ロートケプシェン、こっちにおいで

著者 :
  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488024864

作品紹介・あらすじ

やっと酉乃の本心を受け止める事ができたと思ったクリスマスのあの日。勢いと雰囲気の力を借りて告白した僕は、なんと彼女の返事はおろか、連絡先さえ聞き忘れたまま冬休みに突入してしまった。もしかして迷惑だった?悶々と過ごす僕に、新年早々織田さんたちからのカラオケの誘いがかかる。そこで起こったちょっとした事件の謎を解くべく、僕は『サンドリヨン』へと向かうが…。バレンタインチョコをめぐる事件をはじめ、学園内外で巻き起こる謎をセンシティブに描く、マジシャン・酉乃初の事件簿、第二幕。

感想・レビュー・書評

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  • 2021/03/07読了
    #相沢沙呼作品

    酉乃初の学園ミステリ第2弾。
    終盤までかなりこんがらがって
    手戻りしまくったけど面白かった。
    相変わらずヒロインがキュート。
    須川と酉乃の焦ったい関係も良い。

    9年も続編出てないようなので
    これで完結なのだろうか。
    ぜひ続きが読みたい。

  • なんとまあ!
    前作『午前零時のサンドリヨン』で、、コツコツ貯めたバイト料をかき集め
    酉乃さんが欲しがっていたトランプのチャームのついたペンダントを
    ここぞ!というタイミングで見事プレゼントした須川くんが。。。

    ポチというニックネームも納得の超草食系男子→酉乃さんだけの魔法使い
    →王子様☆ という、出世魚も真っ青の、飛び級のような進化を遂げ
    2作目のこの本では、微笑ましいカップルぶりを見せてくれるのだろうと思ったら

    なんとなんと、まだ彼女のメアドも電話番号もゲットしていないなんて!
    須川くん。。。きみには、草食動物の国に君臨する、草食王子という
    輝かしくも切ない称号を、謹んで贈呈しよう!

    というわけで、相変わらず奥ゆかしすぎるアプローチが歯痒い須川くんですが
    忠実な柴わんこの如くつきまとい、世話を焼く彼のおかげで
    「近寄らないでオーラ」がずいぶん薄まってきた酉乃さん。
    学校で言葉を交わせる人もぽつぽつ増え始め、
    演劇部のお別れ会という、身内の小さなイベントの余興なのに
    どんなマジックを披露しようかと真剣に悩む姿が可愛らしい♪

    午前零時の鐘が鳴っても解けない魔法で、誰かの力になれるような自分になりたいと
    前作ではもがき続けていた酉乃さんが、今回は、
    学校に巣食ういじめという闇、追い込まれて自分の中の暗い感情という闇に
    呑み込まれている現代の赤ずきんたちを救おうと、須川くんと一緒に奮闘します。

    酉乃(とりの)とか、八反丸芹華(はったんまるせりか)とか、柿木園とか
    見たこともない複雑な名前のキャラクターが乱舞する上に
    ファーストネームで呼んだり、ニックネームで呼んだり、
    もう誰が誰なんだかさっぱり掴めない状況で
    辻村深月さんばりの叙述トリックが行使されるので、
    乏しい脳みそじゃついていけなくて、煙に巻かれたように読み終えたのが
    なんだかちょっぴり残念なような。

    ミステリという枠組みに捉われなければ、3つめのおはなしの
    『恋のおまじないのチンク・ア・チンク』などは特に、微笑ましい恋物語として
    ワクワクドキドキと楽しめます。

    飛び交うカードやリボン、ティーセットに混じって
    幾粒ものチロルチョコが宙を舞う表紙が、可愛らしくて素敵です♪

  • 短編では日常の小さな謎解き。連作短編では叙述トリックのフーダニット。手品ネタも併せて3度楽しめる。
    が、青春!もどかしい恋愛!大人になればなんてことないことで悩む心情が手に取るように分かる。が、読むのにちょっと疲れるし、驚きも小さい。

  • 高校が舞台のミステリ。
    女子高校生マジシャン・酉乃初が謎を解く。
    「午前零時のサンドリヨン」に続く2作目。
    このシリーズは表紙イラストが可愛くていいですね。

    1作目の終わり、クリスマスに酉乃に告白したはずが、それだけだった須川くん。
    返事ももらわず、連絡先も聞かず、会うこともできなかったヘタレぶり。
    (このへんがポチなのか?)
    冬休みを悶々として過ごす羽目に。
    酉乃がマジシャンとして出ている店「サンドリヨン」は7日まで休業だったのだ。

    新年に数人でカラオケに行ったときの謎解きから、始まります。
    一方、ほかのクラスで起きているいじめの噂が少しずつ挿入され、どう絡んでくるのか‥?
    クラスの中心になっている女子がちょっと目立った子を無視しようと言い出す。
    それをかばった生徒がハブされることに。
    文芸部の雑誌にペンネームで小説が発表されていたのが、作者はクラスメートだと気づかれる。
    ネットでプロフをやっていた彼女は、プロフが炎上。
    悪口を言う話し声を間近に聞いて、黒板に「赤ずきんは狼に食べられた」という言葉を書き殴って飛び出す騒ぎになった。
    その後、不登校になってしまったらしい。

    「サンドリヨン」にハンサムな桐生純平というマジシャンが登場。
    1年前までバイトしていたという彼は、東大生。
    桐生と笑顔で話す酉乃を見た須川くんは、うちのめされる。
    バレンタインのチョコは桐生のものか?

    アシェンプデルという素敵なケーキ屋さんに、酉乃と行くことにこぎつけた須川くん。
    そこにはロートケプシェンというケーキがあった。
    赤頭巾という意味の‥
    バレンタイン当日、八反丸芹華からチョコを受け取ってしまう須川くん。
    これ実は一種の嫌がらせなのだが‥
    しかも、酉乃にそこを目撃されてしまった。
    なかなか進まないもどかしい初恋模様がかわいらしい。

    みんなが貰ったチョコレートが、教卓の上に集められていたという事件も起きる。
    誰が何のために?

    以前からのいじめのエピソードが底流として流れているので、いやな雰囲気がちらつき、どうなることかとはらはら。
    いじめを傍観した後悔や、いじめの原因となるねたみや怯え、行き場がなくなって追い詰められる気持ち。
    でも‥
    誰もほんとうに悪い人間というわけではないという~ほっとするような展開に。
    マジックと絡めてあるせいか、目くらましにあったような感覚が残るけど。
    2011年11月発行。

  • 学生の頃には特に多いであろう友達グループ内の格差やクラス内でのカースト制度。
    正しいと思ったことを言葉にしただけで時には諸刃の剣となりグループから避けられたりする。

    マジックや学校内で起きたバレンタインでの事件など些細なことが0にも100にもなるのだなと思いました。

  • 前作でそんなに乗れなかったんだけど、続編を読んだらもしかして?と参入し撃沈。何がいけないわけではないんだけど、どうも波長が合わなかった。断章として語られるモノローグが何らかのひっかけなのは早くから予想できたものの、どうも登場人物がちゃんと覚えられず、最後の種明かしのところで、それ誰だっけ、あああの人、みたいな感じでパラパラ前を振り返る羽目になってしまった。逆に、思わせぶりに重要そうに登場したものの回収されない登場人物もたくさんいて、あの人なんだったんだろう?というのもあった。構成としては前作のほうが無駄がなかったように思う。
    ところでタイトルの「ロートケプシェン」はドイツ語で「赤頭巾ちゃん」のこと。この著者で赤頭巾ちゃんといえば前作の選評に出てきた「赤頭巾ちゃん気をつけて」が思い出されるけど、それなら自分から寄せていってやろうと思ったりしたのではないかと邪推してしまうなあ。

  • やられたー(´・ω・`)
    またミスリードに引っかかってしまったぁー(笑)。
    パターン的には本多孝好氏の『チェーン・ポイズン』と全く同じ。
    最終章に入った途端、え?なんでなんで??てな具合にパニックに陥れ、
    するするとリボンを解くかのように真相を一気に明かす手際の鮮やかさったらもう。
    もう1回最初に戻って、仕掛けの決定的な一文に気付いたときには
    膝カックン喰らったみたいに一気に脱力しましたよ、ええ。
    例えるなら、北島マヤを嵌めて芸能界を追放した乙部のりえさんが
    『吸血鬼カーミラ』で姫川亜弓さんに主役を取って代わられたのに気づいて
    眼が真っ白になって崩れ落ちたときのような(解り難い/笑)。
    途中で挟み込まれる小さなエピソードもあったんだけど
    しかも最終的な謎解きにも関係する重要なファクターなんだけど
    最後のやられた感が大きすぎて一気に霞んじゃったよ。
    何はともあれ、この話の肝はどの名前が誰を指しているか、に尽きる。
    あーもうホント悔しいったら(笑)。

    今度はドイツ語です。『ロートケプシェン』とは赤ずきんのことらしい。
    前作はほぼ須川くん視点だったけど、今回はふたりの視点で語られていく。
    一方は須川くんなのだが、もう一方が誰かってことも今回のポイントだったりする。
    ↑ここにまんまと引っ掛かったわけなんだけど。
    今回も酉乃さんの洞察力はハンパない。
    本編中では須川くんの姉ちゃんが杉下右京張りの観察力と評されているが
    あたしの中では杉下右京張りなのは酉乃さんであって
    姉ちゃんの洞察力は明後日の方向を向いていて攪乱してるように見えた。
    作為的に明後日方向に誘導しようとしてたのは八反丸さん。
    チョコレートコーティングのカレールウにも恐れ入ったが
    さり気なく「須川君にはジョロキア仕込んだの用意してたのに」って
    おいおいおいそっちの方がキツイだろ、という爆弾発言。
    愛情と執着の微妙なラインに立っていて非常に危うい。
    横槍要員かと思われた桐生さんがなんだかいいひとだったのは逆の驚き。

    一方でいじめの描写は相変わらず読んでて痛い。
    言葉の武器の切っ先は鋭いまんま。
    『死んで?』とそれに類する言葉だけは思っても絶対言っちゃダメだ。

    須川くんと酉乃さんも進展したんだか何なんだか。
    須川くんの中ではだいぶ前進したように見える一方で
    桐生さんの登場や八反丸さんの言葉に振り回され過ぎだし。
    おっかしいなぁ。前作で有望株と判断したあたしの目は節穴だったか。
    いつまで疑心暗鬼の渦に飲み込まれてグルグル回ってるつもりなんだ(爆)。
    最後の最後で少しは前に進めたのかな。

    それにしても『サンドリヨン』といい『アシェンプデル』といい
    なんかよさげな雰囲気のお店だなぁ。
    特に『アシェンプデル』のケーキは名前を見てるだけで美味しそうだ。
    もし実在するなら探しに行っちゃうぞ大宮まで(爆)。

    前作で釈然としなかったあの疑問は深読みしすぎだったみたい(´・ω・`)

  • 検索、今回も3度目の正直ヒット。
    うう、はやくエラーなおしておくれっ。

    で、いつものことながら今回もネタばれ全開感想。


    織田さん!!?
    いやー全く気がついてませんでした。
    彼女の一人称はてっきり学校来なくなった子の心情だとばかり思ってたかんなあ。
    酉乃ちゃんと須川くんの話と彼女の話がどこで繋がってくるんだろう、と
    ずっと思いながら読んでたのだが最初っから繋がってたとは。
    ラストの歩道橋シーンであれれって感じだった。
    前作よりおもしろかった。こうひりひりする感じが、奥からどんどん溢れてくるような言葉で語られてて、表現が豊か、とゆーか。好きな感じ。
    狼かあ。
    そうだね、好きなものを好き。イヤなものを嫌だと言えない空気ってある。
    空気を読む。それが必要な時もあるけど、過剰になると
    自分の中の本当と表が解離しすぎて苦しくなるんだろうなあ。
    それでも1人にはなりたくない、寂しいのは、イヤだ。
    そーゆー気持ちはすごくよくわかる。
    でも、無理して皆でいるより、1人でいる方が楽なこともあって・・・・。
    本当に人間ってのは不思議だ。学校ってのはある種の閉鎖空間だから、
    その不思議さがぎゅっと圧縮されてしまうんだろうなあ。
    そんな中、誰もが自分の居場所を求めてる。
    その場所を確かにする方法が誰かを攻撃することだったり。
    客観的に考えてどう考えてもそれは正しくないし、卑怯なことだ。
    でもそうだけど、この作品の中では、その加害者側の違う人に対する
    優しさや、後悔も描かれていて、誰が悪い、という一刀両断的な結論じゃないとこが、彼らの複雑な感情を表してる感じでいいなあっと思った。
    いろいろもやもやするとこもあるけど、それも含んで彼らなんだろうなあっと。
    んで、今回は酉乃ちゃんがかなりかわいく、みんなに楽しげにマジックみせてるとことか、いいなあっと思う。
    にしても須川くんは相変わらず掴みどころがない奴だ。
    まあ、ちょっとづつイメージはできてきたんだが、あまりサエナイ奴、という
    設定?っぽいのに、結構顔は広いし、どうもスペックが高そう。自分の中ではぐるぐる悩みが多いみたいだが。
    そして八反丸さんもイマイチつかみきれてないななあ。
    そーいやこの人酉乃ちゃんと過去なんかあったよなー。いかん、読んだのに殆ど覚えてないぞ。
    でも須川くんを好き、なのか??
    うーん、でも酉乃ちゃんのことも、大切、と。そーいや仲良かったけど断絶した、とゆー感じだったかなあ?
    須川くんに迫るとこはかなりシリアス。まあ多少の嫉妬が混ざってるとしても。
    綺麗な感情だけでは、いろいろまわらないから、ね。悲しいことに。
    でもそうだな、まるで魔法のように、手を差し伸べることができたら、と
    そうは思うな。
    ぐるぐる悩み多き須川くんだが、(妄想も多い?)酉乃ちゃんの気持ちは
    どう考えても確実に彼に向ってるように思えるんだがなー。
    わたわたな彼の様子と、苦しい織田さんの心情が代わる代わるで、
    重すぎず、軽すぎず、とてもテンポよく読めた。
    これは続きも期待。

    あ、でも織田さんが失恋したから、の謎ときは微妙。
    テーブルの下で手握ってたら下からみなくても気づくんじゃないか?

  • 作者って男性だったんですね……それが一番の陳述トリックだったわ……。

    さて。天才女子高生マジシャンが事件を解決していく物語の第二弾を読了して、未だ混乱中。
    レビューよりは整理という意味で記録を残したいと思います。

    整理するために一番のポイントである名前を書かせてもらうと。
    ①織田燈(オリタアカリ)…須川や酉野と同じクラスの女の子。あかずきんこ本人。燈という感じからトモと呼ばれることもある。
    ②井上友子(イノウエユウコ)…C組の女の子。織田さんの小説を書いた本人と間違われ、不登校になる。名前から彼女をトモと呼ぶ子が多い。織田さんからはユカと呼ばれる。

    上記から、ふたりとも本名の読み方は違うけれど「トモ」と呼ばれていたことになる。

    1。本編においてハブられていたのはいったい誰?
    P92の三好から、井上がハブられていたと書いていたので、ハブられていたのは井上さん。
    だけど、Red Blackの内容を読むかぎり、ユカを庇ったトモがハブられていた→織田さんもハブられていた?
    一番混乱してるのは、柿木園さんが示していたユカが誰かってこと。井上さんをユカと呼ぶのは織田さんだけだから、違うユカ、なのかな??

    ってことで、まだまだ混乱しています。

    この他、気になる箇所が
    1。須川君の写真集。
      あんなに騒いでいたのに、どこかにいったままエピソードが放り投げられたのはとても残念。
    2。酉野のメアド&電話番号をいつのまにゲットしたの。
      たぶん、恋のおまじないのチンクアチンクとスペルバウンドに気をつけて。の間でゲットしたんだろうけれど……これもあれだけ騒いでたんだから描写してほしかった。


    ということで、お話としてはウーンになるところが多かったこの巻。
    初と八反丸さんが好きなのと、青春っぽい甘酸っぱさがあるのと、須川君の太ももフェチ加減での3点。ってところかなー。

  • 高校生マジシャン酉乃初と、彼女に恋する須川君が友人たちにまつわる事件を解決していくマジックミステリーです。
    1巻が『午前零時のサンドリヨン』で、これは2巻にあたります。

    見事に騙されました!まるで初が繰り出す魔法のようでした。
    結末を知った上でもう一回読み直しても面白いかも…。

    この本は、10代の繊細で不安な心がいっぱいつまった作品です。
    共感する部分がたくさんあって、「うんうん、そうだよね」って頷きながら読んでました。
    タイトルの「ロートケプシェン」は赤ずきんちゃんのことで、今回の物語もそれにまつわるものです。
    甘酸っぱく、切なく、でも元気の出る本です。
    高校生活思い出します。

    表紙も装丁もすごく可愛いです!
    この先も追っていきたいシリーズです。

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著者プロフィール

1983年埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。繊細な筆致で、登場人物たちの心情を描き、ミステリ、青春小説、ライトノベルなど、ジャンルをまたいだ活躍を見せている。『小説の神様』(講談社タイガ)は、読書家たちの心を震わせる青春小説として絶大な支持を受け、実写映画化された。本作で第20回本格ミステリ大賞受賞、「このミステリーがすごい!」2020年版国内編第1位、「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング第1位、「2019年ベストブック」(Apple Books)2019ベストミステリー、2019年「SRの会ミステリーベスト10」第1位、の5冠を獲得。さらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補となった。本作の続編となる『invert 城塚翡翠倒叙集』(講談社)も発売中。

「2022年 『medium 霊媒探偵城塚翡翠(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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