- Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488027377
作品紹介・あらすじ
港の見える丘公園、あけぼの子どもの森公園、石神井公園、航空記念公園。性別も世代も超えて、公園でしか出会えない人、公園でしか起きない奇跡を描く、あたたかで切ない、4つの物語。
感想・レビュー・書評
-
ひとつ気になったのは、登場人物に説明させるような文体が多くて、物語に入り込むのがちょっと難しかった。
実在する公園を舞台にしているところは、面白い。その公園を知っている人からするとイメージがぶわっと広がる感じがすると思う。個人的に石神井公園に思い入れがあるので、久しぶりに思い出した景色に胸が熱くなった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
源次郎さんのメッセージが胸に熱くささった。不覚にも涙。
ムーミン谷の元夫婦も、最初はどっちも嫌な性格だと思っていたけど、最後にはなんだか他人とは思えなくなった。手をつなぎたいね。
秋の妖精、かわいい。
表題作がいまひとつ私には響かなかった。
でも、あの頃悩んでいたあの子に響いただろうと思った。 -
短篇4作品
どれも心に響いた。
忘れている事、忘れたい事
人生には色々ある
そのことをあらためて、この作者は教えてくれる -
「雨上がりに傘を差すように」
雨の日にしか会えない老人。
彼は彼女を妻と間違えて認識していた訳ではない、ただ同じ場所で似た顔の者が居たら懐かしく感じるただろうな。
「体温計は嘘をつかない」
とある夏の日の後悔の懺悔。
互いに思う事を心の中にしまい込んでいたうえ、昔ながらの考えが何処かにあったからこそ起こってしまった事故なのだろうな。
「メタセコイアを探してください」
貴方に伝えたい本当の想い。
何故こんなに色々とファンですら知らぬ様なプライベートな情報を知っているのかと思いきや、種明かしを聞くと簡単な話だったな。
「雪には雪のなりたい白さがある」
忘れていた約束の中の一言。
想い出補正というのは確かにあるかもしれないが大切な事だからこそ、ずっと胸の内にあり忘れる事も出来ないままなんだろうな。 -
自分がしたいことや、なりたいものが分からない時、
誰もが少しだけ優しくなれる公園に立ち寄ってみる。
たくさんの雪に埋もれてしまい、
誰にも注目されずに消えてしまう白い雪。
「目立つことはなくても際立つことはなくても、
[...] 雪には雪のなりたい白さがある」(246 ページ)
自分は何者か。
それを手探りで探す人たちの物語り。 -
恋愛小説が読みたいなぁと調べて借りた一冊。
読みやすかったけど、恋愛小説ではなかったなぁ。
元気が出るようなお話だった。
最初の港の見える丘公園のお話が一番好きだった。
***
港の見える丘公園・あけぼの子どもの森公園・石神井公園・航空記念公園、そこでしか起こりえない、四つのちいさな奇跡。公園には、あちこちにたくさんの人たちの思い出が隠れている。 -
私は私のために降らなければいけない
最後の一行にやられました -
描写が綺麗で自然で然り気無い魅力に満ちていた。すっぽりと入り込んでうっとりした。大学デビューが上手くいかなかった女子大生とおじいさん、五年ぶりに会う離婚した夫婦、歌えなくなった歌手と自称秋の妖精と鳥好きの男子高校生、中学生の頃に別れた彼との約束に縋る二十六歳、の四本立て。特に第二話の赤ちゃんだった子供を引き取った夫と靴のデザイナーだった妻の再会の「体温計は嘘をつかない」が、どちらが悪いとも言えない感じが印象的で胸の奥までスッと届くようだった。それぞれの話での各公園の様子もナチュラルな瑞々しさで良かった。