- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488025687
作品紹介・あらすじ
私だけのわんこが欲しかった。世界でただ一匹の、私のことが一番好きなわんこと出会いたかった――。大学生の玲奈は、趣味も、特技も、親友さえも、何ひとつ持っていないことに悩んでいた。そんな折、仔犬を飼い始めたことで憂鬱な日常が一変する。ゼロと名付けた仔犬を溺愛するあまり、ゼロをモデルにした短編を小説投稿サイトにアップしたところ、読者から感想コメントが届く。玲奈はその読者とメールでやり取りするようになるが、同じ頃、彼女の周りに不審人物が現れるようになり……。短大生の駒子が童話集『ななつのこ』と出会い、その作家との手紙のやり取りから始まった、謎に彩られた日々。作家と読者の繋がりから生まれた物語は、愛らしくも頼もしい犬が加わることで新たなステージを迎える。『ななつのこ』から始まる〈駒子〉シリーズ、二十年ぶりの第四作!
感想・レビュー・書評
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子供の頃、犬と遊んだ思い出がよみがえってくる… 人間と犬の間に生まれるものは #ONE #加納朋子
■きっと読みたくなるレビュー
素敵な本でした。装画のとおり犬をテーマにしており、家族との関わり合いの中で、関わる人々が成長していく物語です。
加納先生がこよなく動物を愛してらしゃるのが分かる作品ですね。チャーミングな物語でありながら、先生の想いがしっかりと伝わってきます。
ワンちゃん、猫ちゃんは愛玩動物と言われますが、実際飼って一緒に暮らしてみるともはや我が子。私も猫二匹を飼ってますが、我が儘いっぱいで超キュートなんです。もちろん人間とは別種類の動物なんですが、ちゃんとお互いの心が通い合う家族なんですよね。
本作ではそんな彼らと一緒に暮らすことで、我々人間が学び、成長していく。特に前編のエピソードは少年の勇気と決意は、彼にとって一生のこる思い出になるでしょうね。
ただ成長させてくれるのは子どもたちだけでなく、大人であっても同じ。関わり合いの中、当たり前と思っていたことに疑問をもって、自分の責任で考えてみる。年齢を重ねても、胸を張って意見が言えるような人間になりたいですね。
特に終盤は加納先生の伝えたいことが溢れ出ていて、心が洗われた気がしました。いい作品ですね、ありがとうございました。
■ぜっさん推しポイント
本作で一番伝わってくる言葉は「勇気」。
人間、長い間を暮らしていると、つい手軽で楽な方法を選んでしまう。過去の失敗、同調圧力、損をしない選択など、自分もいくつも思い当たります。ただ人間はひとりで生きているのではない。家族や友人たちとならきっと乗り越えていける。大切なことを教えてもらえた作品でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『ななつのこ』から始まる駒子シリーズ、20年ぶりの最新作ということで、少し前にシリーズ3作を読んでいたのだが、今作は続きというよりも新たな目線で楽しめる物語だった。
ななつのこでは、駒子が作家との手紙のやりとりで始まっていたが、今回は時代の変化もありネットの小説サイトから話は始まり、大学生の玲奈が可愛がるゼロという愛犬も登場する。
ゼロの編では、ひたすら玲奈を守ろうとするゼロや家族の愛情を感じたが、ゼロの目線はそれだけではなく兄貴分である先輩(ワン)をしっかりと見て、彼と会話しているところに尊敬と信頼を感じた。
このワンは、ただものではないのだなと思わせた。
1(ONE)前編では、玲奈の兄を中心に引越し先の隣りで飼っていたシロとの繋がりから黒い犬を知り、やがてワンといっしょに生活することになるまで。
ほんとうに犬が欲しかったという気持ちが、とても伝わってきた。
1(ONE)中編は、ワンが正式に家族に加わる少し前にはやての妹である玲奈が生まれたことで、母親目線で玲奈とワンとの生活を描いているのだが、この母親がけっこう凄くて、ワンの両親である黒い犬とシロを捨てた別荘の持ち主を追い払うべく、よからぬことを画策するという…。
すべてはこれ以上に不幸な犬を増やさないためだろうけど突拍子もないことを思いついたものだと、驚いてしまった。
1(ONE)後編は、隣りの桜の木の下事件や玲奈が危機一髪でワンのおかげで助かった網戸事件など。
うちの犬は世界一って言うのもわかる。
そっか「一」とは、無限大の可能性を秘めた数字なのね。
エピローグで、ワンがまたしても弱くて小さな玲奈を守るために命を張って泥棒を撃退したことに涙してしまう。
ワンが一番!ワンはずっと一緒!が伝わってくる優しい物語だった。
加納朋子さんの作品は、何作か読んではいるけれどかなり以前だったりとかで、忘れているのもあるのでまた改めて再読し登録していこうと思う。
何にしろ、シリーズ化しているのはついつい忘れがちになったり、飛ばしてしまいがちなので要注意なのである。
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家族を守るんだという使命感にあふれたワン。
やっぱり犬はいいなぁ。
ワンに無償の愛を注ぐはやて君の素直さが尊い。 -
『駒子シリーズ』が20年ぶりに出たと聞き、嬉しかったです。図書館で見つけ、早速借りて読んでみました。でも、『駒子シリーズ』を読んだのはだいぶ前なので、正直内容をあまり覚えてなくて残念。
『スペース』は何となく覚えてるんだけど。そんな状態で読んでも大丈夫なのかな?と思ったけど、前書きで、初めて読む方でも問題ない、みたいな事が書いてあったのでよかったです。
読み始めて、すぐに物語の世界へ引き込まれた。とにかく優しい話だった。犬達の優しさ、家族の優しさが心に染みる。読み終え、犬達の思いに感動してしまい泣いてしまった。泣く箇所は最後だけではなく、色々と散りばめられてる。忠犬という言葉があるけど、忠犬を超えてると思う。"ワン"の思いは"ゼロ"に受け継がれ、飼い主である家族を見守っていくんだなと思うとまた泣けてくる。
優しいだけでなく、事件が起きてハラハラしたり、人間の酷さが出てきてイライラもする。そういう場面もあるから飽きない。私はいい話ばかりだと飽きてしまうので、丁度いいと思う。
読んでると所々に気になるワードが出てきました。
『1(ONE)前編』を読み終えた時、「あれ?これってもしかして?」と思い、我慢できずに途中でネットで『駒子シリーズ』について調べてしまいました。状況が分かると「やっぱりそうなんだ」と感動してしまいました。こういう仕掛けは加納朋子さんは本当に上手だと思います。20年ぶりに『駒子シリーズ』が刊行されたのはこの為なのかな?と勘繰ってしまいました。 -
紙魚の手帖手帖vol.01(2021年10月)ゼロ、vol.07(2022年10月)ONE前編、vol.08(12月)ONE中編、vol.09(2023年2月)ONE後編、を2024年1月東京創元社刊。駒子シリーズ4作目。2004年5月刊のシリーズ3から20年ぶりだそう。駒子の家族の話が時間を前後して交互に語られる。ところどころに謎が潜んでいて、しかも、それはどこかの時間で明らかになる展開なので、読み進むと楽しくなる。お仕舞いの辺りで明らかになるワンのことは、予想はしていたもののやはり驚き!でした。
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対人関係が苦手な玲奈は、仔犬を飼い始めたことで、憂鬱な世界が一変。
小説投稿サイトに参加したり、バイトを始めたりしたところ、不審な男がうろつくようになり……。
『ななつのこ』から始まる駒子シリーズ最新刊。
シリーズの細かい内容は正直忘れていたが、単体の作品として充分楽しめる。
しっかり者の先輩犬・ワンと、無邪気で愛くるしい新入り犬・ゼロ。
二匹の犬たちがとにかく愛らしく、ほっこり。
ちょっとした日常の謎を取り込みつつ進むエピソードは、どれもハートウォーミング。
家族の絆にグッとくるものがある。 -
ななつのこシリーズが大好きだったので、またあの2人に出会えたのは嬉しかった。
犬と子供と家族のお話。全体的にほのぼのしていた。