肩胛骨は翼のなごり

  • 東京創元社
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本棚登録 : 445
レビュー : 100
  • Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488013998

作品紹介・あらすじ

古びたガレージの茶箱のうしろの暗い陰に、僕は不可思議な生き物をみつけた。青蠅の死骸にまみれ、蜘蛛の巣だらけの彼は誰、…それとも、なに?夜明けの闇と光が繊細に溶けあう、どこにもない物語。カーネギー賞・ウィットブレッド賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • なんといってもタイトルが秀逸!
    邦題は訳者の方がつけるのかしら?素晴らしいセンスだなぁ、と感心しきり。
    球体人形好きのわたしは表紙にも惹かれたのだけど、「人形こわっ」と本棚に戻す人が少なくないような気がする。
    表紙から受けるイメージとは違うお話なので、もし表紙で損してるなら残念。

    主人公の少年マイケルが引っ越したばかりの家の崩れそうなガレージで見つけたナニモノか。
    それが原題にもなっている「スケリグ」。
    やせおとろえて死人と見紛う蒼白い顔。
    臭くて汚れいて、埃だらけのスーツはアオバエやクモの死体まみれ。
    仲良くなった隣家の女の子ミナと、スケリグに食べ物やビールを運ぶマイケル。
    最初こそ「放っておいてくれ」と患っているリウマチのように頑なな態度の彼だが……。

    ミナがスケリグの上着を脱がし、彼の背から翼が広がったのを見て、マイケルが窓から「世界がまだ存在しているか」確かめる場面と、最初の輪になってダンスする場面がとても印象的。
    わたしもきっと窓から外を見て世界の存在を確かめたくなるだろうし、くるくる回るのが少し怖く感じるだろうなと思った。

    最後まで不可思議な存在スケリグの正体が明言されず、フクロウからもらうエサなど薄気味悪く感じるところもあり…
    翼あるものは「善きもの」だけではないので、どんでん返しがあったらどうしようなんて心配もしたけれど、無用の心配だった。
    すべての暗雲を払拭するような明るく優しいラスト。

    訳者あとがきに書いてあるように、
    「人間にも翼があったのかもしれない、もしかするとまた翼が生えてくるかもしれない、もしかするといまも翼をもつ者がいるかもしれない、という気持にさせてくれる。」そんな一冊。

    • 九月猫さん
      すずめさん、こんにちは!

      コメントありがとうございます(*^-^*)

      本当に素敵なタイトルですよね~。
      希望にあふれた幸せなラ...
      すずめさん、こんにちは!

      コメントありがとうございます(*^-^*)

      本当に素敵なタイトルですよね~。
      希望にあふれた幸せなラストだったので、
      読み終わったときには、わたしも嬉しくなっちゃいました。
      読んでる最中はスケリグを少し怖く感じるところもあったのですけど、
      今ならもっとちゃんと彼の温かい眼差しを感じることができるのかもしれません。

      ということで、わたしもまた再読したいなーと思っています。
      すずめさんおススメの前日譚『ミナの物語』も読みます~(*^ー゚)b
      2013/03/30
    • もっこさん
      初めまして。コメントありがとうございます。
      作品のタイトルが秀逸!わかります!
      ファンタジーが好きで読んではいますが
      この作品は久しぶ...
      初めまして。コメントありがとうございます。
      作品のタイトルが秀逸!わかります!
      ファンタジーが好きで読んではいますが
      この作品は久しぶりの大ヒットでした。
      ハリポタの賢者の石を差し置いて賞を受賞したのが頷けました。
      ちなみに私は表紙買いです、人形好きです(^◇^;)
      前日譚があるのは知りませんでした。チェックします。
      今後ともよろしくお願い致します(o^o^o)
      2013/04/27
    • 九月猫さん
      もっこさん、こんばんは♪

      コメントありがとうございます。

      もーう、ほんとうに参っちゃいますよね、このタイトル!
      お話のなかに出...
      もっこさん、こんばんは♪

      コメントありがとうございます。

      もーう、ほんとうに参っちゃいますよね、このタイトル!
      お話のなかに出てくる言葉だけど、これをタイトルにしようと
      思いつくのはやっぱり素晴らしいセンスだなぁと思います。
      原題は、「Skellig」なんてシンプルこの上ないのに(笑)

      もっこさんもお人形好きなのですね♪
      球体人形いいですよねっ!
      とはいえ、わたしは部屋にあったらやっぱり怖いので、
      写真集やら眺めるだけですが(^-^;)

      ミナが主人公の前日譚、わたしもまだ読めていませんが、
      アーモンドさんの作品なので、きっと同じく幻想的で
      優しい世界だと思います。読むのが楽しみです♪
      もっこさんも『肩胛骨』同様、楽しめますように♪
      お互い読み終わった暁には、またぜひ語り合いましょうっ!
      2013/04/27
  • なんて素敵なタイトル!

    原題の『Skellig』を、『肩胛骨は翼のなごり』と訳した訳者さんに、
    掌が痛くなるくらいの拍手を送りたい気分。

    それにしても、日本語版ではタイトルから追放された彼、
    (それもまた、堕天使然とした彼らしいのだけれど)
    スケリグが、とてつもなく魅力的です。

    主人公マイケルが引っ越してきた家の庭先の荒れ果てたガレージの片隅で
    ほこりと蜘蛛の巣とハエの死骸にまみれて死にかけていた彼。
    中華料理屋のメニューの27番と53番とブラウンエールをこよなく愛し、
    リウマチに苦しみ、アスピリンに頼り、毒舌を吐きながらも
    こどもたちとの約束は守り、彼らしい感謝のしるしを遺すのを忘れない。

    おはなしの中で、無垢なこどもが出会う未知なる存在といったら
    天使とか神様とか妖精とか、どちらかというと神々しく清らかなものを想像するけれど
    スケリグは予想を気持ちよく裏切って、汚くて臭い上に無愛想なのに
    マイケルも、隣家の少女ミナも、どうしようもなく惹きつけられるのが
    かえってこどもらしく、リアルな感じがします。

    天使のように願いを叶えてくれそうな存在としてスケリグを見つめるこどもたちに対し、
    翼を持つスケリグもまた、こどもたちに「天使がふたり」と呼びかけるのも素敵だし

    「炎のような心臓」を生まれ持ち、エネルギーを制御できないかのように
    名前もまだつかない赤ちゃんのうちに死にかけていたマイケルの妹が、
    スケリグに抱かれて、プラスのエネルギーとマイナスのエネルギーを補い合うように
    くるくる回り、癒されていくシーンは、読んでいる私まで
    やわらかな光と温かさに包まれるようで

    翼のなごりを肩胛骨にひっそりととどめた私たちは
    こうしていくらでも想像の翼をひろげられるのだ、と
    改めて思い出させてくれる物語でした。

    • sanaさん
      まろんさんも、お読みになったんですね!
      何て素敵なレビューでしょう。
      これなら読みたくなること、請け合い?!

      このタイトル、素敵で...
      まろんさんも、お読みになったんですね!
      何て素敵なレビューでしょう。
      これなら読みたくなること、請け合い?!

      このタイトル、素敵ですよねえ。
      自分が書いた紹介を読んでみたら、ずいぶん、あっさり…
      しかも、書いた内容説明はほとんど覚えていなくて、良い所が書けていないというか、なんか印象が違っていて。
      まろんさんの書かれたことを読んで、そうそうそう…とイメージの美しさを思い出しております♪
      2012/11/02
    • まろんさん
      いえいえ、sanaさんの丁寧なレビューにくらべたら、
      私のレビューなんか、スケリグ素敵~♪と、スケリグ偏重になっていますもの(>_<)

      そ...
      いえいえ、sanaさんの丁寧なレビューにくらべたら、
      私のレビューなんか、スケリグ素敵~♪と、スケリグ偏重になっていますもの(>_<)

      それにしても、素敵な世界観の物語でした。
      自由奔放なミナに、押し付けず、でも大切なことはしっかり伝えながら
      学校ではできない勉強を教えるおかあさんも素敵でしたよね♪
      2012/11/03
  • 少しぐらいの風邪なら「しめしめ」と何冊もの本を抱えてベッドに入るが、
    肺炎ともなると生存しているだけで大変。
    でもなんとか治療も終了したので、快気祝いがてら読んでみた。が、この選択は正しかったのかどうか。
    何しろ主人公の少年マイケルの心の動きが、それは切ないのだ。
    不安の正体も分からず、幸せがなんなのかも分からず、ただすべてを受け入れつつ漂い、何かに抗っている。
    ただ彼は、大事なものは大事だと言える。そんな勇気も併せ持っている。
    危うさと賢さと素直な柔軟性と。
    それゆえに感じないではいられない命の揺らぎを、読者も思わずその頃の自分にフィードバックして味わってしまうかもしれない。

    原題は【Skellig】。同じ名前のヒトが登場する。
    この不可思議な存在が、天使なのかどうかは、最後まで明かされない。
    そうなのだろうと想像するのは楽しいが、受け入れられるかどうかとはまた別の問題。
    宗教的な部分は、とりあえず脇において読んだほうが良いかも。
    そしてこのSkelligを共に救う存在が、マイケルに大いなる影響を与えるミナという少女。
    この少女のキャラがあまりに際立っていて、何故この子を登場させたのかしばしば考えながら読み進むことになる。
    しかし、不可思議な存在に出会って不可思議な体験をするためには、感受性豊かで常識にとらわれない必要があり、やはりこの子で良いのだろう。
    深い感動を呼ぶ終盤、ミナがはじめてマイケルの家を訪れる場面がある。
    彼女が内気で恥ずかしげにしている描写に、何故かほっとする。
    マイケルの両親や赤ちゃん、友人たちや先生など、登場人物とのからみや小さな逸話も多く、しかもそれらがちゃんとリークされ、実に上手く構成されている。

    しかし、天使がどうの、ミナという少女がどうの、赤ちゃんの命がどうのとかよりも、主人公マイケルの心の動きこそがこの作品の読みどころだろう。
    大人になった自分が、あの頃の自分に思わず手を差し伸べてしまいたくなるような、そんな切ない懐かしさをたたえた、カーネギー賞とウィットブレッド賞とを受賞した、児童小説。
    おすすめしてくれた、ブクログのお仲間さん、どうもありがとう。

    • nejidonさん
      九月猫さん、こんにちは♪
      ちょっぴりご無沙汰してしまいました。
      心配かけてごめんなさいね。
      こんなに簡単にそんな病気になるのかと、私もびっく...
      九月猫さん、こんにちは♪
      ちょっぴりご無沙汰してしまいました。
      心配かけてごめんなさいね。
      こんなに簡単にそんな病気になるのかと、私もびっくりでした。
      風邪がなかなか治らないな、どうしてかな?という程度でしたので。
      そうね、もう二度とご免なので、気をつけなくちゃです。
      九月猫さんも、お気をつけくださいね。

      この作品、表紙がちょっと怖かったので手に取らなかったのですよね(笑)
      まさか児童書だなんて、ねえ?
      でも読んでみるとまるで違いました。
      作者さんの、子ども心の描写の上手さには参りました。
      どの登場人物も、きちんと魅力的に描いています。
      ラストも良かったですね。とても納得の行く運びでした。
      はい、次なるデヴィッド・アーモンドさんの作品に、いずれチャレンジしたいと思います。
      九月猫さん、どうもありがとう~~


      2013/05/31
    • まろんさん
      nejidonさん、おひさしぶりです。

      しばらく素敵なレビューが読めないなぁ、お忙しいのかしら、と思っていたら
      なんとなんと肺炎だっただな...
      nejidonさん、おひさしぶりです。

      しばらく素敵なレビューが読めないなぁ、お忙しいのかしら、と思っていたら
      なんとなんと肺炎だっただなんて!大変でしたねぇ。。。
      九月猫さんも書かれてますが、治療が終わってすぐって
      あれもしなきゃ、これもしなきゃと無理しがちなので、くれぐれもお体大切に。

      邦題も素敵な名作ですが、病み上がりに読むには
      最初のスケリグの衰えぶりといい、マイケルのいる状況といい、
      かなりせつないものがあったのではないでしょうか?
      でも、こどもたちが闇の世界に興味津々ではありつつも、呑み込まれず
      スケリグも、こどもたちが連れてくる光の世界に身を焼かれることもなく
      光と闇が、互いに充電し合うかのようなラストに、
      nejidonさんの心にもエネルギーが充填されているといいなぁと思います。
      それにしても、表紙でちょっと損してる本ですよね(笑)
      2013/06/01
    • nejidonさん
      まろんさん、こんばんは♪
      ご心配をおかけしてすみませんでした。
      胸のCTの結果が良かったので、とてもほっとしています。
      もう点滴にはうんざり...
      まろんさん、こんばんは♪
      ご心配をおかけしてすみませんでした。
      胸のCTの結果が良かったので、とてもほっとしています。
      もう点滴にはうんざりしていたし、こりごりです。
      はい、無理しないように気をつけますね。
      扶養にゃんが大勢いますので、まだまだ頑張りませんとねぇ(笑)

      そうそう、自分が「痛い」「苦しい」からやっと脱却できたので、スケリグの辛そうな描写が読みにくかったのですよ。
      でも主人公とミナが魅力的なので救われますね。
      子どもの頃って、大人が思うよりずっと色々なことを思っているもので、マイケルの心の成長にとってなくてはならぬ存在だったのがスケリグとミナなんでしょうね。
      【光と闇が互いに充電し合うかのようなラスト】は、感動ものでした。良い作品だったと思います。
      それなのに☆4つなのは・・あの表紙のせいなのです(笑)
      作者さんの責任ではありませんが、誤解を招きますよね。
      またステキな作品にめぐり合ったら教えてくださいね!
      2013/06/02
  • 大ざっぱにいえば、児童書なのでしょうがもったいないので、子どもには見せたくない本。
    生きている今、妹の死について考えるお兄ちゃん、ザクロのエピソードがイタい。子どもたちは生きているということに恐れおののいて生きていると
    いうこと、大人はすっかり忘れてしまってる。
    大人のための児童書。

  •  ブグログでフォローさせて頂いている「まろん」さんのレビューに惹かれ、どうしても読みたかった本書です。

     本書に関しては、花○が何個ついてるか数えられない「まろん」さんのレビューでどうぞ。
    http://booklog.jp/users/tumani1230/archives/1/4488013996

     表紙の写真が気になるらしく、「この本はどんな話?」としつこい小3の娘に途中までのあらすじを話すと、「それで!それで!」とクギヅケでした。途中まで話して、「残りは自分で読めるようになってから」と絞めて、大ブーイングを喰らいましたが、これは自分で読んで欲しい。

    児童書と言うことですが、大人も読ん下さい。

    タイトルも著者も全く知らなかった本書。出あえてラッキーです。

    • まろんさん
      kickarmさん、こんにちは。

      なんと、レビューの中に登場させていただいて、しかもこんなに褒めていただいて、うれしいやら恥ずかしいやら。...
      kickarmさん、こんにちは。

      なんと、レビューの中に登場させていただいて、しかもこんなに褒めていただいて、うれしいやら恥ずかしいやら。。。
      ほんとうにありがとうございます。感激です。

      お父さんの読んでいる本が気になって、あらすじをせがむ娘さん、
      途中まで話して「残りはいつか自分で」と、本の世界にいざなうお父さん。
      素敵です! 本をちっとも読んでくれない娘を持つ私には、理想の風景です。
      自分でこの本を読めるようになったとき、娘さんはどんな感想を持たれるのでしょうか。
      楽しみですね♪
      2012/12/04
  • ファンタジーっぽいのに妙にリアルで、だからこそマイケルのいいようのない不安が大きく伝わります。引っ越しや家庭環境の変化。体が弱く入退院を繰り返す赤ちゃんの妹。繊細な感受性にはそれらが鋭く突き刺さります。そこに現れたのがお隣の少し変わった女の子ミナと翼(?)を持つ謎の男スケリグでした。ミナの存在がすごく好き。型にはまらない感じの子で個性的。スケリグの描写には気持ち悪さもあるのだけど同時に神秘性や神々しさもあってまさに「不可思議な存在」なのでしょう。ファンタジーとリアルの共存というか。読後感は嫌いじゃないです。

  • 生まれたばかりの妹が心臓病である10歳の少年マイケルは引っ越した先の崩れそうなガレージで謎の食べ物「27番と53番」とアスピリンを要求し虫の屍骸を食べて生きる奇妙な男スケリグを見つける。隣りに住み、母親から家で教育を受ける新しい友人ミナの助けでその奇妙な生物を取り壊されるガレージから安全な場所へ移すと彼に翼が生えている事に気付く。二人はリューマチで体が動かないスケリグを隠れて世話する。そして回復したスケリグにより不思議な体験をする。
    Wikipediaより

    少年マイケルが引っ越した先のミナは学校へ行かない.親がそういう方針で、本人も行きたいと思っていない.そのことによって得られるものは何か、失うものは何か.
    人の能力は十人十色.でも1日24時間という時間は平等.それをどのように使うか、その時間の中で何を見、体験するかは人それぞれ.学校の外で体験することは、恐怖と驚きと喜びとに満ちみちている.

  • 良質な児童文学。
    題名に惹かれて手に取りました。
    中華料理の出前、って天使(?)が食べるイメージなかったので面白いなぁ、と。悪魔だったら、まあアリかなぁ、なんて思いました。
    でも最初の悪魔、ルシファーも元天使でしたね、そういえば。

  • 安直なエンタメ性を持たない、品のいい、好もしいファンタジー文学だなと思った。

  • ファンタジー。ボーイ・ミーツ・ガール。児童書。
    タイトルに惹かれた。
    不気味な序盤から、感動的な結末。良い話。
    子供から大人まで、誰でも楽しめる良作。

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著者プロフィール

1951年生まれ。イギリスの作家。1988年『肩胛骨は翼のなごり』でデビューし、この作品でカーネギー賞受賞。ほかの作品に『星を数えて』『ミナの物語』『パパはバードマン』などの作品がある。国際アンデルセン賞受賞作家。

「2018年 『ダム―この美しいすべてのものたちへ―』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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