わたしたちの怪獣 (創元日本SF叢書)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 235
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488018504
#SF

作品紹介・あらすじ

運転免許証を取得したつかさが家に帰ると、妹が父を殺していた。立ち尽くす姉妹。その時、テレビから東京湾に怪獣が出現したという緊急ニュースが流れる。つかさは父の死体を棄てに東京にいくことを思いつく。短編として初の日本SF大賞候補作(「わたしたちの怪獣」)。伝説的な“Z級”映画の上映会中、街にゾンビが出現。参加者たちは館内に籠城しようとするが……(「アタック・オブ・ザ・キラー・トマトを観ながら」)。『七十四秒の旋律と孤独』の著者、新境地。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館本。

    、、、みんな怪獣だ。わたしたち一家はだれもが、傷ついてできた心のひだに怪獣を住まわせている。わたしたちの怪獣は、自分を守るためなら世界を壊したっていいと思う思っている。

    この文に集約されている。

    SF短編集。
    愛妻家で愛猫家の著者さんの後書きがまたよし。竜の水浴びに遭遇したい

  • SFを4遍収録した短編集。作者の小説ははじめて読んだのだけど、4編どれもがさらりとした手触りでありながら、サブカル愛や映画愛を感じるもので、馴染みの店で定番のメニューでも食べているかのような安心感がありました。

    表題作「わたしたちの怪獣」は父親を殺した妹の罪を隠蔽するために怪獣が出現している最中に死体を遺棄しようとするお姉ちゃんのお話。主人公の心情にフォーカスしつつ、突如出現した怪獣によって社会が混乱する様子を描くという、小さな「個」と大きな「社会」を対比させた物語。最終的にそのふたつが重なる瞬間をとらえることで、主人公が「世界」とコンタクトする瞬間を描こうとしたのかなと思いました。つまりこれはかたちを変えたファーストコンタクトSF。展開は荒っぽい部分もありますが、主人公の情緒の流れがわかりやすく、絵的な強さもあり結構好き。

    「ぴぴぴ・ぴっぴぴ」では歴史改変された世界の秩序を守る仕事に就いている者の話を、「夜の安らぎ」では吸血鬼に魅入られた少女と実在した吸血鬼の出会いを。二編ともさくさくと読めちゃうわかりやすいお話で、やはりここでも個と社会の対比みたいなテーマが読み取れる。

    「『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』を観ながら」はZ級映画である『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』を映画館で観ている最中に街がゾンビに襲われ、館内に残っていた8人が映画についておしゃべりしながら籠城するというお話。映画についてのあれやこれやな知識が披露されつつ、軽妙な会話によって登場人物を掘り下げ、Z級映画に対する愛をさく裂させます。オチの付け方はなんだか投げやりっぽい気もしましたが、登場人物の会話ややり取りがコミカルで楽しい。『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』観たくなっちゃった。

    現実の中に突如虚構が侵入し話を駆動させるという、ティーンが好きそうな話が多く、この前読んだばかりの『SFの気恥ずかし』に書いてあった”若気の至り”的な妄想譚はある意味ただしく「SFやってんなあ」という印象。話の飛躍具合からすればサイエンスの要素は少ないので、SFに「科学」を求めている方からすれば物足りなさを覚える可能性があるけれど、過重労働やパワハラ、家族間の問題、いじめ、経済格差といった部分がテーマとして用いられているため、社会学SFという観点からみるともっと色々掘り下げがいがありそう。

  • SF,現実ではありえない設定
    非日常を味わい脳を刺激
    1.怪獣:襲来現場に死体置去り
    2.ぴ:事故直前にタイムリープ,声かけ
    3.夜:吸血鬼に憧れる少女
    4.キラートマト:ゾンビ襲撃,映画館籠城

  • どの話も読みやすく楽しめます。吸血鬼の話が好きでした。

  • 「発掘王への道#4」は久永実木彦さんの『わたしたちの怪獣』です

    王を目指してますからね
    SFも発掘していきますよ

    そして一Qさんに先を越されちゃいましたが、あまり知られていない作家さんということに変わりありませんので、元気に作者紹介から!

    2017年に「七十四秒の旋律と孤独」で第8回創元SF短編賞を受賞
    2020年に上記受賞作を表題作とした初の単著『七十四秒の旋律と孤独』を上梓
    自ら愛妻家かつ愛猫家と名乗ってらっしゃいます
    本作はデビュー2作品目となる短編集です

    うん、正統派だな
    正統派SFって感じだな

    いやー是非とも一度長編を書いて欲しいなー
    設定はいいんです
    設定は面白いんです
    だけどこのくらいの長さだと設定だけで押し切れちゃうんですよね
    しかも終わり方が全部フワッとしてるし
    あえて揃えてるのかもしれないんですが、やはり作品数が少ない段階だと、どうしても「それしかできねんじゃね?」疑惑が…w

    あと、文章に色というかクセがなさすぎる
    最初のうちは稚拙でもうざいくらい主張してくる文章書く人の方が大成するイメージあるんよね〜

    とにかく間口の狭い作家さんなのは間違いなさそう
    好きな人はとことん好き、そうでない人はポカーンみたいな
    ブクログで言うと★2と★5で平均★3.5ってタイプですね

    あれ?なんかすごい厳しい感じになっちゃった
    ま、いいか

    発掘って難しいな〜

    それでは締めます!

    「はっくつ!はっくつ!」

    • ひまわりめろんさん
      そんなことより、韓国文学発掘…完全になおなおさんの独壇場になっとるやないか!
      そんなことより、韓国文学発掘…完全になおなおさんの独壇場になっとるやないか!
      2023/09/02
    • 1Q84O1さん
      えっ!?
      韓国文学…
      なおなおさんにお譲りしましたw


      冗談です!
      しますよ!はっくつ!
      かんこくはっくつ!はっくつ!
      えっ!?
      韓国文学…
      なおなおさんにお譲りしましたw


      冗談です!
      しますよ!はっくつ!
      かんこくはっくつ!はっくつ!
      2023/09/02
    • ひまわりめろんさん
      はっくつ!はっくつ!
      はっくつ!はっくつ!
      2023/09/02
  • いやぁ~、面白かった!

    久永実木彦さんって知ってますか?
    また面白い作家さんを見つけてしまいました

    いかにも私が久永さんを見つけたように書いてますが、ほん3さんから教えて頂きましたw
    ほん3さん、ありがとうございますm(_ _)m


    本作は四編が収録されていて
    「夜の安らぎ」と「『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』を観ながら」の二編が特に気に入ったかな

    「夜の安らぎ」
    吸血鬼と吸血鬼になりたい孤独な女子高生の物語
    本来なら敵対関係の吸血鬼と吸血鬼狩りの友情も面白い作品となっている

    「『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』を観ながら」
    伝説的な“Z級”映画の上映会中、街にゾンビが出現
    このゾンビたちがマジ恐ぇ〜
    走るんですよ!
    オリンピックの短距離選手のようにすさまじい速さで!
    それが追いかけてくるんです…
    さらに、口から体液に高圧力をかけて弾丸のように発射してくるんです!
    殺傷&感染能力抜群です!
    最強のゾンビたちマジ恐ぇ〜

    殺してしまった父を、怪獣が出現した東京に棄てに行く『わたしたちの怪獣』や時間移動者の絶望を描いた『ぴぴぴ・ぴっぴぴ』も十分楽しめる作品です

    久永実木彦さん、今後が気になる楽しみな作家さんです!

    • mihiroさん
      1Qさ〜ん、ふたたびです٩(๑˃̵ᴗ˂̵๑)۶ °
      え〜失礼ながら聞いたこともない作家さんです(o_o)
      ⭐︎5だし、何だか面白そう〜〜!
      ...
      1Qさ〜ん、ふたたびです٩(๑˃̵ᴗ˂̵๑)۶ °
      え〜失礼ながら聞いたこともない作家さんです(o_o)
      ⭐︎5だし、何だか面白そう〜〜!
      みなさんどうやって見つけてくるんだ\♡︎/
      これはチェックしなきゃですね(๑•̀ㅂ•́)و✧
      2023/09/01
    • 1Q84O1さん
      mihiroさーん、ふたたびw
      私も知らなかった作家さんです^^;
      本作が二作目なのかな…
      私は気に入りましたよ〜( ̄ー ̄)ニヤリ
      mihi...
      mihiroさーん、ふたたびw
      私も知らなかった作家さんです^^;
      本作が二作目なのかな…
      私は気に入りましたよ〜( ̄ー ̄)ニヤリ
      mihiroさんも良かったらどうぞ読んでみてください♪
      2023/09/01
    • 1Q84O1さん
      ほん3さん、読みましたよ(^^)v
      無茶苦茶気に入りました!
      また、面白い本紹介してくださいね♪
      ほん3さん、読みましたよ(^^)v
      無茶苦茶気に入りました!
      また、面白い本紹介してくださいね♪
      2023/09/02
  • 怪獣・時間改変・吸血鬼・ゾンビ 短編4話
    SFとしてのテイストは良いが、青年期の痛い感じを前面に打ち出しているようでそこは今ひとつ 
    若者ウケは良いかもね

  • 社会の基盤から漏れてしまった人たちの叫びを描くメッセージ色の濃い中短編集
    思うようにならない生を重厚でシュールなファンタジーにのせて描いた作品


    ラストの映画の話はちょっと怖いエンドでした…

    前作に続くコアなSFを勝手に想像していたため、やや肩透かしを喰らいました

  • 23/08/06読了
    不思議な味わいのSF。

  • どっかで誰かが絶賛してた気がして
    勢いで買った本
    そして読むの忘れてた本

    今、読み終わったところなんだけど
    短編4つあったのに
    2つしか思い出さなかった
    タイトル見返したら思い出したけど
    個人的には
    記憶に残らない本だなぁという感想
    最後の映画の話はおもしろかった
    でもたぶん覚えてられない
    己の記憶力が呪わしいが
    好みじゃなかったから仕方ないよな!
    と諦めよう
    星はフツーの3つ

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