子供っぽくても信頼し、深化させていくこと
     考え方は課題を明確にし、自分のアイデア、前提、関心ごとを重視すること。自分自身にとって重要であること
    ・本の使い方
     書きながら読む。興味関心、前提思い込み、問題、アイデアを記録する
     必要に応じて演習と書き込み、書き出しを繰り返す
     練習問題をプロジェクトに応用する

    ・自分自身を検索する
     興味があるテーマを書き出す
     データベースで検索する 
     興味を惹かれたものをクリック
     検索結果を眺めながら自己を観察する
     自分の心と体の反応に注目する
     いい項目を書き出す
     三つの質問に答える
     1番おく
     改めて読み返し自問自答する
    ・つまらないことであっても自分が何かに気づいているということに気づいて然るべき。
    ・三つの質問
      この項目から何を思い浮かべるか
      あえて推測するならなぜこれに目をとどめたのだろか
      この検索結果からどんな問いが心に浮かぶか

    ・退屈を手掛かりにする
      嫌いと感じる自分の感情に注意。どんなことには興味がないかを理解する。
    ・やるなら思い切り小さく
      できるだけ具体的な問いを
       テーマに関してどんな事実を知りたいと思うか
       好奇心を満たすにはどんなデータや情報が必用になるか
       どんな有用な具体的事実が存在すると想像するか
    ・問いを鍛える。問いの根底にある問題を見極め、正確に言語化する
    ・問題と好奇心の差は、日毎に変化するのは好奇心。ずっと変わらないなら問題。厄介な存在。問いを生み出すものであり、なんらかの形で相互関連しているものたち

    ・問いに診断テストを実行する
      問いの文章が具体的か、偏っていないかを確認
      文末は疑問文になってあるか?
      曖昧な形容詞や副詞が主軸になってないか?
      集合名詞でまるっと表現されていないか?
      影響する、左右するといった動詞が使われてないか
    ・より多くのより良い一時資料を見つけ、より多くのより良いキーワードを見つけ、より多くの良い問いを見つけること

  • 研究テーマを変える必要ができて困っている時に、読んだ。

    研究するということは、単に論文を書く技術を学ぶとか、何が研究として発表に値するものなのかとか、そういうことはさておいて、
    自分と向き合い、自分をまず研究することから始まるんだなということが感じられ、
    大学院に入った理由をもう一度考え直そうというところまで引き戻してくれた。

    特に、自分と違う分野の人たちに、自分の課題について理解してもらえるようにくるがこの本における重要なポイントというのがとても、とても、心を打たれた。
    ざっとアウトラインを読んだので、今度もう一回読み直して、今度は紙に書いて実践する。

  • 【書誌情報】
    『リサーチのはじめかた――「きみの問い」を見つけ、育て、伝える方法』
    原題:Where Research Begins: Choosing a Research Project That Matters to You (and the World).
    著者:Thomas S. Mullaney (中国史)
    著者:Christopher G. Rea (中国文学)
    訳者:安原 和見 (英日翻訳)
    発行:筑摩書房
    版型:四六判 336ページ
    定価:2,000円+税
    ISBN:978-4-480-83725-7
    Cコード:C0030
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480837257/
    https://www.chikumashobo.co.jp/special/whereresearchbegins/

    【メモ】
    ・英語版(2022年)。
    https://press.uchicago.edu/ucp/books/book/chicago/W/bo131341275.html

    ・プロジェクトのサイト。
    https://whereresearchbegins.com/

    【目次】
    はじめに
      「自分中心的研究」宣言
      中心のある研究こそ最高
      この本の使いかた
      内側が第一、外側は第二
      やってみよう ―― ここで、いますぐ書く

    第1部 自分中心の研究者になる

    第1章 問いとは?
    テーマは問いではない
    やってみよう ―― 自分自身を検索する
    やってみよう ―― 退屈を手がかりにする
    やってみよう ―― やるなら思いきり小さく
    反響板 ―― 研究ネットワークの構築に着手する
    きみは問いを生み出した

    第2章 きみの問題は?
    問いに飛びついてはいけない
    (問題をとらえ損なうことになる)
    問いに対してストレステストを実施する
    やってみよう ―― 問いに診断テストを実行する
    やってみよう ―― 一次資料を使って問いを鍛える
    やってみよう ―― 思い込みを可視化する
    やってみよう ―― 問いと問いを結びつける問題を特定する
    反響板 ―― 一次資料の手がかりを得る
    ついに問題発生(よい意味で)

    第3章 成功するプロジェクトを設計する
    一次資料とその使いかた
    (あるいはシリアルの箱を読む五〇の方法)
    やってみよう ―― 一次資料をシリアルの箱と同じように扱う
    やってみよう ―― 一次資料を思い描く
    点と点を結ぶ ―― 資料から議論へ
    資料は自分を弁護できない
    やってみよう ―― 資料を用いて点と点を結ぶ
    (ただし鉛筆で)
    研究資源の評価
    やってみよう ―― 意思決定マトリクス
    反響板 ―― きみの意思決定マトリックスは完全か
    二種類のBプラン
    作業場を用意する
    やってみよう ―― 無から資金を生み出す
    (正式な研究計画書を作成する)
    反響板 ―― 信頼できるメンターに研究計画書を読んでもらう
    (ただしこれが予備的なものだと理解している人に)
    きみはプロジェクトのスタート地点に立った

    第2部 自分の枠を超える

    第4章 きみの〈問題集団〉の見つけかた
    問題を共有する研究者を見つける
    やってみよう ―― 変数をひとつ入れ替える
    やってみよう ―― 前とあとのゲーム
    やってみよう ―― きみの集団を探す
    (二次資料検索)
    きみの〈集団〉に合わせて書き換える
    やってみよう ―― 「仲間言葉」を見つけて書き換える
    反響板 ―― 計画案の一般用語バージョンは意味が通るか?
    きみの〈集団〉にようこそ

    第5章 〈分野〉の歩きかた
    〈分野〉内の〈問題〉を知る
    分野を読んでかれらの問題を知る:「文献レビュー」を再考する
    やってみよう ―― 「きみの問題はなに?」書店を開く
    (つまり、〈分野〉を〈問題集団〉で分類する)
    やってみよう ―― 他者の変数を入れ替える
    やってみよう ―― きみの〈分野〉に合わせて書き直す
    反響板 ―― きみの〈分野〉で〈反響板〉を探す
    きみの〈分野〉にようこそ

    第6章 はじめかた
    心配はいらない。ただ書くだけだ。
    やってみよう ―― 「第0稿」を作る
    自分の言いたいことを理解する ―― 〈第1稿〉を書く
    やってみよう ―― 「0」から「1」へ
    完璧は退屈
    反響板 ―― 自分自身と対話する
    自分中心的研究の世界へようこそ

    おわりに 研究者としての未来、次に待つものは?
    やってみよう ―― 新しい問題を見つけて新しいプロジェクトを始める
    やってみよう ―― 他者を手助けする

  • <目次>
    第1部  自分中心の研究者になる
     第1章  問いとは?
     第2章  きみの問題は?
     第3章  成功するプロジェクトを設計する
    第2部  自分の枠を超える
     第4章  きみの「問題集団」の見つけかた
     第5章  「分野」の歩きかた
     第6章  はじめかた

    <内容>
    さまざまな研究について、そのテクニックを紹介する本、実践する本はあまた存在している。この本のミソは、その前、研究テーマをどのように決めていくのか、その手段を手取り足取り教えてくれる本だ。帯で「東大生・京大生がいま一番読んでいる本」とある。ここを付いた本はあまり見たことがない。でもウチの高校でも、かなり浅いが「探究」をおこなわせている。しかし最初の部分で躓き、研究が進められないもの、テーマが途中で変わってしまうもの(研究を始めたもののすぐに煮詰まってしまうのだ)、単なる調べ学習に終わってしまうものが多い。結局、テーマ決めが杜撰になってしまうからだ。自分の身近なところから始めよう!興味関心を突き詰めていこう!なのだが、この本はそのあたりのテクニックを実践的に紹介している。何せ最初にはこう書いてある。「この本は紙とペンを持って実践しよう」。高校生にはちょっと難しい部分もあるが、役立つことが多い本である。

  • リサーチしたくても何をやればいいのかわからない!というときに手取り足取り教えてくれる本。
    めちゃくちゃ自己分析するので、この本にあることを体現するのはかなり難しい....
    とともに、リサーチはこれくらい深掘りしてから始めるべきなのだという気持ちになってくる。自分の興味のあることを正確に把握してから始めるからこそ、より結果が出てくるのだろうと背中を後押ししてくれる本。

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00302242

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著者プロフィール

トーマス・S・マラニー(Thomas S. Mullaney):スタンフォード大学歴史学科教授。コロンビア大学で博士号を取得。専門は中国史。邦訳書に『チャイニーズ・タイプライター』(2021年、中央公論新社)がある。BBCやLA Timesなどで研究が取り上げられるほか、Google、Microsoft、Adobeなど企業での招待講演も多数。

「2023年 『リサーチのはじめかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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