堆塵館 (アイアマンガー三部作1) (アイアマンガー三部作 1)

  • 東京創元社
4.10
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感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (427ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488010553

作品紹介・あらすじ

十九世紀後半、ロンドンの外れに巨大なごみ捨て場があった。幾重にも重なる山のその中心には『堆塵館』という、ロンドンの不用なごみの寄せ集めでできた巨大な屋敷があり、ごみから財を築いたアイアマンガー一族が住んでいた。一族の者は、生まれると必ず「誕生の品」を与えられ、その品を一生涯肌身離さず持っていなければならなかった。十五歳のクロッド・アイアマンガーは誕生の品の声を聞くことができる一風変わった少年だった。
一方、十六歳の孤児のルーシー・ペナントは、召使いとして堆塵館に入り、館の風変わりな伝統と習慣を教えられ、暖炉掃除係として働くことになる。そしてある夜クロッドと出会ったことで、一族の運命が大きく変わっていく……。
『望楼館追想』から十五年、物への偏愛の著しいエドワード・ケアリーが満を持して送る超大作。

感想・レビュー・書評

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  • 愛すべき、黒きゴミ屑と赤きゴミ屑。

  • ゴミで大金持ちになった一族の
    ゴミの中の館
    19世紀イギリスの徹底した階級社会で
    凄まじい悪臭が伝わるし空気がわるい

    挿絵がヘンな魅力あって読んでしまった
    三部作の第一作

    おわり方も謎を残していて
    なかなかだ

    けど当分エドワード・ケアリーを読む予定は無い

  • 最初こそ、設定の奇抜さに戸惑ったが、世界観を理解した瞬間、変わりました。これは面白い。

    十代の少年少女向けに書かれたというのも、奇妙な絵や世界観でありながら、単純に「クロッド」と「ルーシー」のハラハラドキドキの大冒険にハマってしまい、読書の止めどきが難しい感じで分かる。

    それにしても、この世界観、私は好きですね。
    人々から捨てられたもので造られた館の周りに、更に屑山があり、館の地上と地下で住む人々が分けられている、この設定自体がひとつの人生を象徴しているようにも思えてきます。前者は私の嗜好で、後者は私の性格なんてのは、悲観的すぎるだろうか。

    更に、その屑山の中から価値のあるものが誕生することや、物と人との関係性の奇妙さは、物を大事にする大切さや、ゴミ問題、物で溢れかえる現代社会への皮肉にも感じられました。

    まだ三部作のうちの初っ端で「⭐五」なのは、どうかとも思うが、物語と世界観がこれだけ上手く密接に絡み合っているのが素晴らしく、メッセージも感じられたし、何より、クロッドとルーシーに思い切り感情移入出来る、作品の熱量が好きです。個性的な絵柄も、最初は不気味に見えたが、次第に愛嬌あるものに感じられました。

  • スチームパンク?…ともまた違うか。塵芥を集積したロンドン郊外に住むアイアマガー一族と彼らの召使とその皆が住む大きな屋敷の物語。

    塵芥の山に立つ屋敷が舞台なのだから、汚れに汚れた不潔な世界観、人間関係もゴチャゴチャ、登場人物たちも好人物っぽいのは一切いない。主人公もなんだかフワフワだし、ヒロインは泥棒だし、それ以外の全員が悪役的。なのに、そのすべてがちょっと気になるというか居心地がいいというか。なんという世界観だ、これ?

    この1冊だけを手に取ってみたが、早く続きが読みたい。
    ところで、3部作というより、全3巻なのではないだろうか?でないと、このラストは締めになってないぞ。

  • 「望楼館追想」がいまいち合わずあまり期待してなかったのを激しく後悔。作者ならではのオリジナリティ溢れる世界は分かりやすそうで奥深い。子どもも楽しめるストーリーだけど、腹黒い登場人物や残酷さや死も描かれている。物言わぬ物たちが何故それぞれ名前を話すのか。ユーモラスな文体にごまかされてたけど、これにも深い理由があった。そして強くて勇気があるルーシーと、初めは弱々しかったのにルーシーと出会い勇気を持ったクロッドは心の底から応援したくなる。早く2作目が出てほしい。

  • 面白い。あまりにも面白い。
    19世紀後半、ロンドンの外れにある巨大すぎるゴミ捨て場には、ツギハギのゴミ屋敷で暮らす、ゴミで財を築いた世にも汚らわしい一族が、ある秘密を抱えてうごめいていた・・・。
    この導入部だけでもう堪らない。
    続きを読むのが楽しみだ。

  • 物語の舞台となるのは19世紀後半のロンドンのはずれにあるゴミ捨て場である。そのゴミ捨て場中央には大きな屋敷が鎮座し、アイアマンガーという一族が付近を管理・支配していた。
    アイアマンガー一族には生まれつき誕生の品が与えられる。誕生の品は大事なもので肌身離さず持っているというのが、決まりであった。
    そして主人公、クロッドは誕生の品の声が聞こえるのだ。

    歴史的背景とファンタジー的設定が絡まり合って独特の世界観をなした本作は、特殊な能力を持ったアイアマンガーであるクロッドと無理やりアイアマンガー家に連れてこられた孤児のルーシー・ペナントという2人の人物を中心にして、読者の前で何度も何度も万華鏡のように展開を、世界を、変えてみせる。

    そして、誕生の品やアイアマンガー一族の謎など驚くべき答えを見せつけながら予想もできない方向に物語を飛ばしていくのだ。

    最初から最後まで面白く、打ちのめされるようなファンタジーの傑作。

  • ★4.5
    塵芥の山に聳え立つ館とアイアマンガー一族、陰鬱な印象を与える表紙と挿絵、どちらかと言うと嫌悪したくなる要素の方が強め。が、読み進めるにつれて、嫌悪は癖になり、陰鬱は愛着へと変わっていく。そして、取るに足らない"誕生の品"たちが、いつの間にかかけがえのない大切なものに思えてくる。と同時に、裕福なはずの一族が塵芥の中で暮らし、限りなく自由を制限されている皮肉。ただ、そんな中でも友情と愛情と信念は息づいていて、著者が描く奇抜で独特な世界観にただただ魅了されるばかり。クロッドとルーシーの未来や如何に!?

  • エドワードケアリーさんの作品はこれが初めて。

    初めは屑山に住むゴミで財を成したアイアマンガー一族の変わった風習についていけず。アイアマンガー一族に送られる誕生の品一つ一つにも名前があるので、少し読み疲れてしまう事もありました。
    物語が中盤に差し掛かるとどんどん面白くなり、気づくとケアリーさんの世界に引き込まれていました。
    まさか!!な展開…
    三部作まであるので、続けて読みたいです。

  • ファンタジー、と言っていいのかしら。でもかなりシュール。
    児童書なのだろうけれど、あまり気にならない。大人なりに考えさせられるところが多くあって、面白い。そういう意味では、エンデの『モモ』のような本かもしれない。

    この本を読み終えた今、いつも身につけて存在を意識することがなくなってしまっているモノやら、日ごろなおざりにしてしまいがちな沢山のモノ、気軽にゴミ箱に放り込んでしまっている沢山のモノの存在が、妙に大きなことのように感じられています。
    読み始めた当初は、「純血アイアマンガー一族」である主人公の少年の語りと、もう一人の主人公である、ロンドンから連れてこられた孤児の少女の、不思議な語り口や彼らが暮らす世界の設定の奇妙さに、なんだか戸惑いがありました。が、読み進め、いろんな謎が解けていくと、それらの奇妙な設定がどんどん生きてきて、引き込まれていきました。
    結末で、二人があんなことになって…!コインとボタンはこれからどうなる?続編に着手せねばなりません。

    宮崎アニメで育った私には、いろんな場面で『千と千尋』のシーンが思い出される本でもありました。結集はカオナシの暴走にしかイメージできない…。アニメの功罪!?

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