- Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488027155
感想・レビュー・書評
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シリーズの色んな時間軸、国から切り取った短編集。1本1本の完成度が高く人間関係のパターンも豊富で相変わらずほんとうに面白い。乾石さんの本の中でもやっぱりこの一連が群を抜いて装丁も美しくこればっかりは絶対新書で買って本棚に置きたいシリーズ。
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夜の写本師読まなきゃ。
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心の内に闇を宿す者。人を呪ったり、復讐したりするのはいけないことだと、そんな奇麗ごとではない世界。いけないとか、いけなくないとか、そんなことではなくて、せずにはいられない深い感情がある。たとえ、そのために自身の命を差し出すことになっても。
魔道師の中にある、闇。それは、人間の中にある闇だ。すべての人間の中にある闇。それに気付かず、潔白な人間のようにして生きることは、それはそれで幸せなことかもしれない。でもその闇は、やはりそこにある。闇を受け入れることは破滅かもしれないけれど、それでも、為すべきことは、為したいことは何なのか、そこから目を背けて生きることを生きるとは言わない。
この短編集は、シリーズの中ではどちらかというと全体的にあっけらかんとした雰囲気がある。身の内に闇を宿しながらも、前を向いている感じだ。たとえ、その一歩先が奈落へと続く崖だったとしても、その一歩をためらわないような。
どの作品も好きだったけれど、特に『黒蓮花』と『魔道写本師』が良かった。 -
『夜の写本師』の世界・オーリエラントを舞台とした短編集。
紐結びの魔導師と貴石占術師の魔導くらべ『紐結びの魔導師』、苦しんでいる女たちのための密かな魔法組織を描く『闇を抱く』、死体を用いるプアダンの魔導師の復讐劇である『黒蓮華』、魔法ならざる魔法を操るもう一人の夜の写本師の物語『魔導写本師』の4編。
同じ世界を舞台にしているけど、時系列はかなりバラバラ。一番古い年代が『黒蓮華』で暦でいうとコンスル帝国紀元1年、一番新しいのは『闇を抱く』の1831年。
このシリーズは本当にダークファンタジーだと思う(^_^;)『闇を抱く』では男尊女卑って感じの世界だから虐げられてる女性達が辛い・・・『黒蓮華』は死体を用いるって時点でグロイし、『紐結びの魔道師』では貴石占術師が受ける怪我が読んでて痛いし、『魔導写本師』はイスルイールの過去に驚いた。
グロイのや怖いのは苦手なのに、このシリーズは目が離せなくて困ります。
ずっと図書館から借りて読んでましたけど、手元に置いておきたいシリーズです。
いつかハードカバーを自分の本棚に並べたいと思います! -
ファンタジーなのに、何となく中世ヨーロッパを思わせる短編集。
読みにくいというわけでもなかったですし
面白かったというわけでもなかったです。
ああそうなんだ、という感じで始まって終了。
普通の生活に、ちょっとだけエッセンスを加えるように
魔法がからんでくるだけの世界。
そして女性は怖い、と思える世界。
何にせよ、相手の思いやりや何かがいつもあるもの、と思ったら
恐ろしいしっぺ返しがくるので危険です。 -
短編集である。
どの話も全てお気に入りだ。
相変わらず挿画も素晴らしいし、
この本自体がギデスディン魔法や
魔道写本に使えそうで
触れるだけで少しどきどきするのも
また嬉しい。
テイクオク魔法やアルアンテス魔法は
手を伸ばせば届きそうなのでは、
と思わせてしまうところが、
また心憎いばかりだ。
実際、心に闇を住まわせる覚悟など
持ち得るわけもない小市民に
淡い夢を見せてくれて
ありがとう、乾石さん。
次巻が本当に待ち遠しい…! -
【収録作品】紐結びの魔道師/闇を抱く/黒蓮華(こくれんか)/魔道写本師