オルゴーリェンヌ (ミステリ・フロンティア)

著者 :
  • 東京創元社
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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488017798

感想・レビュー・書評

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  • う〜ん。長い。

  • 発売日に買っていたのに気づけばもう2月。
    単行本で2段組。400ページもあろうかというボリュームから「時間があるときに読もう」と先延ばしにしていたのですが、春休みも始まりついに重い腰を上げて読んでみた次第です。
    すると、なんということでしょう!1日で読んでしまったではありませんか!
    前作『少年検閲官』の設定が若干あやふやではありましたが、それを取り戻してからはページを捲る手が止まりませんでした。
    大まかな内容は前作同様、書物が禁じられた幻想的な世界を舞台に不可能殺人が起こり、それを2人の少年が解決するといった物語です。
    前作は持ち前の物理トリックと、異世界の理論で思いもよらぬ動機を浮かび上がらす部分が最大の魅力でした。
    今作もそれらは健在なのですが、それに加えて多重解決という要素も入れて、ミステリとしての趣きがより増しています。
    犯人をギリギリまで読者に悟られないように配されたミスディレクションも素晴らしく、北山猛邦の巧さを再認識しました。
    早くもシリーズ3作目が待ち遠しいです。(いつのことやら…)

  • 2015/02/03読了

  • 最後の最後に訪れる衝撃の展開に驚きを隠せない。頽廃的な世界観に引きずり込まれて、その切なさに胸が詰まる。設定を生かしたトリックも素晴らしいし、更なる続編に期待。

  • (15-8) 最近「本格ミステリ」を読むのがちょっと辛くなってきた。あまりに理詰めなので現実感が無さ過ぎて。でもこのシリーズはもともと物語の舞台が現実離れした世界だからか読めた。滅びに向っている世界。暴力や殺人を防ぐため、それらを描いた書物を規制。行き着いたところがあらゆる書物の焚書。ミステリは地下にもぐる。そういう世界で起きる殺人事件。ガジェットがいまいちイメージできないんだけどなあなどと思いながらも、この世界の魅力に引き付けられ面白かった。

  • 少年検閲官シリーズ
    オルゴールを作り続ける海虚でのミステリ

  • 2015年発読書。

    待っていました北山先生。
    そして期待を裏切らない。
    分厚い。

    恋人をオルゴール化した青年、
    孤島、
    密室ともうミステリ好きにはたまらんモチーフで。

    小説内にも何回も図が出てきたり。

    トリック的には多分新しいものではないとは思うんだけれど、やっぱり北山マジックで最後は号泣。
    大好き

    そして、やっぱり少年検閲官なんですよね。
    クリスとエノのコンビがやっぱりいいんですよね。

    でも、ちょっとびっくりしたのが全巻から3か月しかたってなかったの?という感じです。
    だからまだ、二人の成長とかそういうのがまだ出てない感じで。

    でもこういう北山先生が読みたかったのでほんとありがとうございます。

  • 少年検閲官シリーズ2作目。
    シリーズ前作の「少年検閲官」を読んでからのほうが良いと思います。

    前作で、敵対する立場ながらも友情に似たものを築いたエノとクリス。
    逃亡するクリスとユユの危機に颯爽と現れたエノには驚きました。彼がこんなにも大胆な行動をしたことが意外で、前作での二人の絆が思い出されるようで懐かしい。

    今作の舞台は海面上昇により陸と切り離され孤島となった「海虚」。オルゴール職人たちが住まう謎多き閉ざされた場所「カリヨン邸」での連続殺人です。

    滅びゆく世界の美しさと儚さが相変わらず素晴らしい。
    更にはオルゴールが全体を通してキーアイテムとなっており、素敵な演出を果たしています。
    本だけでなく音楽さえも規制の対象になっていく世界で、文化に心を寄せる人々が美しいです。

    そして、それらの世界観がただの物語上の設定に留まらず、事件やトリックと強く結びついているのも上手い所です。

    繊細で静謐な文章とは反対に、大胆で豪快なトリックが惜しみなく登場します。
    この世界で生きるエノとクリスの壮大なシリーズの物語としても、悲恋物語としてもとても良かったです。

    新たに登場した少年検閲官カルテや検閲局自体にも何らかしらの動きがあるようで、早くも次作が待ち遠しい。
    気長に待ちます。

    ネタバレ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・














    今回の一連の事件は目的、ターゲット、方法まで全て入念に計画されており、全ての犯行が行われて初めて犯人が見えてくるようなものだと思います。

    大がかりな物理トリックが何度も登場しますが、そんな方法をとった理由がキリイ先生に直結するのが見事。
    海虚という閉ざされた場所というのが目隠しになっていました。

    犯人は現場にいなくてもよかった。ということは海虚にいる必要もなかったのでは?と一気にキリイ先生にスポットが当たったのにはゾワリとしました。

    振り返ってみれば少年検閲官やカリヨン邸の人々、更にカリヨン邸内部やオルゴールの構造を熟知していることが必要であるということが分かり、それだけでもキリイ先生を指し示していたように思います。

    旅を続けてきたキリイ先生ならばミステリの知識が多少でもあり、本を見たことがあっても不思議ではありません。少年検閲官がどういう行動をするのかも十分予想できたでしょう。
    又、ユユともどこかですれ違っていたというのに説得力があります。

    これは作品世界内ではエノしか解けないと思います。

    殺害方法から何度も指摘されていたように、力の弱い人間の犯行という点からユユ、主人へと疑いの目がいき、三段構えの謎解きになっているのもおもしろい。

    物理トリックに関しては、特に塔のトリックはかなり危うい方法だと思いました。

    タイプライターを手に入れたクリスですが、あんな物を持って旅するのは大変そう。あの場所に腰を落ち着けるのでしょうか。

  • 『少年検閲官』シリーズ第2作。
    前作が出てからどれぐらい経ったのかもう覚えていない……確か前作はタイトルに惹かれて買ったのだが、今作も内容が気になる、印象的なタイトル。
    今時珍しい四六判の二段組だが、全く長さを感じさせずに一気読み。大掛かりな物理トリックや、最後の最後まで飽きさせない展開などは流石。続きはきっと暫く出ないのだろうが、気長に待つことにしようw

  • 少年検閲官シリーズ新作。
    クリスと少年検閲官と、そしてオルゴール職人の物語。

    北山物理トリック、もちろん健在。

    終奏で語られる真実に慟哭し、涙する。
    そうだ、彼の物語でもあったのだ。
    何もかも失われていく世界で、クリスはどんなミステリを生み出すのか、見届けたい。

    あと相変わらずエノ可愛い。

    「行こうか。我々だけの真実を見つけに」

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著者プロフィール

2002年、『『クロック城』殺人事件』(講談社ノベルス)で第24回メフィスト賞を受賞しデビュー。代表作として、デビュー作に端を発する一連の〈城〉シリーズなどがある。

「2022年 『月灯館殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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