ただし、無音に限り (ミステリ・フロンティア)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488020033

作品紹介・あらすじ

推理小説の名探偵に憧れて探偵事務所を開いたけれど、依頼は大抵浮気調査。そんな〈天野春近探偵事務所〉にも、たまには友人の弁護士の仲介で、如何にも探偵らしい調査依頼が持ち込まれることもある。ただしその依頼は概ね、春近の特異な能力を必要とする類のものだ。通常の探偵と違って、春近は幸か不幸か、霊の記憶を読み取る能力を持っていた。能力の不自由さに自分で振り回されつつも、心優しい探偵は少しずつ事件の真相に迫ってゆく。『記憶屋』で一躍注目を浴びた新鋭が贈る書き下ろしミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 霊を見ることができ、その場所で眠ると霊自身の目線になれるという能力を持った探偵の天野春近が主人公の中編2編、結構面白い。主人公の天野にはこの特殊な能力以外は凄いひらめきという程のものはなく、こつこつと調査を進める。ちょっと惹きつけられるのが最初の1篇で、殺人を疑われる男子中学生の楓だ。クールな感じがいいし、天野にアドバイスまでするほど結構頭脳が明晰だ。後の中編でも出てきて、なかなかいいポジションにいる。天野の思考内容をじっくり描写しているのも、特殊能力だけが突出しなくていい感じだ。どちらの中編にも最後は少し苦みがあるのも悪くない。

  • 霊が見える探偵ってちょっとズルい気はしたけど、キレッキレってわけじゃなく、せっかくの能力を活かしきれてないところが魅力なのかも。楓くんとの関係性が割と好き。

  • 探偵、天野春近。
    流行らない探偵事務所は浮気調査と、友人の弁護士から紹介された仕事でなんとか成り立っていた。
    今回、朽木弁護士が持ってきた仕事は、春近の特殊な能力を見込んでのものだった。
    春近には霊が見たものを視ることができる。

    中学生の孫と暮らす、老人の死。
    彼の莫大な遺産の大半は、孫に遺された。
    病死として処理された彼の死は事件なのか?

    2年前に失踪した運送会社の社長。
    借金で会社存続も危うかった彼。
    彼の事務所にむかった春近は、そこで佇む霊を視る。

    霊が伝える、なんてもっと陰惨なお話かと思ったら、主人公が不器用なのもあり、どこかほっこりとした気持ちが残った。
    楓と春近の関係が微笑ましい。
    いつか楓が推理してしまうんじゃないか、なんて。

  • 大富豪の老人の相続。孫の取り分に疑問を持った娘は、死の真実を知る為、死者の記憶を読み取る探偵へ依頼する。

  • 霊の記憶が見える探偵、天野春近。見えた記憶を整理し推理していく意外と地道で、切れ味するどわけでもない。そんな彼は知り合った中学生の楓くんの力を借りて事件の真相に近づいていく。楓と天野の関係性がとても温かい。年の離れたバディ。二人の友情が長く続くといいな。

  • 疑いを差し挟む余地のない、資産家の老人の死。しかし彼の娘は、財産の大部分を相続する中学生の孫に疑惑の目を向けた。あれは本当に自然死だったのか?すでに遺体は荼毘に付され検視は不可能。疑惑を解決するための困難極まりない調査は弁護士を介して特殊能力を持つ私立探偵に持ち込まれた。その探偵が…俺だ。霊の記憶を読み取ることができる探偵、天野春近の調査と推理を描く中編二編収録。

    現実の探偵としてはそこそこ、ミステリー小説の探偵としては非常にポンコツな主人公だけど未熟だからこその真摯さ、切なさがある、ような。本人にすらあやふやな能力なのでわりとふんわりした話なんだけど、シリーズが進むにつれ成長してくのかな。

  • 霊の姿が視える、反則的な能力を持った探偵という一見面白そうな題材の作品。
    しかしだからというか、本格的要素は皆無。
    探偵単体の能力値としてはむしろ落第に近いので終始グダグダ感がつきまとう。
    それはイコール作者の実力不足なので、シリーズ化の伸び代も皆無。

  •  誰もが納得のいく死を迎えた資産家老人の死。だが、彼の娘は財産分与の大部分を相続する中学生の甥に疑いの目を向ける。すでに火葬済みの状態から死因を調べて欲しい。無理難題の依頼を受ける私立探偵の天野はその調査に乗り出す事に…


     霊の記憶視える探偵の天野は、その能力で死の真相を探るけれど、それは必ずしも意図した物ではなく、中編2本共に少しモヤッとした気分でした。特に、資産家老人の方は本人は良くても、知らずに加担させられた方は知らない方が幸せって感じで後味良くなかったです。
     でも、ストーリー的には面白く、また続編が読みたいと思います。

  • ダルい

  • 図書館にて。
    「王様のブランチ」の本のコーナーで新刊が紹介されていて、面白そうだったのでまずは既刊を借りてみた。
    今まで知らない作家さん。やはり本屋が近くにないとこういう情報を得られない。
    でも、なんだろう…あまり面白くなかった。
    主人公のキャラクターがいまいちつかみどころがない。一話目の楓くんはわかりやすく好ましい。
    展開がゆっくり?一話目でいえば、老人の行動の動機がざっくりしかわからないので、ながなが考察した割にはすっきりしない。二話目も登場人物がごちゃごちゃしてわかりづらかった。
    総じて、想像や推測ばかり、例え事件が解決しても着地してない感じ。むむー残念。

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著者プロフィール

1980年イギリス・ロンドン生まれ。2013年、第14回講談社BOX新人賞Powersを受賞した『霊感検定』でデビュー。15年、第22回日本ホラー小説大賞読者賞を受賞した『記憶屋』は、シリーズ累計35万部を超えるベストセラーとなる。その他の著作に『SHELTER/CAGE』『黒野葉月は鳥籠で眠らない』『301号室の聖者』『世界の終わりと始まりの不完全な処遇』『ただし、無音に限り』『響野怪談』がある。

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