うさぎ幻化行 (創元クライム・クラブ)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 257
感想 : 66
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488025342

感想・レビュー・書評

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  • 北森鴻さんの遺作。

    短編が繋がっている。
    音響技師だった義兄が航空事故で死亡した。
    彼は音のメッセージを残していた。
    そのメッセージは解くべく、主人公は奔走する。

    最後のほうはごちゃごちゃしているのと、展開がはっきりしないので、消化不良な感じ。

  • 自分に遺された音の謎を追いながら、行く先々で隠された犯罪を見つけ、でも暴くでもなく謎の答えを探し続ける。
    最後はふわんと突き放されたように終わってしまうけど、それもこの作者とのお別れだと思えば納得するしかない。
    合掌。

  • 北森さんの遺作、もう見れないと思うと…

    この作品は、幻想系ですがラストが微妙かも。

  • 2010.04.18 朝日新聞に紹介されました。

  • 著者の作品がもう増えないと思うと残念です。

  • 北森さんの作品がもう読めないなんて‥
    しばらく読まずに取っておこうかとも思ったけど、そんなことしても意味ないんで読みました
    こっ、これが遺作になっちゃうのかぁ‥
    なんか色々悲しいなぁ

  • はからずも遺作となってしまった本作。今回は「音」にまつわる連作ミステリです。登場する数々の音風景、聴いてみたいです。
    個々の短編としても良いけれど、全編を貫く謎の真相には驚愕。まさかそういうこととは予想もしませんでした。この結末には、かなりぞくりとさせられてしまいましたよ。
    短編としてのお気に入りは、「祭りの準備」。これもなかなかに怖い話ではありますが。心にやましいところのある人には、実に効くでしょうね。そしてその裏にあんなことが隠されていただなんて。

  • 旅客機の墜落事故で亡くなった義兄・圭一。優秀な音響技術者の彼は、「うさぎ」に宛てて“音のメッセージ”を遺していた。圭一からウサギと呼ばれていた義妹のりつ子は、そのメッセージに何か謎が隠されていると感じ取り、圭一が収録したと思われる音源を探し求める旅に出るのだが…。「音の風景」という発想は初めて知った。もちろん環境庁が選定した「日本の音風景100選」というものがあるというのも初めてだ。音源を追う「うさぎ」の旅はヨコハマに始まり、『対の琴声』で中部地方の水琴窟、『祭りの準備』で祭りのお囃し、『貴婦人便り』では汽笛の音、『同行二人』では大窪寺・満濃池・御厨人窟の3つの音、『夜行にて』では岩手県水沢駅の風鈴の音色、『風の来た道』では富山県八尾町の風の盆、『雪迷路』では札幌時計台の鐘の音…様々なこれらの音を巡るうさぎの旅を活字で追いながら、自分もいつしかヘッドフォンであの音を聴きながら「うさぎ」になって圭一の足跡を追っているような気がした。今年亡くなった作者の遺作となる最後の贈り物は切なく旅情豊かな描写で感傷的な気持ちになる作品だ。【以下ネタバレ含むため未読の方はご注意】「うさぎ」に宛てた音のメッセージを受け取ったのは、圭一にウサギと呼ばれていた義妹・りつ子だったが、やがてもう一人の「うさぎ」がいることを知る。そして一方でもう一人うさぎ・成瀬綾子もうさぎ=りつ子の存在を感じていた。圭一の生前の振る舞いや思惑がどうにも分かりにくく(義妹への思慕がありつつ恋人と付き合うところ)、その分かりにくい態度が招いた悲劇(綾子に犯罪の共犯者に仕立て上げられる)を生んだんではないかと思うと、それまで謎めいた音のメッセージを残す魅力的な存在だったのがなんとなくイメージダウン。作者が読者に仕掛けた罠=りつ子のある行為=にはラストの記述まで気づけずショックだった。というか冒頭で突然の兄の死にショックを受けてりつ子が一時的な記憶障害に陥っていた記述を不覚にも読み落としていたので、気付けないのも当然なのだが。そうして読み返してみると冒頭の記述のほかにも『祭りの準備』のラストでほのめかすような発言があったり、伏線は気付かぬうちに張られていて、巧いというほかはない。彼の希望を叶えた…でもそれだけじゃない…と、もう一人のうさぎに会いに行く場面でピリオドを打つ余韻は、不安感を掻き立てる終わり方。それまで凛とした女性として描かれていたりつ子の、こころの制御装置が壊れてしまった末を想像するとやり切れなさが残る。圭一の死を境にすでに人としての理性は壊れていたのだが。亡くなった愛する人への想いを抱え、寂寥感に包まれながら旅をした結末は哀しいが、静かで美しい情景には心動かされた。

  • 著者の遺作ではあるが、はっきり言って、「う~む」という感じ。
    惜しい人だけに、最後がそれか。。。

    期待していただけに、複数の意味で残念。

  • これが遺作だなんて…。めそめそ。
    録音された風景の音と、ふたりの「うさぎ」を巡る物語。この謎にきりきりする感じがたまりません。ラストまで気が抜けない。

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著者プロフィール

1961年山口県生まれ。駒澤大学文学部歴史学科卒業。’95 年『狂乱廿四孝』で第6回鮎川 哲也賞を受賞しデビュー。’99 年『花の下にて春死なむ』(本書)で第 52 回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門を受賞した。他の著書に、本書と『花の下にて春死なむ』『桜宵』『螢坂』の〈香菜里屋〉シリーズ、骨董を舞台にした〈旗師・冬狐堂〉シリーズ 、民俗学をテーマとした〈蓮丈那智フィールドファイル〉シリーズなど多数。2010 年 1月逝去。

「2021年 『香菜里屋を知っていますか 香菜里屋シリーズ4〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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